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記憶喪失ですが、夫に復讐いたします 37 養女1
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そのころ、リュトヴィッツの社交界では王宮に“謎の美女がいる”という噂が広がりつつあった。シルビオやロジェが城内や知人に聞いて回ったことで、変に噂が広がってしまったのだ。
エレオノーラを見かけた王宮侍女や官吏たちが語る人物像も相まって“国王の隠し子”という疑惑まで出てきてしまう始末だった。
そんな噂に頭を抱えていたのは、国王だ。
「断じて、隠し子などおらん。いるわけがない」
「絶対ないと言い切れるのかしら?」
と、王妃に言われると言い返せない。国王自身に後ろ暗いところはないものの、絶対にないと言
い切れない部分もあるのだ。
そんな国王夫妻の様子をアンナマリーは心配していた。
「私が、あの時連れて帰ってこなければこんなことにはならなかったのに…」
考えなしにした行動が悔やまれる。
エレオノーラ自身も、その噂について申し訳なく思っていた。
(隠し子なわけがない。私には両親がいたというのに)
謝罪も弁解もできないまま、一日、また一日と時間だけが経って行った。
そんな時、珍しくし近しい者だけの晩餐会が開かれるという。その晩さん会に、エレオノーラも参加するようにと国王陛下直々にお達しがあった。
晩餐会など経験がないエレオノーラは一人青ざめていた。
「ど、どうしよう~、国王陛下なんてお会いしたことほとんどないのに……やっぱりあの噂の事かしら?」
独り言を耳にしたハンナは、すかさずえエレオノーラのもとへやってきた。
「どうでしょう、ご心配はわかりますが、あまり心配されませんよう。」
困ったような顔を向けるハンナ。彼女にもわからない様子だった。
ハンナも急なお達しに、ドレスや小物を準備するのに忙しそうだ。
しばらくすると、他の侍女たちがやってきて、バラの精油でエレオノーラの肌を磨き始める。
毎日、陽の下で剣技の稽古をしていることもあり、日に焼け、肌もあれている。そのため、急ごしらえで侍女たちが準備してくれているのだ。
王族でもないのに、こんなに至れり尽くせりで本当に申し訳ないと、エレオノーラは恐縮しきりだ。
「エレオノーラ様、肌がきれいだから磨きがいがあります!」
「日に焼けたとはいえ、きめの細かさはそのままですから、大丈夫です!」
「紫の目に金糸の髪がお美しいわ~」
と、口々にほめそやす。
「……忙しいのに、こんなにしていただいて、ありがとうございます…」
慣れないことに冷汗をかきながら、最後は消えそうな声で答える。
年若い侍女が、恐縮するエレオノーラの様子をみて、
「もう~、お嬢様ったら!私たちの仕事はお嬢様を美しくすることですよ、何をおっしゃってるんですか~」
といながら、髪を結い上げ仕上げにかかる。
それを苦笑いしながら、ハンナは「夜会に出るようになれば、もっと褒めていただけると思いますよ」と、一言。
(ないない、夜会に目立たないように紛れ込むのが精いっぱいよ。悪目立ちしないように気を付けないと。ハンナは相変わらずのほめ上手ね、侍女の心得なのかしら。)
さすが王宮侍女たちの褒めスキルはレベルが高い。
そうこうしているうちに、晩餐会の時間になったようだ。
アンナマリーの侍女が呼びに来る。アンナマリーの入室に合わせ、後ろについて会場に入る予定だ。簡単な晩餐会のため、エスコートの必要もない。
「緊張しているの?大丈夫よ、ほんとに身内だけの小さなお食事会なのよ。」
緊張で、固まっているエレオノーラにアンナマリーは声を掛けた。
アンナマリーは、さすが王族、全体に金色でまとめられたドレスで、上半身はシンプルにまとめ、エメラルドの大きな一つ石のあしらわれたネックレスを身に着けている。スカート部分は、ぜいたくに何層にもフリルがつけられているものだ。
(さすが、王族、豪華さが桁違いね)
エレオノーラの衣装は、出入りのドレスデザイナーが貸してくれることになった。アンナマリーより幾分小柄なエレオノーラに合わせてお直しをしてくれたものだ。
アンナマリーほどではないが、こちらも十分豪華だ。光沢のある紺色の生地にはところどころ、光る石が縫い付けられており、中央は白いオーガンジーが幾重にも重ねられている。腰のあたりから胸のあたりまでリボンで編み上げており、胸元のカットは目立たないように布が折り重ねられ、銀色のブローチで止められている。袖口からは、レースがのぞいているのがかわいらしい。
部屋に入ると、国王陛下夫妻と、その隣にアンナマリーが座り、向かい側には王宮調合室の室長がすでに座っていた。
入ってみて、エレオノーラは驚いた。王族とは、こんなにも人数が少ないものなのだろうか。
それよりも、気になるのは室長の存在である。
(室長がなぜここに?)
疑問をよそに、晩餐会は始まるようだ。
(え?これだけ?)
