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レニドールSide
魔王との対峙
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王都へ入ると魔物はそこそこ強くなったが、これならまだ余裕で殺せる。
ルーファスと一緒に魔物を切り捨てながら馬を走らせる。
魔王の側近のような強い魔物が数体出てきてひやりとしたが、ルーファスと連携したら難なく倒せた。
そしてようやく俺達は王城の玉座の間へたどり着いた。
そこには側近よりも数倍も大きく、禍々しい澱みを纏った人型の魔物、魔王がいた。
人型で二足歩行だが、ねじれた大きな角にドラゴンのような手足と体表だ。
魔王は部屋に入った俺達を見て、鼓膜が破れんばかりの咆哮をあげて、怯んだすきに高速攻撃してきた。
すんでのところで俺たちは回避。ルーファスはうまく間合いを取りながら魔法や斬撃を繰り返す。
しかしかすり傷程度しかついていない。
俺はルーファスの剣に聖属性を付与した。その隙に魔王は俺に攻撃してきた。
「殿下!!」
あろうことかルーファスは魔王から俺を庇い、腹に斬撃をくらった。
赤い血を腹から流しながら倒れていく様子が、ゆっくりと流れていく。
「ルーファスっ」
血を吐いて力なく床に倒れるルーファスを見て、俺は怒りで頭が熱くなった。
急いで上位回復魔法薬に聖属性を付与して、切り裂かれたルーファスの腹に掛けた。
傷が修復していくのを見て一安心。
そしてギリッと魔王を睨みつける。
「てめぇっルーファスに何するんだよっクソがっ!殺す!縊り殺す!」
城をしょっちゅう抜け出して、市井で過ごしたりしてるから、言葉遣いが悪いのは仕方ない。
白い靄を鎖のように物体化させて魔王を拘束した。
さらに数本鎖を増やして心臓付近を貫通させ、心臓を鎖で巻き付けた。
どくどくと脈打つ魔王の心臓の感触が鎖を通して手の中に感じる。
俺はそれを握り潰す。
悲鳴を上げる間もなく魔王は絶命した。
万が一生き返らないように頭も聖鎖で貫通させる。
魔王の身体は霧散し、ごとりと巨大な魔石が床に落ちた。
「ふぅ……たわいもねぇ。こんなのが魔王なのか……?」
あっけなく魔王の討伐が終わってしまった。あいつ本物の魔王だよな……?
まさかこの後真打登場とかないよな……?
魔王がこんなに弱かったら、騎士団だけで討伐でも良かったんじゃないのか?
やっぱり俺が目障りで遠ざけられただけなのか……? そうだ、そんなことより!
「ルーファスっ大丈夫か!」
少し苦しそうに座っているルーファスに駆け寄った。倒れてなくてよかった!
「殿下……面目次第もございません……」
「馬鹿! 庇わなくていいって言っただろう!」
「……そうですね、殿下は私よりお強い……。お守りするつもりが、かえってお手を煩わせてしまいました」
申し訳なさそうにルーファスは微笑む。
そういう事じゃなくて!
お前の命の方が大切なの!
ルーファスを失うかと思ったら、今更ながら涙がとめどなく溢れてきた。
「魔王を討伐して下さって、本当にありがとうございます。……貴方はゴートルード王国の誇りです」
ルーファスは俺の涙を拭う。
「さあ、帰りましょう、私たちの国へ」
「うん……っ」
ルーファスの優しい手つきにうっとりしながら微笑んだ。
これで終わったんだ。
行きは絶望しかなかった。
そしてあっけなく終わった討伐でも、ルーファスと生きて帰れる事が凄く嬉しい。
とりあえず討伐の証拠として魔王の魔石を袋にしまった。
俺たちは帰りながら、できる範囲で二人で魔法を使いながら遺体を土に還していった。
逃げた人たちが戻ってきて、早く復興しますように、と願いながら。
ヴェルカ国王城からアルハート国国境までは、埋葬しながら移動したから七日程かかった。
アルハート国の辺境領に着いた時、俺はルーファスにある我儘をお願いしてみた。
もし二人生きて帰ってこれたなら、決めた事がある。それを実行するんだ!
