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記憶喪失ですが、夫に復讐いたします 39 親子の関係
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豪華な晩餐も終わり、リュシアンとエレオノーラの二人が残された。
リュシアンは、優雅に食後のお茶を楽しんでいる様子だ。
「……リュシアン様」
先に口を開いたのはエレオノーラだった。リュシアンは、手に追っていた紅茶のカップをそっと置き、エレオノーラに向き直った。
「何か、話があると言ったね」
「はい。実は、記憶がほとんど戻ったのですが、その中で」
エレオノーラは緊張した面持ちで、継ぐ言葉を探しながら膝の上の拳をぎゅっと握りしめた。。
「うん」
優しく、頷くリュシアンの様子を見て、覚悟を決めて話し出す。
「私は、結婚していて、夫がいることがわかりました」
「そうか。で、相手は?」
リュシアンの表情は変わらない。たいして驚きもしていないようだ。
「隣国のクローデル公シルビオ・ヴェルティエです」
「うーん、なるほど」
リュシアンは少し眉を顰め、何事か思案するように相づちを打った。
「もう離婚が成立する年数がたっているので、婚姻関係がどうなっているのかはっきりは確認するまでわかりません。でも、私はこの国で暮らしていきたいと思っています」
「それなら、何も問題はないのでは?」
先ほどの思案する様子から一転、晴れやかな笑みのリュシアンである。
「え?」
(何も問題がないとは?)
エレオノーラはすぐにその言葉の意味を理解できない。結婚している者が養子など聞いたこともない。
「この国と、隣国の法は違うから、婚姻関係などあまり気にしなくてもいいですよ」
(え?本当に)
「で、でも」
問題がどこかにあるのではないかと、不安げな様子でリュシアンに尋ねようとするが、
「もちろん、この国でも重婚はまずい。先方の都合もあるだろうから、離婚の成立がまだなら、書類を送ってあげればいいのではないかな」
いとも簡単に解決してしまうリュシアンだ。
(そんな簡単なこと?)
まだ疑念の残る様子のエレオノーラだが、この国では特に問題がないのだろう、と無理やり自分を納得させる。
記憶が戻ったと思ったら、王弟殿下の養女になるなんて。慌ただしい人生だ。
(でも、リュシアンさんは、独身だったはず。婚姻の話は出なかったのかしら?)
「あの、誤解のないように聞いてほしいのですが、リュシアン様となら婚姻という話は出なかったのですか?」
「あったよ、私だけではなく、他の貴族との婚姻はどうか、と最初は考えていたようだね」
「それなら、なