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第14話「日常は爆発するのだ♡」下
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「『アリフ』は、元々は『不老不死の秘薬』だったそうです。かつて、この星に舞い降りたひとりの未来星人がこの国の王に授けましたが、王は家来たちに命じ、その秘薬をこの国で一番大きな山の火口に捨てさせたとか」
「まるで『かぐや姫』みたいな話だな」
「えぇ、わたしは『かぐや姫』の話をしているんです」
「なんだ、お前の作り話か。真面目に聞いて損したよ」
だが、ミズキは話を続ける。
「彼女は『竹取物語』にあるような、この星の衛星である『月』から来た者などではありませんでした。
未来星で生まれ育ち、この星のものとは全く異なる形の錬金術を学んだ女性。未来星の錬金術は、本当に金や命を生み出すことが可能なもの。
彼女が師事していた錬金術師は、不老不死の秘薬『アリフ』の精製に成功しました。それはあくまで偶然の産物であり、二度と同じものは作れない大変貴重な秘薬でした。
それを彼女の師は、自らの出世のためだけに、未来星の女王に献上しようとしました。
当時の女王は民草のことを一切考えない独裁者であったため、女王の手に秘薬が渡ってはいけないと考えた彼女はアリフを盗んだのです。
彼女は、偽物の秘薬をいくつも用意しており、それによって本物の秘薬を隠し持ったまま、はるか辺境のこの星に『星流し』となった罪人でした。
名はププルプ。ププルプ・ミキプルン」
「その名前、商標登録的に大丈夫なのか?」
「ミ○プルーンとは言っていませんから。きっと大丈夫ですよ」
ミズキはそう言って微笑んだ。
「『星流し』となった彼女は、竹取物語のかぐや姫のように未来星から迎えが来ることもなく、この星に骨をうずめることになったそうです」
あの物語は実際に起きた出来事を元に、大幅に都合よく脚色された物語だったのだろう。
「竹取物語では不老不死の秘薬は山の火口に捨てられ、燃え尽きたとされていますよね」
「ああ、不老不死の秘薬を焼いたから不死の山と呼ばれるようになって、それが今の富士山になったんだったろ」
「いくら王の命令とはいえ、不老不死の秘薬です。そんなものを渡された者が、素直に命令に従うでしょうか?」
「しないだろうな。王はわざわざ火口まで足を運んで確認したりはしないだろうし。山を登ったふりをして、捨ててきましたって言えば信じるだろうからな。他にも何人か同じ命令を受けた者がいて、火口までどうしても行かなければいけなかったとしても、秘薬を捨てる必要はない。そいつらを火口に落として逃げてしまえばいい。都に戻ることはできなくなり、命を常に狙われることになるだろうが、秘薬を飲めば不老不死になるんだ。王だろうが軍だろうが陰陽師だろうが、何も怖いものはなくなる」
「そうです。その男は不老不死の秘薬を捨てずに飲むことを選びました。以来、アリフは不老不死の秘薬ではなくなり、その者に宿る能力、ギフトと呼ばれるものになったのです。神からの贈り物だとされている才能とは全く異なる、超能力や神通力のようなものです。そして、その男は『犠巫徒(ぎふと)』と呼ばれる存在となりました」
「犠巫徒……?」
その言葉にレイタは聞き覚えがあった。
それは、士農工商や穢多や非人に含まれないものの、武士よりも高い位にありながら、苗字を与えられていなかったという、レイタの先祖の呼び名だった。
「ぷぷるんが未来星を救うために捜しに来た『アリフ』は、本来なら星の核に命を与えるための秘薬だったが、『アリフ』は薬ではなくなり、人が持つギフトになってしまっていたわけか」
「そうです。そして『アリフ』のギフトはその持ち主に子が出来ると、親から子に引き継がれる。親はギフトを失ってしまいます。アリフの持ち主は常にひとりしか存在できないのです。滅びの運命にある未来星を救うには、星の核にそのギフトを持つ者を生け贄に捧げる必要があります。アリフのギフトを持つ者であれば、星の核と一体化し未来星そのものとなり、星を永遠の存在にすることが出来るでしょう。その者は人ではなくなってしまいますが」