「なあルーファス……」
「殿下、どうしました?」
「その、頼みがあるんだけど……」
「はい、何でしょう」
「あのさ、俺達まあ一応、頑張ったじゃない? こうして無事帰れるわけだしさ……」
まぁ、こんな事言ってはいるが、敵を倒すよりも埋葬の方が大変ではあったのだが。
これから我儘を言う身としては、言葉が詰まる。我ながらキモいな、と思いながらも身体がもじもじ動いてしまう。
「そ、そ、その……せっかくだからアルハート国を観光しながらゆっくり帰らないか!?」
言った!言えたぞ!
俺の切実な願いを!
顔が真っ赤になってしまったぞ!
ルーファスはそんな様子の俺を見てキョトンとし、
「なんだ、そんなことですか」
フッと柔らかく微笑む。
「いいと思いますよ。生きて帰れるかわからなかった討伐でしたから、ゆっくり帰ったとしても誰も文句は言わないでしょうし、言わせませんよ」
ニヤリと男らしく口端を上げたルーファスに心がキュンキュンする。
「いいのか!? やった!!」
嬉しすぎてぴょんっと飛び跳ねてしまった!
「まずはこの近くの村で一泊して、大きめの辺境街を観光しましょうか」
「~~~~っっ」
悶るのを我慢するのが、こんなにも辛い日が来るとは思わなかったぜ!
ウキウキしながら俺達は近くの村へ向かった。
そう、この帰りの旅でルーファスに、どうにかして俺を恋愛対象にしてもらうのが目的なのだ。
ルーファスの俺への態度は、なんだか弟に対するものみたいなんだよな……。
まあ、兄達にそんな扱いされたことないけど、周りを見ているとそんな感じだ。
贅沢を言うと、性的に見てほしい……。
なぜ二人きりの無茶な討伐旅にしたのかがそこにある。
ルーファスと一緒に魔物を切り捨てながら馬を走らせる。
魔王の側近のような強い魔物が数体出てきてひやりとしたが、ルーファスと連携したら難なく倒せた。
そしてようやく俺達は王城の玉座の間へたどり着いた。
そこには側近よりも数倍も大きく、禍々しい澱みを纏った人型の魔物、魔王がいた。
人型で二足歩行だが、ねじれた大きな角にドラゴンのような手足と体表だ。
魔王は部屋に入った俺達を見て、鼓膜が破れんばかりの咆哮をあげて、怯んだすきに高速攻撃してきた。
すんでのところで俺たちは回避。ルーファスはうまく間合いを取りながら魔法や斬撃を繰り返す。
しかしかすり傷程度しかついていない。
俺はルーファスの剣に聖属性を付与した。その隙に魔王は俺に攻撃してきた。
「殿下!!」
あろうことかルーファスは魔王から俺を庇い、腹に斬撃をくらった。
赤い血を腹から流しながら倒れていく様子が、ゆっくりと流れていく。
「ルーファスっ」
血を吐いて力なく床に倒れるルーファスを見て、俺は怒りで頭が熱くなった。
急いで上位回復魔法薬に聖属性を付与して、切り裂かれたルーファスの腹に掛けた。
傷が修復していくのを見て一安心。
そしてギリッと魔王を睨みつける。
「てめぇっルーファスに何するんだよっクソがっ!殺す!縊り殺す!」
城をしょっちゅう抜け出して、市井で過ごしたりしてるから、言葉遣いが悪いのは仕方ない。
白い靄を鎖のように物体化させて魔王を拘束した。
さらに数本鎖を増やして心臓付近を貫通させ、心臓を鎖で巻き付けた。
どくどくと脈打つ魔王の心臓の感触が鎖を通して手の中に感じる。
俺はそれを握り潰す。
悲鳴を上げる間もなく魔王は絶命した。
万が一生き返らないように頭も聖鎖で貫通させる。
魔王の身体は霧散し、ごとりと巨大な魔石が床に落ちた。
「ふぅ……たわいもねぇ。こんなのが魔王なのか……?」
あっけなく魔王の討伐が終わってしまった。あいつ本物の魔王だよな……?
