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第四章:華燭の姫君
第49話 蜜月の前に(1)
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「イルーシャ」
アークはわたしを膝の上に抱え直すと、瞼に口づけを落としてきた。
そしてそれは、頬から唇へと移動してくる。
「ん……アー、ク」
この時のわたしは傍にアークの近衛騎士がいるとか、わたしのお付きの騎士のジェラルドがいることも忘れ去っていた。
ただ想うのは、アークのことだけ。それだけだった。
やがてアークに唇を離されると、真剣な表情で確認された。
「イルーシャ、わたしの妃になってくれるな?」
わたしはすぐにもその言葉に頷いてしまいたかった。……でも。
「……あの、その前にあなたにお願いがあるの」
「なんだ?」
アークはそこでわたしが即答すると思っていたらしくて瞳を見開いたけれど、ちゃんとわたしの話を聞いてくれようとしていた。
わたしは心を決めて、息を吸い込んで吐き出した。
「これから先、どんなことがあっても、わたしを月読の塔に封印しないで」
わたしのこの願いが思いもかけないことだったのか、アークは瞠目したけれど、やがて気を取り直したように言った。
「……あの白き塔は、月読の塔と言うのか? それなら心配はない。わたしがおまえをあの塔に封印するなどありえない」
わたしを安心させるかのようにアークは笑って言う。彼はそんなことにはならないと確信しているのだろう。
「……それならいいんだけど。でもお願いね」
「ああ、約束する。そもそも、おまえがそんな心配をする必要もない」
「……うん、そうだね。変なこと言ってごめんなさい」
でもこれで最悪の事態になった時、アークが塔の封印で命を削ることはなさそうだ。
わたしがほっと息を付いていると、アークはもう一度言った。
「これで、わたしの妃になってくれるか?」
わたしは一瞬うんと言いそうになったけど、慌てて止めた。
プロポーズには、きちんと返したいものね。
「……はい。わたしで良かったら、喜んで」
わたしは瞳に涙を浮かべながらも微笑んで答える。
アークも微笑んで、わたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
「イルーシャ、わたしのものだ」
「アーク」
わたしは彼にしがみついてただ名前を繰り返す。
花びらが舞う庭園で、わたし達は時々口づけを交わしながら、しばらくの間抱き合っていた。
「陛下、そろそろお時間です」
軽い咳払いの後、アーク付きの近衛騎士さんがおもむろに言った。
「そうか、もうそんな時間か。イルーシャ、おまえはまだここに残るか?」
「うん、じゃなくて、ええ」
思わずいつも通りうんと答えてしまったわたしは慌てて言い直した。
「どうしたんだ、急に口調を変えて」
「あなたの妃になるなら、少しはそれらしく振る舞ったほうがいいのかな、……かしらと思って。わたしはあなたにふさわしくありたいの」
「わたしはおまえの口調がどうであろうと気にしないが。……だが、おまえのしたいようにすればいい」
「……ええ」
彼がわたしの口調はどうでもいいというのは本心で言っているのだというのが伝わってきて、わたしは嬉しくて微笑んだ。
……でも町娘口調のことでアークが周りになにか言われたらとても嫌だし、わたしは王妃にふさわしくなるよう無理にでも口調を矯正することを決めた。
「それでは悪いが先に戻る。……イルーシャ、付いている騎士から離れるな」
「……分かったわ」
うう、まだ口調に違和感が。かといって、そうすぐに慣れるものでもないので、これは気にしないことにした。
アークは立ち上がって彼の膝の上にいたわたしを椅子に座らせると、軽く唇に口づけてきた。
「それではな」
アークは優しい微笑みを残して近衛騎士さんと共に移動魔法で消えた。
わたしはしばらくアークの消えた地点を見つめていたけれど、そのままぼんやりしていても仕方ないので庭園を散策してこれからのことを少し考えることにした。
わたしはアークの妃になることを承知してしまったわけだけど、とりあえずアークの寿命を削る塔の封印はしないと約束できたわけだし、ひとまずは安心してもいいのかもしれない。
ただ、この先にわたしに横恋慕するという魔術師の存在には気をつけないといけない。
魔術師相手に利くかどうか分からないけれど、今後のためにもアークに防御壁や魔防壁を習っておいた方がいいのかもしれない。
あと、魔術師に会わないことを前提に考えるなら、今後の王家の系譜を変えない為にも、アークとの子供は作ってはいけないだろう。
……果たしてこの時代にも避妊薬はあるのだろうかと考えたけれど、この辺りは侍女のシンシアかエレーンに聞いてみるしかない。
でもさすがに結婚もしてないのに今から聞くのは恥ずかしいから、それはことがすんでからこっそり聞いてみよう。
それから、五百年後のみんなのことも気にかかる。ここからでは未来になるので、過去視ではどうやっても状況を視ることはできないのが辛いところだ。
知ったからといって、どうこう出来る訳じゃないけれど、心配をかけているかもしれないと思うとやっぱり気になる。
そして、そんな彼らを差し置いて、わたしは今幸せになろうとしている。
それはとても自分勝手で、もし五百年後の世界に戻ることがあるとすれば、わたしは彼らに罵倒されても仕方ないだろう。
そう考えると胸が痛いけど、それでもわたしはアークと結ばれたい。
その気持ちはどうしても変えようがなくて、わたしは自分のその欲深さに溜息をついた。
「……もうそろそろ戻ります」
わたしはいろいろ考えるのをやめて、ジェラルドに声をかける。
そして、彼に警護されながら自分の部屋に戻った。
それからアークはわたしの部屋に現れることはなくて少し寂しかったけれど、たぶん執務が忙しいんだろうと思って諦めた。
そういえばわたし、厨房へ行ってみようと考えてたのよね。アークは料理長に話を通しておくと言ってくれていたし、たぶん大丈夫だろう。
「イルーシャ様、本当に厨房に行かれるのですか?」
ジェラルドが心配そうにわたしを見てくる。
「もちろん」
既にわたしは動きやすいように、侍女服を借りて、髪を後ろにまとめてある。準備はいつでも万端だ。
わたしが厨房に赴くと、まず中の人がわたしの顔を見て呆然としていた。
その様子にお付きのジェラルドが「無理もない」と苦笑して言った。
「あの……、陛下から話は行っているかと思うのですけれど、わたしはイルーシャです。料理を作りにお邪魔しました」
「はははは、はいっ!! 伺っております!」
声が上擦っているけれど、この人が料理長だろう。
「厨房をお借りしてもよろしいですか?」
わたしは彼に許可を直接取るために、首をちょっと傾げて微笑みながら尋ねた。
ずるいやり方だけれど、この聞き方で断られたことは一度もない。
厨房で料理を作るのはそんなに困らなかった。調理器具も魔法で火力調節できるようになっていたし、そこの辺りは五百年後とそう変わらなかった。
水もきちんと蛇口から出てきたし、てっきり瓶から柄杓で汲まないと駄目かなと思っていたのでこれは助かった。
わたしはいくつか料理を作って厨房の人達やジェラルドに試食して貰ったんだけど、ありがたいことに絶賛してもらった。
料理長からもレシピを聞かれたりした。これを今後王族のメニューに出すことに決めたそうだ。
……まあ、これは五百年後でも出てた料理だから問題ないと思うけれど。
アークがわたしの部屋に現れたのは晩餐時だった。
ちょうどよく、彼にわたしが作った料理を食べて貰う機会ができたので、にこにこしてしまった。
「どうした。機嫌がいいな」
「あのね、今日厨房で料理作ったの。アークに食べて貰えたら嬉しい、わ」
「……本当に作ったのか」
アークは一瞬信じられないと言うように瞳を見開くと、その次には苦笑した。
「わたしが作ったのは、ホワイトシチューと、魚介のピラフと、ハーブを利かせた白身魚のソテーなの。……あなたの口に合えばいいのだけど」
「イルーシャが作った料理か。確かにうまそうだ。どれ、食べてみるか」
アークはホワイトシチューをスプーンですくうと口に入れる。すると驚いたように目を瞠った。
「……うまい」
「本当!? 良かった!」
わたしの料理がアークの口に合ったことで、わたしは飛び上がりたいくらい嬉しかった。
「あ、他のも食べてみて。味はどうかしら?」
わたしはピラフと白身魚のソテーも彼に食して貰って、その感想を聞いた。
「驚いた。どれもうまい。これまでわたしが食べていたものがどんなに味気ないものだったか、たった今気づいた」
アークは本気でそう言ってくれてるらしく、わたしの料理をしっかりと平らげてくれた。これは作った者としてはすごく嬉しい。
それに、なんかこれ、ちょっと新婚さんみたいじゃない?
そこまで考えてわたしはかああっと真っ赤になった。
「イルーシャ、どうした?」
「まるで新婚みたいって考えていたの。ちょっと気が早過ぎるわよね」
言ってみて、自分の恥ずかしい台詞に気が付いてわたしは赤くなった頬を覆った。
アークはそんなわたしに微笑むと、傍に寄ってきた。そしてわたしを抱き寄せて言った。
「いや、そんなに早過ぎでもない。婚礼は五日後に決まった」
アークはわたしを膝の上に抱え直すと、瞼に口づけを落としてきた。
そしてそれは、頬から唇へと移動してくる。
「ん……アー、ク」
この時のわたしは傍にアークの近衛騎士がいるとか、わたしのお付きの騎士のジェラルドがいることも忘れ去っていた。
ただ想うのは、アークのことだけ。それだけだった。
やがてアークに唇を離されると、真剣な表情で確認された。
「イルーシャ、わたしの妃になってくれるな?」
わたしはすぐにもその言葉に頷いてしまいたかった。……でも。
「……あの、その前にあなたにお願いがあるの」
「なんだ?」
アークはそこでわたしが即答すると思っていたらしくて瞳を見開いたけれど、ちゃんとわたしの話を聞いてくれようとしていた。
わたしは心を決めて、息を吸い込んで吐き出した。
「これから先、どんなことがあっても、わたしを月読の塔に封印しないで」
わたしのこの願いが思いもかけないことだったのか、アークは瞠目したけれど、やがて気を取り直したように言った。
「……あの白き塔は、月読の塔と言うのか? それなら心配はない。わたしがおまえをあの塔に封印するなどありえない」
わたしを安心させるかのようにアークは笑って言う。彼はそんなことにはならないと確信しているのだろう。
「……それならいいんだけど。でもお願いね」
「ああ、約束する。そもそも、おまえがそんな心配をする必要もない」
「……うん、そうだね。変なこと言ってごめんなさい」
でもこれで最悪の事態になった時、アークが塔の封印で命を削ることはなさそうだ。
わたしがほっと息を付いていると、アークはもう一度言った。
「これで、わたしの妃になってくれるか?」
わたしは一瞬うんと言いそうになったけど、慌てて止めた。
プロポーズには、きちんと返したいものね。
「……はい。わたしで良かったら、喜んで」
わたしは瞳に涙を浮かべながらも微笑んで答える。
アークも微笑んで、わたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
「イルーシャ、わたしのものだ」
「アーク」
わたしは彼にしがみついてただ名前を繰り返す。
花びらが舞う庭園で、わたし達は時々口づけを交わしながら、しばらくの間抱き合っていた。
「陛下、そろそろお時間です」
軽い咳払いの後、アーク付きの近衛騎士さんがおもむろに言った。
「そうか、もうそんな時間か。イルーシャ、おまえはまだここに残るか?」
「うん、じゃなくて、ええ」
思わずいつも通りうんと答えてしまったわたしは慌てて言い直した。
「どうしたんだ、急に口調を変えて」
「あなたの妃になるなら、少しはそれらしく振る舞ったほうがいいのかな、……かしらと思って。わたしはあなたにふさわしくありたいの」
「わたしはおまえの口調がどうであろうと気にしないが。……だが、おまえのしたいようにすればいい」
「……ええ」
彼がわたしの口調はどうでもいいというのは本心で言っているのだというのが伝わってきて、わたしは嬉しくて微笑んだ。
……でも町娘口調のことでアークが周りになにか言われたらとても嫌だし、わたしは王妃にふさわしくなるよう無理にでも口調を矯正することを決めた。
「それでは悪いが先に戻る。……イルーシャ、付いている騎士から離れるな」
「……分かったわ」
うう、まだ口調に違和感が。かといって、そうすぐに慣れるものでもないので、これは気にしないことにした。
アークは立ち上がって彼の膝の上にいたわたしを椅子に座らせると、軽く唇に口づけてきた。
「それではな」
アークは優しい微笑みを残して近衛騎士さんと共に移動魔法で消えた。
わたしはしばらくアークの消えた地点を見つめていたけれど、そのままぼんやりしていても仕方ないので庭園を散策してこれからのことを少し考えることにした。
わたしはアークの妃になることを承知してしまったわけだけど、とりあえずアークの寿命を削る塔の封印はしないと約束できたわけだし、ひとまずは安心してもいいのかもしれない。
ただ、この先にわたしに横恋慕するという魔術師の存在には気をつけないといけない。
魔術師相手に利くかどうか分からないけれど、今後のためにもアークに防御壁や魔防壁を習っておいた方がいいのかもしれない。
あと、魔術師に会わないことを前提に考えるなら、今後の王家の系譜を変えない為にも、アークとの子供は作ってはいけないだろう。