レイタにはやっとわかった。あの日、爆心地の中心にいながらも怪我ひとつ負わずに済んだ理由が。そして、本来ならあのとき死ぬはずの運命にあったはずのマヒルを助けることが出来た理由が。
「それが俺ってわけか」
彼の体には、本当に『不老不死の悪魔』が宿っていたのだ。
「だからぷぷるんはさっき、何を聞いても知らないふりをしたんだな」
「ぷぷるんは、あなたを未来星のための生け贄にするくらいなら、星が滅びることを受け入れることにしたのだと思います。あなたのことを本当に大切に思っているようですから」
その言葉は、ぷぷるん本人から聞きたかった。
だが、彼女はきっと、未来星が滅びてしまったとしても、レイタには言わないつもりだっただろう。
「ぷぷるんは未来星には帰ろうと思えばいつでも帰れるんですよ」
「え? でも、ナンゴヤージョっていう宇宙服? みたいなやつは壊れたんだろ?」
「確かに壊れました。ですが、ナノマシンによって修復されているはず。遠い遠い先祖であるププルプ・ミキプルンと同じ罪人となってしまっても、未来星に帰ることを諦め、この星にその骨をうずめようとしているんです」
ミズキもまた、ぷぷるんとウルの寝顔を見ながら言った。
「本当にかわいい子ね……」
「で、お前は誰なんだ? お前、ミズキじゃないんだろ?」
「さすが、アリフの子。よくわかりましたね。わたしがそのププルプ・ミキプルンです」
「その顔や体は間違いなくミズキのものだ。あんたもギフトを持っていたんだな? 死後に幽霊や残留思念となり、他人に憑依することが可能なギフトってところか?」
「ご名答。そういえば、レイタさんにはひとつ、大切なことをお伝えし忘れていました」
「なんだ?」
「ぷぷるんが吹き飛ばした『グラウンド・ゼロフォー』にいた人たちは死んではいません」
「マジかよ……めちゃくちゃ大事なこと言い忘れるじゃん……いなくなった人たちはどこにいるんだ?」
「一時的な避難所のような場所です。ぷぷるんの装備は人を傷つけるためのものではありませんから。優しい子なんです」
そう言うと、ミズキに憑依していたププルプ・ミキプルンの残留思念のような存在は、彼女の体から離れたようだった。
「そんなこと、言われなくても、知ってるよ」
とレイタは呟いた。
「まるで『かぐや姫』みたいな話だな」
「えぇ、わたしは『かぐや姫』の話をしているんです」
「なんだ、お前の作り話か。真面目に聞いて損したよ」
だが、ミズキは話を続ける。
「彼女は『竹取物語』にあるような、この星の衛星である『月』から来た者などではありませんでした。
未来星で生まれ育ち、この星のものとは全く異なる形の錬金術を学んだ女性。未来星の錬金術は、本当に金や命を生み出すことが可能なもの。
彼女が師事していた錬金術師は、不老不死の秘薬『アリフ』の精製に成功しました。それはあくまで偶然の産物であり、二度と同じものは作れない大変貴重な秘薬でした。
それを彼女の師は、自らの出世のためだけに、未来星の女王に献上しようとしました。
当時の女王は民草のことを一切考えない独裁者であったため、女王の手に秘薬が渡ってはいけないと考えた彼女はアリフを盗んだのです。
彼女は、偽物の秘薬をいくつも用意しており、それによって本物の秘薬を隠し持ったまま、はるか辺境のこの星に『星流し』となった罪人でした。
名はププルプ。ププルプ・ミキプルン」
「その名前、商標登録的に大丈夫なのか?」
「ミ○プルーンとは言っていませんから。きっと大丈夫ですよ」
ミズキはそう言って微笑んだ。
「『星流し』となった彼女は、竹取物語のかぐや姫のように未来星から迎えが来ることもなく、この星に骨をうずめることになったそうです」
あの物語は実際に起きた出来事を元に、大幅に都合よく脚色された物語だったのだろう。
「竹取物語では不老不死の秘薬は山の火口に捨てられ、燃え尽きたとされていますよね」
「ああ、不老不死の秘薬を焼いたから不死の山と呼ばれるようになって、それが今の富士山になったんだったろ」
「いくら王の命令とはいえ、不老不死の秘薬です。そんなものを渡された者が、素直に命令に従うでしょうか?」