まさかこの後真打登場とかないよな……?
魔王がこんなに弱かったら、騎士団だけで討伐でも良かったんじゃないのか?
やっぱり俺が目障りで遠ざけられただけなのか……? そうだ、そんなことより!
「ルーファスっ大丈夫か!」
少し苦しそうに座っているルーファスに駆け寄った。倒れてなくてよかった!
「殿下……面目次第もございません……」
「馬鹿! 庇わなくていいって言っただろう!」
「……そうですね、殿下は私よりお強い……。お守りするつもりが、かえってお手を煩わせてしまいました」
申し訳なさそうにルーファスは微笑む。
そういう事じゃなくて!
お前の命の方が大切なの!
ルーファスを失うかと思ったら、今更ながら涙がとめどなく溢れてきた。
「魔王を討伐して下さって、本当にありがとうございます。……貴方はゴートルード王国の誇りです」
ルーファスは俺の涙を拭う。
「さあ、帰りましょう、私たちの国へ」
「うん……っ」
ルーファスの優しい手つきにうっとりしながら微笑んだ。
これで終わったんだ。
行きは絶望しかなかった。
そしてあっけなく終わった討伐でも、ルーファスと生きて帰れる事が凄く嬉しい。
とりあえず討伐の証拠として魔王の魔石を袋にしまった。
俺たちは帰りながら、できる範囲で二人で魔法を使いながら遺体を土に還していった。
逃げた人たちが戻ってきて、早く復興しますように、と願いながら。
ヴェルカ国王城からアルハート国国境までは、埋葬しながら移動したから七日程かかった。
アルハート国の辺境領に着いた時、俺はルーファスにある我儘をお願いしてみた。
もし二人生きて帰ってこれたなら、決めた事がある。それを実行するんだ!
「なあルーファス……」
「殿下、どうしました?」
「その、頼みがあるんだけど……」
「はい、何でしょう」
「あのさ、俺達まあ一応、頑張ったじゃない? こうして無事帰れるわけだしさ……」
まぁ、こんな事言ってはいるが、敵を倒すよりも埋葬の方が大変ではあったのだが。
これから我儘を言う身としては、言葉が詰まる。我ながらキモいな、と思いながらも身体がもじもじ動いてしまう。
「そ、そ、その……せっかくだからアルハート国を観光しながらゆっくり帰らないか!?」
言った!言えたぞ!
俺の切実な願いを!
顔が真っ赤になってしまったぞ!
ルーファスはそんな様子の俺を見てキョトンとし、
「なんだ、そんなことですか」
フッと柔らかく微笑む。
「いいと思いますよ。生きて帰れるかわからなかった討伐でしたから、ゆっくり帰ったとしても誰も文句は言わないでしょうし、言わせませんよ」
ニヤリと男らしく口端を上げたルーファスに心がキュンキュンする。
「いいのか!? やった!!」
嬉しすぎてぴょんっと飛び跳ねてしまった!
「まずはこの近くの村で一泊して、大きめの辺境街を観光しましょうか」
「~~~~っっ」
悶るのを我慢するのが、こんなにも辛い日が来るとは思わなかったぜ!
ウキウキしながら俺達は近くの村へ向かった。
そう、この帰りの旅でルーファスに、どうにかして俺を恋愛対象にしてもらうのが目的なのだ。
ルーファスの俺への態度は、なんだか弟に対するものみたいなんだよな……。
まあ、兄達にそんな扱いされたことないけど、周りを見ているとそんな感じだ。
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