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【第二部 異世界転移奇譚 RENJI 2 】「気づいたらまた異世界にいた。異世界転移、通算一万人目と10001人目の冒険者。」
第139話 ショウゴの選択
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「そうだ。それが、秋月レンジが犯した過ちだ。
我々は世界をあるべき形に、ひとつに戻さなければならない。
この世界はもはや、ゴミ処理場としての価値すらない」
「ゴミ処理場で生まれた者たちから、放射性物質を浄化する方法を産み出した者が現れたからか」
「それだけではない。
リバーステラでパンデミックを引き起こしているカーズウィルスもまた、無作為に感染するわけではないのだ。
君は知らないだろうが、ウィルスにカレンダーはないと先日リバーステラの都知事は言った。
確かにウィルスにはカレンダーはない。
だが、カーズウィルスは、誰を間引くべきかを知っている」
カーズウィルスはテラで作られ、犯罪因子を持つ者を間引いていたということか。ショウゴは思った。
「カーズウィルスによって、犯罪因子を持つ者はまもなくすべて間引かれる。
リバーステラが抱えていたエネルギー問題や食糧問題は解決する。
さらにゴールデン・バタフライ・エフェクトによって、放射性物質を無毒化できるだけでなく、今後産まれてくるであろう犯罪因子を持つ者が犯罪に手を染めることがないようにできる」
「あんたらが作りたいのはユートピアか? それともディストピアか?」
「ユートピアとは同時にディストピアでもあるのだよ」
ショウゴは立ち上がり、
「で、あんたらがふたつの世界の神にしたてあげ、世界を元通りひとつに戻すための道具にしようとしていたピノアは死んじまったわけだが、これからどうするつもりだ?」
「ここに、ステラ・リヴァイアサンがいるのはなぜだと思う?」
「ピノアが死んだときのための保険か」
「違うな。君は何もわかっていない。
ステラ・リヴァイアサンは、ピノア・カーバンクルとひとつにならなければならなかった。
そこにいる両性具有のアルビノの魔人のように、魂だけでなく力もだ。
前の世界でステラ・リヴァイアサンが取り戻したのは、ピノア・カーバンクルの人格のオリジナルの魂に過ぎない。
それによって、ステラ・リヴァイアサンはアルビノの魔人の姿を取り戻し、テラに存在するすべての魔法を手に入れたが、それだけではまだ足りないのだ。
だが、今、ピノア・カーバンクルは、完全にステラ・リヴァイアサンとひとつになった」
リヴァイアサンは、最初からピノアを殺し、ステラの身体にその力を戻すことが目的だったということだった。
「あんたら、ただ、世界をひとつにしたいだけじゃないな?
ゴミ処理場にしたこの世界を好き勝手にして、ほしい技術だけを手に入れただけじゃ不満なんだろ。
この世界にあって、リバーステラにないものを、あんたらは欲しがってる。
違うか?」
エーテルだ。
こいつらはこの世界のエーテルを欲しがっているのだ。
「エーテルがなければ、ゴールデン・バタフライ・エフェクトは使えないからな」
「そうだ。そして、進化の袋小路にいる人類もまた進化できない」
リバーステラの人間も、エーテルによって、魔人やアルビノの魔人に進化させるつもりなのだ。
「ステラ・リヴァイアサンならば、ゴールデン・バタフライ・エフェクトが使える。
そして、この不要になった世界から、エーテルだけを、すべてリバーステラに移動させることができる」
「だったら、俺がするべきことはひとつだけだ」
ショウゴは、合体銃剣をステラに向けた。
「ステラ・リヴァイアサンを殺したいなら殺せばいい。
私を破壊したければ破壊すればいいだろう」
「そうさせてもらうよ」
「だが、君の妹もまた、君や君の父親と同様に犯罪因子を持っている」
その言葉にショウゴは絶句し、
「それが何を意味するかはわかるな?」
武器を下ろした。
「大和ショウゴ、君にとって一番大切なものはなんだ?
秋月レンジか? ステラ・リヴァイアサンか? そこにいる両性具有のアルビノの魔人か?
それとも、この世界か?」
聞かれるまでもなかった。
それは、選択肢ですらなかった。
ショウゴにはその問いの答えはひとつしかないからだ。
「あんたらに従う。
俺が本来なすべきことの記憶を戻してくれ。
それと、レンジやみんなとの思い出を消してくれ」
ショウゴはリヴァイアサンにそう言い、
「いいだろう。
だが、その処置はここでは不可能だ。
一度、君をリバーステラの我々の本部へと移動させる」
わかった、とショウゴが言うと、目の前にゲートが現れた。
彼は、そのゲートをくぐる前に、イルルを見た。
「レンジにすまないって言っておいてくれ。
それから、次に会う俺は、お前らの敵だから、ためらうなってな。
……いや、それじゃ、あいつを苦しめるだけだな」
「君は前の世界からずっと敵のスパイだったということにでもしておくよ。
そもそもがイレギュラーな10001人目の転移者だったわけだし、一度ライトとリードを殺そうとしたからね」
ありがたい、とショウゴは思った。
前の世界で最初に出会ったのがエブリスタ兄弟で本当に良かったと思った。
この世界で再会できたことも、そして別れを告げるのがイルルであることも。
イルルなら、きっと自分の思いを告げても大丈夫だろう。
「俺はもっとお前のことが知りたかった。
妹以外の女の子をはじめてかわいいって思ったんだ」
「ボクもキミとの出会いは最低だったけれど、キミのことは嫌いじゃなかったよ」
その言葉だけで充分だった。
ショウゴがゲートをくぐると、
「秋月レンジが正気を取り戻す前に、私も退散させてもらう」
リヴァイアサンもまたステラと共にどこかへと移動した。
我々は世界をあるべき形に、ひとつに戻さなければならない。
この世界はもはや、ゴミ処理場としての価値すらない」
「ゴミ処理場で生まれた者たちから、放射性物質を浄化する方法を産み出した者が現れたからか」
「それだけではない。
リバーステラでパンデミックを引き起こしているカーズウィルスもまた、無作為に感染するわけではないのだ。
君は知らないだろうが、ウィルスにカレンダーはないと先日リバーステラの都知事は言った。
確かにウィルスにはカレンダーはない。
だが、カーズウィルスは、誰を間引くべきかを知っている」
カーズウィルスはテラで作られ、犯罪因子を持つ者を間引いていたということか。ショウゴは思った。
「カーズウィルスによって、犯罪因子を持つ者はまもなくすべて間引かれる。
リバーステラが抱えていたエネルギー問題や食糧問題は解決する。
さらにゴールデン・バタフライ・エフェクトによって、放射性物質を無毒化できるだけでなく、今後産まれてくるであろう犯罪因子を持つ者が犯罪に手を染めることがないようにできる」
「あんたらが作りたいのはユートピアか? それともディストピアか?」
「ユートピアとは同時にディストピアでもあるのだよ」
ショウゴは立ち上がり、
「で、あんたらがふたつの世界の神にしたてあげ、世界を元通りひとつに戻すための道具にしようとしていたピノアは死んじまったわけだが、これからどうするつもりだ?」
「ここに、ステラ・リヴァイアサンがいるのはなぜだと思う?」
「ピノアが死んだときのための保険か」
「違うな。君は何もわかっていない。
ステラ・リヴァイアサンは、ピノア・カーバンクルとひとつにならなければならなかった。
そこにいる両性具有のアルビノの魔人のように、魂だけでなく力もだ。
前の世界でステラ・リヴァイアサンが取り戻したのは、ピノア・カーバンクルの人格のオリジナルの魂に過ぎない。
それによって、ステラ・リヴァイアサンはアルビノの魔人の姿を取り戻し、テラに存在するすべての魔法を手に入れたが、それだけではまだ足りないのだ。
だが、今、ピノア・カーバンクルは、完全にステラ・リヴァイアサンとひとつになった」
リヴァイアサンは、最初からピノアを殺し、ステラの身体にその力を戻すことが目的だったということだった。
「あんたら、ただ、世界をひとつにしたいだけじゃないな?
ゴミ処理場にしたこの世界を好き勝手にして、ほしい技術だけを手に入れただけじゃ不満なんだろ。
この世界にあって、リバーステラにないものを、あんたらは欲しがってる。
違うか?」
エーテルだ。
こいつらはこの世界のエーテルを欲しがっているのだ。
「エーテルがなければ、ゴールデン・バタフライ・エフェクトは使えないからな」
「そうだ。そして、進化の袋小路にいる人類もまた進化できない」
リバーステラの人間も、エーテルによって、魔人やアルビノの魔人に進化させるつもりなのだ。
「ステラ・リヴァイアサンならば、ゴールデン・バタフライ・エフェクトが使える。
そして、この不要になった世界から、エーテルだけを、すべてリバーステラに移動させることができる」
「だったら、俺がするべきことはひとつだけだ」
ショウゴは、合体銃剣をステラに向けた。
「ステラ・リヴァイアサンを殺したいなら殺せばいい。
私を破壊したければ破壊すればいいだろう」
「そうさせてもらうよ」
「だが、君の妹もまた、君や君の父親と同様に犯罪因子を持っている」
その言葉にショウゴは絶句し、
「それが何を意味するかはわかるな?」
武器を下ろした。
「大和ショウゴ、君にとって一番大切なものはなんだ?
秋月レンジか? ステラ・リヴァイアサンか? そこにいる両性具有のアルビノの魔人か?
それとも、この世界か?」
聞かれるまでもなかった。
それは、選択肢ですらなかった。
ショウゴにはその問いの答えはひとつしかないからだ。
「あんたらに従う。
俺が本来なすべきことの記憶を戻してくれ。
それと、レンジやみんなとの思い出を消してくれ」
ショウゴはリヴァイアサンにそう言い、
「いいだろう。
だが、その処置はここでは不可能だ。
一度、君をリバーステラの我々の本部へと移動させる」
わかった、とショウゴが言うと、目の前にゲートが現れた。
彼は、そのゲートをくぐる前に、イルルを見た。
「レンジにすまないって言っておいてくれ。
それから、次に会う俺は、お前らの敵だから、ためらうなってな。
……いや、それじゃ、あいつを苦しめるだけだな」
「君は前の世界からずっと敵のスパイだったということにでもしておくよ。
そもそもがイレギュラーな10001人目の転移者だったわけだし、一度ライトとリードを殺そうとしたからね」
ありがたい、とショウゴは思った。
前の世界で最初に出会ったのがエブリスタ兄弟で本当に良かったと思った。
この世界で再会できたことも、そして別れを告げるのがイルルであることも。
イルルなら、きっと自分の思いを告げても大丈夫だろう。
「俺はもっとお前のことが知りたかった。
妹以外の女の子をはじめてかわいいって思ったんだ」
「ボクもキミとの出会いは最低だったけれど、キミのことは嫌いじゃなかったよ」
その言葉だけで充分だった。
ショウゴがゲートをくぐると、
「秋月レンジが正気を取り戻す前に、私も退散させてもらう」
リヴァイアサンもまたステラと共にどこかへと移動した。
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