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第四章:華燭の姫君
第47話 銀の王(3)
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過去視の訓練は諦めて読書することにしたわたしは、やっぱり身が入らない自分に嘆息していた。
そのうちにアークとの晩餐の時間がやってきて、わたしは彼と今向かい合ってぎこちなくナイフとフォークを動かしていた。
アークに感じる気持ちが恋じゃないかと気づいてから、わたしは彼の顔を見るのも一苦労だ。実際彼と話してて、自分が不自然に赤面したりしないかとはらはらし通しだった。
「……どうした、あまり食べないな。もしかして口に合わないのか?」
食の進まないわたしを心配してか、アークが声をかけてくる。わたしは慌ててナイフとフォークを動かした。
「ううん、そんなことないよ」
五百年後と比べたら、だいぶ料理は大味だけど、食べられないということはない。
わたしは鶏肉のローストを一口大に切って食してからおもむろに言った。
「……ああ、でもちょっと塩気が足りないかな」
他の料理も少し塩分を足しただけで、かなりおいしくなりそうなのにもったいない。
「そうか、料理長にそのように伝えておく。言われてみれば、確かに塩が足りないな」
得心がいったようにアークは頷くと、笑顔をわたしに向けてきた。
……お願いだから、その心臓に悪い笑顔はやめてほしい。
「おまえはおもしろいな。姫君の格好をしていて、その作法もなっている。それなのに口調は町娘そのものだ。今も姫君らしくなく、料理に塩が足りないと指摘する。まるで料理の心得があるようだ」
うん、実は出来るんだけどね。
日本にいた頃には両親不在が多くて、自然と自分で作ることが多かったし。でも実用一辺倒でお菓子とかはあまり作ったことはないんだよね。
ただ、この時代での調理器具で料理できるかは、はなはだ疑問だけど。
「……まあ、多少は料理は作ってたけど。……ただ、魚程度なら捌けるけど、さすがに動物を解体するのはちょっと無理」
スプラッタは出来ればごめん被りたい。
アークは驚いたようにわたしを見ると、ちょっと呆れたように言った。
「……本当に出来たのか。まさかとは思っていたがそこまで出来るとは。しかし、解体作業自体、おまえに見せようとするものはいないだろう」
うんまあ、厨房を時々借りていた五百年後の世界でもそうだったらしいんだけどね。
今更ながらわたしは彼らの心遣いに感謝した。
「今度厨房で料理作ってもいい? ここでどんな評価もらえるか聞いてみたいんだけど」
「……ああ、まあ、いいが……、料理長にも話を通しておこう」
アークは苦笑したけど、それでもわたしの願いを聞いてくれた。
よかった。明日早速厨房に行ってみよう。
わたしがそう決心していると、アークに忠告された。
「ただし、護衛の騎士は部屋から出るときはどんなときでも連れていけ。厳選した騎士達だ。おまえに言い寄るおかしな輩もそう出るまい」
「うん、分かった。ありがとう」
わたしのこの見た目は災いの元になりうることは、すでに身にしみている。
よけいな火種は作らないに越したことはないものね。わたしはアークの言葉に素直に頷いた。
それからわたしは、いつ切り出そうかと迷っていた、彼に他の姫を娶ってもらうという作戦敢行に移ることにした。
「……ところで話は変わるけど、アークは結婚しないの?」
「なんだいきなり」
う、確かにいきなりだったかな。見るとアークが唖然としてる。
「アークって二十一なんでしょ? 周りが早く妃を娶れとかうるさくない?」
「まあ、確かにうるさいが」
この世界の成人は十五なので、早い人はその歳でもう婚礼をあげたり、婚約なりしている。
カディスは今のアークよりもう少し上だけど、かなり貴族あたりからの突き上げが激しいらしいし。
「妃候補の姫とかいるでしょ? アークは早く結婚した方がいいと思うな。跡継ぎとかの問題もあるだろうし」
わたしがそう言うと、アークはむっとした顔になった。
ああ、わたし彼の不興をかっちゃったかな。……いやいや、この場合はその方がいいんだ。そうなれば、史実通りに物事は進まないだろうから。
そう思うのに、泣きたくなってくるのはなぜだろう。
「確かに妃候補はいる。しかし、わたしはその中から選ぼうとは思わない」
「なんで? 候補になっている姫をいつまでも待たすのも残酷じゃない」
求婚者から相手を選べないわたしがこう言うのも変だけど。
「……それは先程のわたしへの反撃か?」
「そ、そうじゃないけど」
わたしがしどろもどろになってなんとかそう言うと、アークは前髪をくしゃりと掴んで溜息をついた。
「わたしは重臣たちが決めた姫から妃を選ぶつもりはない。自分の伴侶は自分で選ぶ」
「そ、そうなんだ……」
彼が自分でそこまで決めているのなら、わたしがこれ以上なにか言っても無駄かもしれない。
わたしはアークが今のところ他の姫を娶ることはないことを知って、内心ほっとしていた。
そこまで考えて、わたしは自分がおかしな方向に安心していることに気づいて、首を横に振った。
駄目だよ。これじゃ駄目。このままじゃ、伝承通りに物事が進んでしまうかもしれない。
「で、でも、会ってみるだけでもしてみたら? そしたら、気も変わるかもしれないじゃない」
わたしはなんとかしてアークの気を変えようと必死だった。……その間も謎の心の痛みに悩まされたけれど。
「……今、わたしは断っただろう。家名だけが取り柄の姫に会うつもりもない」
「アーク、それは酷いよ。中には家名なんて関係なく、素敵な人もいるかもしれないのに」
「……どちらが酷いんだ」
アークはふと苦しそうな顔になって立ち上がるとわたしの傍まで来た。それでわたしも思わず椅子から立ち上がる。
わたしは彼が酷くつらそうなのが気になったけれど、なんとなく危機感を覚えて後ろの壁まで後退する。
「わたしにいきなりそんなことを言う、おまえはこの上なく残酷だ……」
苦しげな顔でアークはそう言うと、わたしの両側の壁に手を付き、顔を傾けてきた。
わたしは動けない。……だって、これって。
やがてアークの唇がわたしの唇に重なり、わたしは肩を彼に押さえられる。
「アー……」
抗議しようとして彼の名を呼ぼうとしたら、アークの唇にまたそれを阻まれた。
軽く触れるような先程のキスとは違って、今度は心の奥底まで揺さぶられるような深い深いキス。
ようやく彼の唇から解放されたわたしは、自分の唇を両手で覆った。
わたしは今きっと、涙目になって、みっともないくらい真っ赤になって震えているだろう。
「……なんで……?」
「イルーシャ、わたしはおまえが好きだ。そのおまえに他の姫を娶れと言われたら、到底冷静ではいられない」
……アークがわたしを好き?
思ってもいなかったことに、わたしは息をのんだ。
「だ、だって、あなたとは今日会ったばかりじゃない。それなのに、いきなりこんなのって酷いよ」
酷いと言いながら、同時にどこかで喜んでいる自分もいて、わたしは混乱しながら首を横に振った。
「時間は関係ない。わたしはやることなすこと他の姫とは違うおまえに惹かれた。出来ればおまえを妃に据えたい」
「そんな……」
真摯な瞳で見つめてくるアークをわたしは呆然と見上げる。
だって、だめだよ、このままじゃ伝承通りになってしまう。
「わ、わたしは今から相当昔の人間で、姫君の身分なんてないよ? それを妃になんて無理だよ」
「身分などどうにでもなる。おまえをしかるべき貴族の養女にすれば問題はない」
そ、そうか、その手があったんだ。それは身分の低い女性を妃に据えるときの常套手段だ。
「で、でも、わたしはあなたに会ったばかりだし、妃になるなんて考えられない」
「イルーシャ」
わたしがうろたえながらそう言うと、不意にアークに強い口調で声をかけられた。
わたしが彼を見ると、頬に手を伸ばされて、わたしは思わずびくりとする。
「……わたしを好きになれ、イルーシャ」
熱い視線を浴びせられ動けないわたしに、再びアークは唇を重ねてくる。
「や……」
口づけの合間になんとかわたしは声を発しようとする。
「わたし、は、あなたを……すきになんて……っ」
その度にアークに唇を塞がれて、わたしは息も絶え絶えになる。
駄目だよ、絶対にあなただけは駄目。
喜びに震える心に抗いながら、わたしは否定の言葉を紡ぐ。
それでもアークの口付けは止まらない。
──嫌なら逃げてしまえばいい。
アークの胸を押し返してもいいし、そうそう出来るかは分からないけれど、過去視を発動させて意識を飛ばしても良かった。
そう思ったけれど、そのどちらも出来ずに、わたしはただ彼の唇を受けるだけだった。
そのうちにアークとの晩餐の時間がやってきて、わたしは彼と今向かい合ってぎこちなくナイフとフォークを動かしていた。
アークに感じる気持ちが恋じゃないかと気づいてから、わたしは彼の顔を見るのも一苦労だ。実際彼と話してて、自分が不自然に赤面したりしないかとはらはらし通しだった。
「……どうした、あまり食べないな。もしかして口に合わないのか?」
食の進まないわたしを心配してか、アークが声をかけてくる。わたしは慌ててナイフとフォークを動かした。
「ううん、そんなことないよ」
五百年後と比べたら、だいぶ料理は大味だけど、食べられないということはない。
わたしは鶏肉のローストを一口大に切って食してからおもむろに言った。
「……ああ、でもちょっと塩気が足りないかな」
他の料理も少し塩分を足しただけで、かなりおいしくなりそうなのにもったいない。
「そうか、料理長にそのように伝えておく。言われてみれば、確かに塩が足りないな」
得心がいったようにアークは頷くと、笑顔をわたしに向けてきた。
……お願いだから、その心臓に悪い笑顔はやめてほしい。
「おまえはおもしろいな。姫君の格好をしていて、その作法もなっている。それなのに口調は町娘そのものだ。今も姫君らしくなく、料理に塩が足りないと指摘する。まるで料理の心得があるようだ」
うん、実は出来るんだけどね。
日本にいた頃には両親不在が多くて、自然と自分で作ることが多かったし。でも実用一辺倒でお菓子とかはあまり作ったことはないんだよね。
ただ、この時代での調理器具で料理できるかは、はなはだ疑問だけど。
「……まあ、多少は料理は作ってたけど。……ただ、魚程度なら捌けるけど、さすがに動物を解体するのはちょっと無理」
スプラッタは出来ればごめん被りたい。
アークは驚いたようにわたしを見ると、ちょっと呆れたように言った。
「……本当に出来たのか。まさかとは思っていたがそこまで出来るとは。しかし、解体作業自体、おまえに見せようとするものはいないだろう」
うんまあ、厨房を時々借りていた五百年後の世界でもそうだったらしいんだけどね。
今更ながらわたしは彼らの心遣いに感謝した。
「今度厨房で料理作ってもいい? ここでどんな評価もらえるか聞いてみたいんだけど」
「……ああ、まあ、いいが……、料理長にも話を通しておこう」
アークは苦笑したけど、それでもわたしの願いを聞いてくれた。
よかった。明日早速厨房に行ってみよう。
わたしがそう決心していると、アークに忠告された。
「ただし、護衛の騎士は部屋から出るときはどんなときでも連れていけ。厳選した騎士達だ。おまえに言い寄るおかしな輩もそう出るまい」
「うん、分かった。ありがとう」
わたしのこの見た目は災いの元になりうることは、すでに身にしみている。
よけいな火種は作らないに越したことはないものね。わたしはアークの言葉に素直に頷いた。
それからわたしは、いつ切り出そうかと迷っていた、彼に他の姫を娶ってもらうという作戦敢行に移ることにした。
「……ところで話は変わるけど、アークは結婚しないの?」
「なんだいきなり」
う、確かにいきなりだったかな。見るとアークが唖然としてる。
「アークって二十一なんでしょ? 周りが早く妃を娶れとかうるさくない?」
「まあ、確かにうるさいが」
この世界の成人は十五なので、早い人はその歳でもう婚礼をあげたり、婚約なりしている。
カディスは今のアークよりもう少し上だけど、かなり貴族あたりからの突き上げが激しいらしいし。
「妃候補の姫とかいるでしょ? アークは早く結婚した方がいいと思うな。跡継ぎとかの問題もあるだろうし」
わたしがそう言うと、アークはむっとした顔になった。
ああ、わたし彼の不興をかっちゃったかな。……いやいや、この場合はその方がいいんだ。そうなれば、史実通りに物事は進まないだろうから。
そう思うのに、泣きたくなってくるのはなぜだろう。
「確かに妃候補はいる。しかし、わたしはその中から選ぼうとは思わない」
「なんで? 候補になっている姫をいつまでも待たすのも残酷じゃない」
求婚者から相手を選べないわたしがこう言うのも変だけど。