晩餐会とは名ばかりで、5名だけ。本当に、家族だけの食事に、室長とエレオノーラだけがゲストで呼ばれただけのようだ。
慣れないことにエレオノーラの緊張は高まる。
(何のために呼ばれたのかしら……)
エレオノーラを見かけた王宮侍女や官吏たちが語る人物像も相まって“国王の隠し子”という疑惑まで出てきてしまう始末だった。
そんな噂に頭を抱えていたのは、国王だ。
「断じて、隠し子などおらん。いるわけがない」
「絶対ないと言い切れるのかしら?」
と、王妃に言われると言い返せない。国王自身に後ろ暗いところはないものの、絶対にないと言
い切れない部分もあるのだ。
そんな国王夫妻の様子をアンナマリーは心配していた。
「私が、あの時連れて帰ってこなければこんなことにはならなかったのに…」
考えなしにした行動が悔やまれる。
エレオノーラ自身も、その噂について申し訳なく思っていた。
(隠し子なわけがない。私には両親がいたというのに)
謝罪も弁解もできないまま、一日、また一日と時間だけが経って行った。
そんな時、珍しくし近しい者だけの晩餐会が開かれるという。その晩さん会に、エレオノーラも参加するようにと国王陛下直々にお達しがあった。
晩餐会など経験がないエレオノーラは一人青ざめていた。
「ど、どうしよう~、国王陛下なんてお会いしたことほとんどないのに……やっぱりあの噂の事かしら?」
独り言を耳にしたハンナは、すかさずえエレオノーラのもとへやってきた。
「どうでしょう、ご心配はわかりますが、あまり心配されませんよう。」
困ったような顔を向けるハンナ。彼女にもわからない様子だった。
ハンナも急なお達しに、ドレスや小物を準備するのに忙しそうだ。
しばらくすると、他の侍女たちがやってきて、バラの精油でエレオノーラの肌を磨き始める。
毎日、陽の下で剣技の稽古をしていることもあり、日に焼け、肌もあれている。そのため、急ごしらえで侍女たちが準備してくれているのだ。
王族でもないのに、こんなに至れり尽くせりで本当に申し訳ないと、エレオノーラは恐縮しきりだ。
「エレオノーラ様、肌がきれいだから磨きがいがあります!」
「日に焼けたとはいえ、きめの細かさはそのままですから、大丈夫です!」
「紫の目に金糸の髪がお美しいわ~」
と、口々にほめそやす。
「……忙しいのに、こんなにしていただいて、ありがとうございます…」
慣れないことに冷汗をかきながら、最後は消えそうな声で答える。
年若い侍女が、恐縮するエレオノーラの様子をみて、
「もう~、お嬢様ったら!私たちの仕事はお嬢様を美しくすることですよ、何をおっしゃってるんですか~」
といながら、髪を結い上げ仕上げにかかる。
それを苦笑いしながら、ハンナは「夜会に出るようになれば、もっと褒めていただけると思いますよ」と、一言。
(ないない、夜会に目立たないように紛れ込むのが精いっぱいよ。悪目立ちしないように気を付けないと。ハンナは相変わらずのほめ上手ね、侍女の心得なのかしら。)
さすが王宮侍女たちの褒めスキルはレベルが高い。
そうこうしているうちに、晩餐会の時間になったようだ。
アンナマリーの侍女が呼びに来る。アンナマリーの入室に合わせ、後ろについて会場に入る予定だ。簡単な晩餐会のため、エスコートの必要もない。
「緊張しているの?大丈夫よ、ほんとに身内だけの小さなお食事会なのよ。」
緊張で、固まっているエレオノーラにアンナマリーは声を掛けた。
アンナマリーは、さすが王族、全体に金色でまとめられたドレスで、上半身はシンプルにまとめ、エメラルドの大きな一つ石のあしらわれたネックレスを身に着けている。スカート部分は、ぜいたくに何層にもフリルがつけられているものだ。
(さすが、王族、豪華さが桁違いね)
エレオノーラの衣装は、出入りのドレスデザイナーが貸してくれることになった。アンナマリーより幾分小柄なエレオノーラに合わせてお直しをしてくれたものだ。
アンナマリーほどではないが、こちらも十分豪華だ。光沢のある紺色の生地にはところどころ、光る石が縫い付けられており、中央は白いオーガンジーが幾重にも重ねられている。腰のあたりから胸のあたりまでリボンで編み上げており、胸元のカットは目立たないように布が折り重ねられ、銀色のブローチで止められている。袖口からは、レースがのぞいているのがかわいらしい。
部屋に入ると、国王陛下夫妻と、その隣にアンナマリーが座り、向かい側には王宮調合室の室長がすでに座っていた。
入ってみて、エレオノーラは驚いた。王族とは、こんなにも人数が少ないものなのだろうか。
それよりも、気になるのは室長の存在である。
(室長がなぜここに?)
疑問をよそに、晩餐会は始まるようだ。
(え?これだけ?)
晩餐会とは名ばかりで、5名だけ。本当に、家族だけの食事に、室長とエレオノーラだけがゲストで呼ばれただけのようだ。
慣れないことにエレオノーラの緊張は高まる。
(何のために呼ばれたのかしら……)
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