19 / 68
記憶喪失ですが、夫に復讐いたします 18 隠された存在
しおりを挟む
一方、そのころ、シルビオは、夜会後もこの国にとどまっていた。
もともとは、借金が完済できたため、叔父夫妻にあいさつに来たのだ。
しかし、折りしも王女アンナマリーの誕生日と重なった。そのため、王宮の夜会に叔父夫妻を行くことになった。
当初の予定では、夜会後すぐに、国へ帰るつもりだった。しかし、エレオノーラのことがどうしても気になって帰れずにいたのだ。
(王宮内部のことは、ロジェが頼りだ。)
しかし、数日たってもロジェからは何の連絡もなかった。
(ただ待っているわけにはいかない!)
滞在している間、アカデミー時代の友人や、青騎士団時代の仲間に積極的に会い、王宮の謎の美女について、話を聞くことにした。
残念ながら、はっきりとした情報は、だれからも得ることはできがなかったが、友人たちと旧交を温められたのは思ってもみない収穫だった。
自分の話を聞いてくれて、あまつさえ、力になるといってくれた人間もたくさんいたのだ。
(借金や実家のことで精いっぱいで、当時は周りを見る余裕がなかったな。)
自分の周りには、もう誰もいないと思っていたシルビオには、うれしい収穫だった。
だが、エレオノーラのことについては、なんの情報も得られなかった。
(一体、どうなっているんだ。)
もしかして、自分は夢でも見ていたのかもしれない、とまで思い出す始末だ。
そんな時、ロジェが息せき切って叔父夫妻の屋敷に飛び込んできた。
「おい、大変なことがわかったぞ!」
「どうした?」
「確かに、王宮にいたよ、その女性……ただ、かなり、隠された存在だな」
隠された存在のことまでつかんでくるとは、さすがの手腕だ。
「すごいな、どうやって知ったんだよ、その情報」
「それは、ほら、各担当部署の俺のファンから…」
「冗談はいいから!」
シルビオはその続きを待ちきれない様子で、ロジェをせかすのだった。
夜会の翌日から、ロジェは騎士団内で情報を集め始めていた。
(フレデリックは、確か騎士団でも、王族の警護をしていたはずだ。)
王族の警護担当は、所属人数が多い。常時忙しく、一人の王族を何人かの騎士が交代で警護の任務にあたるのが通常だ。国王や、王妃は常に4~5人で警護することが多いため、かなりの大所帯だ。
(まずは、食堂だな)
いつも、騎士団の食堂はごった返していて、階級、担当、入り乱れて食事をしている。
ゆっくりと食事をとっている者は少なく、みんな一気に腹に詰め込んで飛び出していく。
「おい、ロジェ、何してるんだ?」
ロジェを遠くから大声で呼んだのは、アカデミー時代からよく絡んでくるパトリックだ。
今は、街の警備担当の騎士団だ。
(面倒臭いのに見つかった~…)
パトリックはとにかく目立つ。ガタイがいいことに加え、とにかく声がでかいため、どこにいても目立ってしまうのだ。
体は縦にも横にも大きく、締まった筋肉が素晴らしい。いるだけで威圧感も半端じゃない。
その見た目を買われて、アカデミー卒業後すぐから、荒くれものも多い街の警備担当に引き抜かれた。
しかし、一方で情に厚く、頼りになる男だ。困っているといえば力を貸してくれるだろうが、秘密裏に事を勧めたいロジェにとって、今はちょっと困る相手だ。
「よお、パトリック」
「お前、どうしたんだよ。珍しいじゃないか、一人でこんなところにいるなんて。」
ロジェは、いつも、女性が多く集まる、使用人用の食堂へ行っている。女性の方から誘ってくるのだから、仕方ない。
「いや~、ちょっと用事があって人を探しているんだ。」
「誰を探しているんだ?」
「……フレデリック」
「フレデリックって…フレデリック・モレルか?」
「ああ、最近来てるか?」
