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2章 病院編
21話
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「来ないでぇっー!」
「ヴォォォ!」
「やだやだぁ来ないでよぉっ!」
ドアの前で尻餅をつきながら頭を隠すように腕をバッテンにして体を縮こませるナース服の女。
そしてその女の言葉が分かるはずもなく、遠慮なく段々と近づいていく複数のゾンビ……にもかかわらず全くドアを閉める気配を見せないでいた。
(え、は?この女ホント何してんの?)
ゾンビに言葉が通じるとでも思っているのか?もし本当にそうだとしたらとんだお花畑の脳みそだと思う。
「……いやあれは完全にそう思っているやつだな」
まだゾンビに対して何か言ってるのが聞こえる。そして徐々に距離を縮めるゾンビ。しかしゾンビもゾンビだ。走って襲おうとすれば完全にヤレるのにそれをしようとしない。
(これは知性が薄いのが原因か……はたまたあの女の言葉が本当に通じているのか……)
どう考えても前者だな。そんな人間の部分が残っているならゾンビは家族や恋人を襲おうとはしないだろう。もしかしたら俺のようなおかしな体質で……ゾンビと通じ合える能力を持っているなら話は別だがそれはもっとあり得ない話だ。
「ヴォォォ!」
「いやぁぁぁ!」
(はぁ……しょうがないか……)
ここで助けないは選択もできるが、俺は奏を助けたのにここでこの女を助けない理由は無い。助ける理由は目覚めが悪くなる、ただそんな単純な理由だ。
さらに言うならば、この女が最後の生存者という可能性もあるのでここまで来たのが無駄足にならないために助けるのも理由の一つだ。
「ヴォォォ!」
「どけ」
俺はヤられる寸前の所で横から助走をつけた強烈な蹴りを入れる。ゾンビが吹き飛んだ勢いで周りのゾンビもドミノのように一緒に倒れていく。
「おぉ……人間ドミノときたか。こりゃ楽チンで助かる」
「え、え?えぇ!?」
ゾンビの気配が目の前から消えたのを感じたのか、目を開けて俺を見上げる。そしてあり得ないものを見るような目で俺を見ては驚愕した顔をして大きな声を上げる。
「ちっ……うるせぇ!」
「は、はひっ!」
ゾンビに囲まれている状況なのに大声を上げたこの女に俺は苛立った感情を向けて声を荒げてしまう。それによって涙目な女は自分の口を両手で塞ぎ子犬のように萎縮してしまう。
少し悪い事をしたかと思ったりもしたが、よくよく考えてみなくてもこの女が悪い。
これは仕方のない事だと思う、こんな状況なのに自分で危険を招き寄せるような行動をしてしまうのだから、怒るのも無理はないはずだ。
「ヴォォォ……」
(ほら見ろ六階からゾンビが上がってきたじゃねーか……)
「とりあえず中入るぞ」
「はぃ……」
萎縮したまま両手で口を塞ぎながら返事をするこの女を見て俺は溜息をつく。
(昔可愛がってた子犬に似てんなこいつ……特に目のあたりが)
チワワみたいに大きくて丸い目。そんな目をうるうるさせながら俺を見る。それだけで庇護欲が湧いてくるが、首から下を見ればそれはもはやチワワの可愛らしい体とは真逆だ。
(生で初めて見るな……これがボン・キュ・ボンか……俺からしたらこいつの方がゾンビよりもモンスター級だよ)
Gカップくらいある胸とキュッと締まっているお腹。そしてくびれがあって綺麗なラインの腰、その下にはナース服のスカートじゃ抑えきれないほどの大きい尻。それに脚もスラっとしていて程よい肉付きである。
(奏もスタイルは良いが……こいつは別次元の存在だな)
いや……こんな事を考えるのは止めよう。何となく奏に鋭い視線で睨まれているのが脳裏に浮かぶ。
そんな事をさておきだ、俺たちは女が先程いた部屋へと入る。
「よし、ドアを閉めたからもう普通にしてて良いぞ」
「あ、はぃ……」
とは言っても先程の叱られた光景を鮮明に覚えているのか、俺に対しての緊張はまだ解けずにいた。
だが、静かにしてくれるのは俺にとってありがたい事のためこのままにしておくのもありだと思った。
「おい、単刀直入に聞くぞ。他に生存者はいるか?」
「……ぃぅ……と思います」
「あぁ?」
「い、いると思います!」
「ちっ!」
「ひぃっ!ご、ごめんなさい!」
(静かなのはありがたいが萎縮しすぎてまともに声出せてねーじゃねーか……)
「はぁ、もうそれ面倒だから普通にしてくんねぇかな?」
「ご、ごめんなさい……」
「まぁ後に直してくれたら良い……それよりお前名前は?」
「私は……相田翼」
「翼な。お腹空いただろう、これ食えよ」
俺はリュックの中に入っていたプロテインバーを渡す。俺が筋トレしていた時にとてもお世話になったタンパク質たっぷりのお菓子だ。
「え?いいんですか?」
「良いって言ってんだろ、早くしろ」
「や、やったぁ!」
「うるせぇ!」
「は、はぃ……」
(こいつの感情の起伏には中間は無いのか……)
俺はまたしても面倒なやつと接触してしまったらしい。
「ヴォォォ!」
「やだやだぁ来ないでよぉっ!」
ドアの前で尻餅をつきながら頭を隠すように腕をバッテンにして体を縮こませるナース服の女。
そしてその女の言葉が分かるはずもなく、遠慮なく段々と近づいていく複数のゾンビ……にもかかわらず全くドアを閉める気配を見せないでいた。
(え、は?この女ホント何してんの?)
ゾンビに言葉が通じるとでも思っているのか?もし本当にそうだとしたらとんだお花畑の脳みそだと思う。
「……いやあれは完全にそう思っているやつだな」
まだゾンビに対して何か言ってるのが聞こえる。そして徐々に距離を縮めるゾンビ。しかしゾンビもゾンビだ。走って襲おうとすれば完全にヤレるのにそれをしようとしない。
(これは知性が薄いのが原因か……はたまたあの女の言葉が本当に通じているのか……)
どう考えても前者だな。そんな人間の部分が残っているならゾンビは家族や恋人を襲おうとはしないだろう。もしかしたら俺のようなおかしな体質で……ゾンビと通じ合える能力を持っているなら話は別だがそれはもっとあり得ない話だ。
「ヴォォォ!」
「いやぁぁぁ!」
(はぁ……しょうがないか……)
ここで助けないは選択もできるが、俺は奏を助けたのにここでこの女を助けない理由は無い。助ける理由は目覚めが悪くなる、ただそんな単純な理由だ。
さらに言うならば、この女が最後の生存者という可能性もあるのでここまで来たのが無駄足にならないために助けるのも理由の一つだ。
「ヴォォォ!」
「どけ」
俺はヤられる寸前の所で横から助走をつけた強烈な蹴りを入れる。ゾンビが吹き飛んだ勢いで周りのゾンビもドミノのように一緒に倒れていく。
「おぉ……人間ドミノときたか。こりゃ楽チンで助かる」
「え、え?えぇ!?」
ゾンビの気配が目の前から消えたのを感じたのか、目を開けて俺を見上げる。そしてあり得ないものを見るような目で俺を見ては驚愕した顔をして大きな声を上げる。
「ちっ……うるせぇ!」
「は、はひっ!」
ゾンビに囲まれている状況なのに大声を上げたこの女に俺は苛立った感情を向けて声を荒げてしまう。それによって涙目な女は自分の口を両手で塞ぎ子犬のように萎縮してしまう。
少し悪い事をしたかと思ったりもしたが、よくよく考えてみなくてもこの女が悪い。
これは仕方のない事だと思う、こんな状況なのに自分で危険を招き寄せるような行動をしてしまうのだから、怒るのも無理はないはずだ。
「ヴォォォ……」
(ほら見ろ六階からゾンビが上がってきたじゃねーか……)
「とりあえず中入るぞ」
「はぃ……」
萎縮したまま両手で口を塞ぎながら返事をするこの女を見て俺は溜息をつく。
(昔可愛がってた子犬に似てんなこいつ……特に目のあたりが)
チワワみたいに大きくて丸い目。そんな目をうるうるさせながら俺を見る。それだけで庇護欲が湧いてくるが、首から下を見ればそれはもはやチワワの可愛らしい体とは真逆だ。
(生で初めて見るな……これがボン・キュ・ボンか……俺からしたらこいつの方がゾンビよりもモンスター級だよ)
Gカップくらいある胸とキュッと締まっているお腹。そしてくびれがあって綺麗なラインの腰、その下にはナース服のスカートじゃ抑えきれないほどの大きい尻。それに脚もスラっとしていて程よい肉付きである。
(奏もスタイルは良いが……こいつは別次元の存在だな)
いや……こんな事を考えるのは止めよう。何となく奏に鋭い視線で睨まれているのが脳裏に浮かぶ。
そんな事をさておきだ、俺たちは女が先程いた部屋へと入る。
「よし、ドアを閉めたからもう普通にしてて良いぞ」
「あ、はぃ……」
とは言っても先程の叱られた光景を鮮明に覚えているのか、俺に対しての緊張はまだ解けずにいた。
だが、静かにしてくれるのは俺にとってありがたい事のためこのままにしておくのもありだと思った。
「おい、単刀直入に聞くぞ。他に生存者はいるか?」
「……ぃぅ……と思います」
「あぁ?」
「い、いると思います!」
「ちっ!」
「ひぃっ!ご、ごめんなさい!」
(静かなのはありがたいが萎縮しすぎてまともに声出せてねーじゃねーか……)
「はぁ、もうそれ面倒だから普通にしてくんねぇかな?」
「ご、ごめんなさい……」
「まぁ後に直してくれたら良い……それよりお前名前は?」
「私は……相田翼」
「翼な。お腹空いただろう、これ食えよ」
俺はリュックの中に入っていたプロテインバーを渡す。俺が筋トレしていた時にとてもお世話になったタンパク質たっぷりのお菓子だ。
「え?いいんですか?」
「良いって言ってんだろ、早くしろ」
「や、やったぁ!」
「うるせぇ!」
「は、はぃ……」
(こいつの感情の起伏には中間は無いのか……)
俺はまたしても面倒なやつと接触してしまったらしい。
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