「しないだろうな。王はわざわざ火口まで足を運んで確認したりはしないだろうし。山を登ったふりをして、捨ててきましたって言えば信じるだろうからな。他にも何人か同じ命令を受けた者がいて、火口までどうしても行かなければいけなかったとしても、秘薬を捨てる必要はない。そいつらを火口に落として逃げてしまえばいい。都に戻ることはできなくなり、命を常に狙われることになるだろうが、秘薬を飲めば不老不死になるんだ。王だろうが軍だろうが陰陽師だろうが、何も怖いものはなくなる」
「そうです。その男は不老不死の秘薬を捨てずに飲むことを選びました。以来、アリフは不老不死の秘薬ではなくなり、その者に宿る能力、ギフトと呼ばれるものになったのです。神からの贈り物だとされている才能とは全く異なる、超能力や神通力のようなものです。そして、その男は『犠巫徒(ぎふと)』と呼ばれる存在となりました」
「犠巫徒……?」
その言葉にレイタは聞き覚えがあった。
それは、士農工商や穢多や非人に含まれないものの、武士よりも高い位にありながら、苗字を与えられていなかったという、レイタの先祖の呼び名だった。
「ぷぷるんが未来星を救うために捜しに来た『アリフ』は、本来なら星の核に命を与えるための秘薬だったが、『アリフ』は薬ではなくなり、人が持つギフトになってしまっていたわけか」
「そうです。そして『アリフ』のギフトはその持ち主に子が出来ると、親から子に引き継がれる。親はギフトを失ってしまいます。アリフの持ち主は常にひとりしか存在できないのです。滅びの運命にある未来星を救うには、星の核にそのギフトを持つ者を生け贄に捧げる必要があります。アリフのギフトを持つ者であれば、星の核と一体化し未来星そのものとなり、星を永遠の存在にすることが出来るでしょう。その者は人ではなくなってしまいますが」
レイタにはやっとわかった。あの日、爆心地の中心にいながらも怪我ひとつ負わずに済んだ理由が。そして、本来ならあのとき死ぬはずの運命にあったはずのマヒルを助けることが出来た理由が。
「それが俺ってわけか」
彼の体には、本当に『不老不死の悪魔』が宿っていたのだ。
「だからぷぷるんはさっき、何を聞いても知らないふりをしたんだな」
「ぷぷるんは、あなたを未来星のための生け贄にするくらいなら、星が滅びることを受け入れることにしたのだと思います。あなたのことを本当に大切に思っているようですから」
その言葉は、ぷぷるん本人から聞きたかった。
だが、彼女はきっと、未来星が滅びてしまったとしても、レイタには言わないつもりだっただろう。
「ぷぷるんは未来星には帰ろうと思えばいつでも帰れるんですよ」
「え? でも、ナンゴヤージョっていう宇宙服? みたいなやつは壊れたんだろ?」
「確かに壊れました。ですが、ナノマシンによって修復されているはず。遠い遠い先祖であるププルプ・ミキプルンと同じ罪人となってしまっても、未来星に帰ることを諦め、この星にその骨をうずめようとしているんです」
ミズキもまた、ぷぷるんとウルの寝顔を見ながら言った。
「本当にかわいい子ね……」
「で、お前は誰なんだ? お前、ミズキじゃないんだろ?」
「さすが、アリフの子。よくわかりましたね。わたしがそのププルプ・ミキプルンです」
「その顔や体は間違いなくミズキのものだ。あんたもギフトを持っていたんだな? 死後に幽霊や残留思念となり、他人に憑依することが可能なギフトってところか?」
「ご名答。そういえば、レイタさんにはひとつ、大切なことをお伝えし忘れていました」
「なんだ?」
「ぷぷるんが吹き飛ばした『グラウンド・ゼロフォー』にいた人たちは死んではいません」
「マジかよ……めちゃくちゃ大事なこと言い忘れるじゃん……いなくなった人たちはどこにいるんだ?」
「一時的な避難所のような場所です。ぷぷるんの装備は人を傷つけるためのものではありませんから。優しい子なんです」
そう言うと、ミズキに憑依していたププルプ・ミキプルンの残留思念のような存在は、彼女の体から離れたようだった。
「そんなこと、言われなくても、知ってるよ」
とレイタは呟いた。
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