「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな

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【第三部 異世界転移奇譚 RENJI 3 - PINOA - 】「やったね!魔法少女ピノアちゃん大活躍!!編」

第197話 代表取締役・雨野タカミ

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 タカミは現在も警視庁の公安部の信頼する刑事からのみ、依頼があれば捜査協力をしていたが、彼の現在の本業はゲーム会社の代表取締役だった。

 彼は3年前に、VRとARの両方を駆使した画期的な携帯用ゲーム機の試作品を開発した。

 それは、VRゴーグル自体がゲーム機本体であり、変形させることで通常の携帯用ゲーム機にもなるというものだった。

 Wi-Fi環境が整っていれば、VR対応のスマホアプリや動画(アダルトも含む)を楽しむことができ、ゲームソフトはあらかじめ本体に三本入っており、今後発表されるゲームはすべて無料ダウンロードの課金制のみと決めていた。

 数千円も出して、クソゲーをつかまされた経験は誰にでもあるし、中古販売されたゲームの売上は会社の売上にはならない。
 無料でダウンロードでき、課金したい者が課金すればいい仕様だからこそ、スマホゲームはコンシューマーゲーム機よりはるかにゲーム性が劣っていても、あれだけ流行るのだ。
 無論いつも持ち歩くスマホで遊べるからこそという利点も大きいわけだが。

 日本人は変形と合体が好きだから、今後は周辺機器との合体機能も視野に入れた展開を進めて行くつもりであった。

 無名の会社ながらも、自らの本名等をはじめスタッフについても一切公表しない代わりに、あえて会社名をシノバズという彼のハッカーネームにした。

 ハッカーとしての彼は、ネット上で都市伝説として語られるほどの存在であったし、新規参入とはいえ、言ってみればプレステ4とスイッチ、スマホゲームのいいとこ取りをしたような、VR機能搭載の携帯ゲーム機が、三本もゲームソフトがプリインストールされた状態で、しかも昨年発売された初期生産分はお試し価格の二万円という破格であったため、すぐに完売となっていた。

 二次生産分からは本来の五万円弱という価格になるが、すでに三次まで予約で埋まっていた。


 タカミが開発したゲーム機は、VR機能時にはプレイヤーは五感のすべてがゲームに入る、いわゆるフルダイブ型となる。
 しかし、プレイヤーがゲーム内で体感する1日は、現実世界では1時間にしかならない。

 ゲームは1日1時間というのは短すぎるが、その1時間で24時間を体験できるようにすれば、それ以上プレイすることができない仕様でもクレームは少なかった。

 タカミは、人の1日を47時間にしたのだ。

 パソコンのMMORPGですら、ゲームにのめり込むあまり、ネットカフェでろくに睡眠を取らず何日もプレイし続け、エコノミー症候群を起こして死亡する者が過去に多数いた。
 だから、自作のゲームからそのような死者を出さないために、ありえない仕様を実現させ、導入した。

 重課金者を出さない仕組みもまた導入した。

 現実世界に居場所がない者にとって、ゲーム内に居場所ができることは良いことだ。
 だが、どちらの世界にも居場所を見つけて欲しかった。
 だから、課金によって収入のほとんどを使いきってしまうような者は出したくなかった。

 ゲームソフトの開発は、シナリオは彼の親友である著名な作家が担当し、キャラクターデザインはその作家がライトノベルを出版する際に担当するイラストレーターを紹介してもらっていた。
 音楽も、その作家の作品が映像化された際に担当した音楽家を紹介してもらった。

 タカミはプログラム全般を担当し、グラフィックなどの他に必要なスタッフは、メイたち一家にすべて行ってもらっていた。
 彼女たちは、タカミが作った雑なCGの仮想空間の中で、プログラム化された人格として生活していた間に、仮想空間をより良いものに作り変えていっていたから適任であった。

 タカミのプログラム技術は、その気になればおそらく、有名なアニメの主人公のように、初めて乗ったヒト型のロボット兵器で敵兵器と戦闘をしつつ、どうしようもない仕様のOSに文句をつけ、より良い物に書き換えられるほどのものであったから、それだけのスタッフでも数ヶ月もあれば新作ソフトが発表できた。


 そんな彼が、ピノアとミカナに挟まれ、彼とミカナと真依の三角関係の恋ばなを聞かされ、脱水症状を起こすんじゃないかというくらいに顔中に汗をかいている。

 真依にはそれがおもしろくて、彼がかわいくてしかたがなかった。

 ずっとそんな彼を見ていたかったが、タクシーは目的地についてしまった。

 帰りのタクシーでは、自分とピノアか、自分とミカナが彼を挟んで座ろう。

 真依はそんなことを考えていた。


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