……果たしてこの時代にも避妊薬はあるのだろうかと考えたけれど、この辺りは侍女のシンシアかエレーンに聞いてみるしかない。
でもさすがに結婚もしてないのに今から聞くのは恥ずかしいから、それはことがすんでからこっそり聞いてみよう。
それから、五百年後のみんなのことも気にかかる。ここからでは未来になるので、過去視ではどうやっても状況を視ることはできないのが辛いところだ。
知ったからといって、どうこう出来る訳じゃないけれど、心配をかけているかもしれないと思うとやっぱり気になる。
そして、そんな彼らを差し置いて、わたしは今幸せになろうとしている。
それはとても自分勝手で、もし五百年後の世界に戻ることがあるとすれば、わたしは彼らに罵倒されても仕方ないだろう。
そう考えると胸が痛いけど、それでもわたしはアークと結ばれたい。
その気持ちはどうしても変えようがなくて、わたしは自分のその欲深さに溜息をついた。
「……もうそろそろ戻ります」
わたしはいろいろ考えるのをやめて、ジェラルドに声をかける。
そして、彼に警護されながら自分の部屋に戻った。
それからアークはわたしの部屋に現れることはなくて少し寂しかったけれど、たぶん執務が忙しいんだろうと思って諦めた。
そういえばわたし、厨房へ行ってみようと考えてたのよね。アークは料理長に話を通しておくと言ってくれていたし、たぶん大丈夫だろう。
「イルーシャ様、本当に厨房に行かれるのですか?」
ジェラルドが心配そうにわたしを見てくる。
「もちろん」
既にわたしは動きやすいように、侍女服を借りて、髪を後ろにまとめてある。準備はいつでも万端だ。
わたしが厨房に赴くと、まず中の人がわたしの顔を見て呆然としていた。
その様子にお付きのジェラルドが「無理もない」と苦笑して言った。
「あの……、陛下から話は行っているかと思うのですけれど、わたしはイルーシャです。料理を作りにお邪魔しました」
「はははは、はいっ!! 伺っております!」
声が上擦っているけれど、この人が料理長だろう。
「厨房をお借りしてもよろしいですか?」
わたしは彼に許可を直接取るために、首をちょっと傾げて微笑みながら尋ねた。
ずるいやり方だけれど、この聞き方で断られたことは一度もない。
厨房で料理を作るのはそんなに困らなかった。調理器具も魔法で火力調節できるようになっていたし、そこの辺りは五百年後とそう変わらなかった。
水もきちんと蛇口から出てきたし、てっきり瓶から柄杓で汲まないと駄目かなと思っていたのでこれは助かった。
わたしはいくつか料理を作って厨房の人達やジェラルドに試食して貰ったんだけど、ありがたいことに絶賛してもらった。
料理長からもレシピを聞かれたりした。これを今後王族のメニューに出すことに決めたそうだ。
……まあ、これは五百年後でも出てた料理だから問題ないと思うけれど。
アークがわたしの部屋に現れたのは晩餐時だった。
ちょうどよく、彼にわたしが作った料理を食べて貰う機会ができたので、にこにこしてしまった。
「どうした。機嫌がいいな」
「あのね、今日厨房で料理作ったの。アークに食べて貰えたら嬉しい、わ」
「……本当に作ったのか」
アークは一瞬信じられないと言うように瞳を見開くと、その次には苦笑した。
「わたしが作ったのは、ホワイトシチューと、魚介のピラフと、ハーブを利かせた白身魚のソテーなの。……あなたの口に合えばいいのだけど」
「イルーシャが作った料理か。確かにうまそうだ。どれ、食べてみるか」
アークはホワイトシチューをスプーンですくうと口に入れる。すると驚いたように目を瞠った。
「……うまい」
「本当!? 良かった!」
わたしの料理がアークの口に合ったことで、わたしは飛び上がりたいくらい嬉しかった。
「あ、他のも食べてみて。味はどうかしら?」
わたしはピラフと白身魚のソテーも彼に食して貰って、その感想を聞いた。
「驚いた。どれもうまい。これまでわたしが食べていたものがどんなに味気ないものだったか、たった今気づいた」
アークは本気でそう言ってくれてるらしく、わたしの料理をしっかりと平らげてくれた。これは作った者としてはすごく嬉しい。
それに、なんかこれ、ちょっと新婚さんみたいじゃない?
そこまで考えてわたしはかああっと真っ赤になった。
「イルーシャ、どうした?」
「まるで新婚みたいって考えていたの。ちょっと気が早過ぎるわよね」
言ってみて、自分の恥ずかしい台詞に気が付いてわたしは赤くなった頬を覆った。
アークはそんなわたしに微笑むと、傍に寄ってきた。そしてわたしを抱き寄せて言った。
「いや、そんなに早過ぎでもない。婚礼は五日後に決まった」
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