「フレデリックなら、今忙しいらしいぞ。」
「なんだ、何かあったのか。」
軽く探りを入れてみる。
「なんでも、外国からのVIPの警護を任されているらしい。自分しか担当がいないから、なかなか離れられないって本人がこぼしてたぞ」
「担当が一人?VIPなのに?」
「ああ、妙な話だよな」
王族や、外国からの賓客であれば、複数人で警護に当たるのが通常だ。
警護担当が一人というのはきいたことがない。
「だな。VIPって、誰だよ。どこの国?」
「それはわからん。なんでもトップシークだと。王宮の騎士団の連中も何もしらんらしい。ただ、フレデリックはそのうち出世するんじゃないかってもっぱらの噂だ。」
「へえ、なんで?」
「国王直々の命らしくてさ。騎士団長でもい限り、そんなことないだろ?まあ、出世したい奴らがいろいろうるさく言ってるよ。でな、そのVIP、絶世の美女らしいんだよ。」
「なんだよそれ!……羨ましいじゃないか」
「だろ?」
「そのVIPってどこにいるかわかるか?」
「お前、会いに行く気だろ。無理ムリ、かなりガードが堅いぞ。王族の私室に近いエリアにいて、王族の警護担当でもほとんど見たことがないって。」
外国の賓客であれば、王族の警護担当ならば見たことがあるはずだ。それだけ秘匿された存在ということだろう。
「そこをなんとか!」
ロジェは必死に頼み込んだ。
「俺は街の警護担当だからそれ以上はわからん。お前、女のこととなると本当に一生懸命だな。」
「それが、俺の人生よ」
「本当に、絶世の美女だったら、俺にも教えろよ」
パトリックはロジェの肩に腕をまわし、にやりと笑う。ロジェが何としてでも、その美女に会いに行くという確信があるのだろう。
「ああ、任せとけ」
ロジェは軽く親指を立て、不敵な笑みを返した。
(外国のVIPで絶世の美女?フレデリックは一体何をさせられているんだ…)
もともとは、借金が完済できたため、叔父夫妻にあいさつに来たのだ。
しかし、折りしも王女アンナマリーの誕生日と重なった。そのため、王宮の夜会に叔父夫妻を行くことになった。
当初の予定では、夜会後すぐに、国へ帰るつもりだった。しかし、エレオノーラのことがどうしても気になって帰れずにいたのだ。
(王宮内部のことは、ロジェが頼りだ。)
しかし、数日たってもロジェからは何の連絡もなかった。
(ただ待っているわけにはいかない!)
滞在している間、アカデミー時代の友人や、青騎士団時代の仲間に積極的に会い、王宮の謎の美女について、話を聞くことにした。
残念ながら、はっきりとした情報は、だれからも得ることはできがなかったが、友人たちと旧交を温められたのは思ってもみない収穫だった。
自分の話を聞いてくれて、あまつさえ、力になるといってくれた人間もたくさんいたのだ。
(借金や実家のことで精いっぱいで、当時は周りを見る余裕がなかったな。)
自分の周りには、もう誰もいないと思っていたシルビオには、うれしい収穫だった。
だが、エレオノーラのことについては、なんの情報も得られなかった。
(一体、どうなっているんだ。)
もしかして、自分は夢でも見ていたのかもしれない、とまで思い出す始末だ。
そんな時、ロジェが息せき切って叔父夫妻の屋敷に飛び込んできた。
「おい、大変なことがわかったぞ!」
「どうした?」
「確かに、王宮にいたよ、その女性……ただ、かなり、隠された存在だな」
隠された存在のことまでつかんでくるとは、さすがの手腕だ。
「すごいな、どうやって知ったんだよ、その情報」
「それは、ほら、各担当部署の俺のファンから…」
「冗談はいいから!」
シルビオはその続きを待ちきれない様子で、ロジェをせかすのだった。
夜会の翌日から、ロジェは騎士団内で情報を集め始めていた。