「……それは先程のわたしへの反撃か?」
「そ、そうじゃないけど」
わたしがしどろもどろになってなんとかそう言うと、アークは前髪をくしゃりと掴んで溜息をついた。
「わたしは重臣たちが決めた姫から妃を選ぶつもりはない。自分の伴侶は自分で選ぶ」
「そ、そうなんだ……」
彼が自分でそこまで決めているのなら、わたしがこれ以上なにか言っても無駄かもしれない。
わたしはアークが今のところ他の姫を娶ることはないことを知って、内心ほっとしていた。
そこまで考えて、わたしは自分がおかしな方向に安心していることに気づいて、首を横に振った。
駄目だよ。これじゃ駄目。このままじゃ、伝承通りに物事が進んでしまうかもしれない。
「で、でも、会ってみるだけでもしてみたら? そしたら、気も変わるかもしれないじゃない」
わたしはなんとかしてアークの気を変えようと必死だった。……その間も謎の心の痛みに悩まされたけれど。
「……今、わたしは断っただろう。家名だけが取り柄の姫に会うつもりもない」
「アーク、それは酷いよ。中には家名なんて関係なく、素敵な人もいるかもしれないのに」
「……どちらが酷いんだ」
アークはふと苦しそうな顔になって立ち上がるとわたしの傍まで来た。それでわたしも思わず椅子から立ち上がる。
わたしは彼が酷くつらそうなのが気になったけれど、なんとなく危機感を覚えて後ろの壁まで後退する。
「わたしにいきなりそんなことを言う、おまえはこの上なく残酷だ……」
苦しげな顔でアークはそう言うと、わたしの両側の壁に手を付き、顔を傾けてきた。
わたしは動けない。……だって、これって。
やがてアークの唇がわたしの唇に重なり、わたしは肩を彼に押さえられる。
「アー……」
抗議しようとして彼の名を呼ぼうとしたら、アークの唇にまたそれを阻まれた。
軽く触れるような先程のキスとは違って、今度は心の奥底まで揺さぶられるような深い深いキス。
ようやく彼の唇から解放されたわたしは、自分の唇を両手で覆った。
わたしは今きっと、涙目になって、みっともないくらい真っ赤になって震えているだろう。
「……なんで……?」
「イルーシャ、わたしはおまえが好きだ。そのおまえに他の姫を娶れと言われたら、到底冷静ではいられない」
……アークがわたしを好き?
思ってもいなかったことに、わたしは息をのんだ。
「だ、だって、あなたとは今日会ったばかりじゃない。それなのに、いきなりこんなのって酷いよ」
酷いと言いながら、同時にどこかで喜んでいる自分もいて、わたしは混乱しながら首を横に振った。
「時間は関係ない。わたしはやることなすこと他の姫とは違うおまえに惹かれた。出来ればおまえを妃に据えたい」
「そんな……」
真摯な瞳で見つめてくるアークをわたしは呆然と見上げる。
だって、だめだよ、このままじゃ伝承通りになってしまう。
「わ、わたしは今から相当昔の人間で、姫君の身分なんてないよ? それを妃になんて無理だよ」
「身分などどうにでもなる。おまえをしかるべき貴族の養女にすれば問題はない」
そ、そうか、その手があったんだ。それは身分の低い女性を妃に据えるときの常套手段だ。
「で、でも、わたしはあなたに会ったばかりだし、妃になるなんて考えられない」
「イルーシャ」
わたしがうろたえながらそう言うと、不意にアークに強い口調で声をかけられた。
わたしが彼を見ると、頬に手を伸ばされて、わたしは思わずびくりとする。
「……わたしを好きになれ、イルーシャ」
熱い視線を浴びせられ動けないわたしに、再びアークは唇を重ねてくる。
「や……」
口づけの合間になんとかわたしは声を発しようとする。
「わたし、は、あなたを……すきになんて……っ」
その度にアークに唇を塞がれて、わたしは息も絶え絶えになる。
駄目だよ、絶対にあなただけは駄目。
喜びに震える心に抗いながら、わたしは否定の言葉を紡ぐ。
それでもアークの口付けは止まらない。
──嫌なら逃げてしまえばいい。
アークの胸を押し返してもいいし、そうそう出来るかは分からないけれど、過去視を発動させて意識を飛ばしても良かった。
そう思ったけれど、そのどちらも出来ずに、わたしはただ彼の唇を受けるだけだった。
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