(フレデリックは、確か騎士団でも、王族の警護をしていたはずだ。)
王族の警護担当は、所属人数が多い。常時忙しく、一人の王族を何人かの騎士が交代で警護の任務にあたるのが通常だ。国王や、王妃は常に4~5人で警護することが多いため、かなりの大所帯だ。
(まずは、食堂だな)
いつも、騎士団の食堂はごった返していて、階級、担当、入り乱れて食事をしている。
ゆっくりと食事をとっている者は少なく、みんな一気に腹に詰め込んで飛び出していく。
「おい、ロジェ、何してるんだ?」
ロジェを遠くから大声で呼んだのは、アカデミー時代からよく絡んでくるパトリックだ。
今は、街の警備担当の騎士団だ。
(面倒臭いのに見つかった~…)
パトリックはとにかく目立つ。ガタイがいいことに加え、とにかく声がでかいため、どこにいても目立ってしまうのだ。
体は縦にも横にも大きく、締まった筋肉が素晴らしい。いるだけで威圧感も半端じゃない。
その見た目を買われて、アカデミー卒業後すぐから、荒くれものも多い街の警備担当に引き抜かれた。
しかし、一方で情に厚く、頼りになる男だ。困っているといえば力を貸してくれるだろうが、秘密裏に事を勧めたいロジェにとって、今はちょっと困る相手だ。
「よお、パトリック」
「お前、どうしたんだよ。珍しいじゃないか、一人でこんなところにいるなんて。」
ロジェは、いつも、女性が多く集まる、使用人用の食堂へ行っている。女性の方から誘ってくるのだから、仕方ない。
「いや~、ちょっと用事があって人を探しているんだ。」
「誰を探しているんだ?」
「……フレデリック」
「フレデリックって…フレデリック・モレルか?」
「ああ、最近来てるか?」
「フレデリックなら、今忙しいらしいぞ。」
「なんだ、何かあったのか。」
軽く探りを入れてみる。
「なんでも、外国からのVIPの警護を任されているらしい。自分しか担当がいないから、なかなか離れられないって本人がこぼしてたぞ」
「担当が一人?VIPなのに?」
「ああ、妙な話だよな」
王族や、外国からの賓客であれば、複数人で警護に当たるのが通常だ。
警護担当が一人というのはきいたことがない。
「だな。VIPって、誰だよ。どこの国?」
「それはわからん。なんでもトップシークだと。王宮の騎士団の連中も何もしらんらしい。ただ、フレデリックはそのうち出世するんじゃないかってもっぱらの噂だ。」
「へえ、なんで?」
「国王直々の命らしくてさ。騎士団長でもい限り、そんなことないだろ?まあ、出世したい奴らがいろいろうるさく言ってるよ。でな、そのVIP、絶世の美女らしいんだよ。」
「なんだよそれ!……羨ましいじゃないか」
「だろ?」
「そのVIPってどこにいるかわかるか?」
「お前、会いに行く気だろ。無理ムリ、かなりガードが堅いぞ。王族の私室に近いエリアにいて、王族の警護担当でもほとんど見たことがないって。」
外国の賓客であれば、王族の警護担当ならば見たことがあるはずだ。それだけ秘匿された存在ということだろう。
「そこをなんとか!」
ロジェは必死に頼み込んだ。
「俺は街の警護担当だからそれ以上はわからん。お前、女のこととなると本当に一生懸命だな。」
「それが、俺の人生よ」
「本当に、絶世の美女だったら、俺にも教えろよ」
パトリックはロジェの肩に腕をまわし、にやりと笑う。ロジェが何としてでも、その美女に会いに行くという確信があるのだろう。
「ああ、任せとけ」
ロジェは軽く親指を立て、不敵な笑みを返した。
(外国のVIPで絶世の美女?フレデリックは一体何をさせられているんだ…)
4
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる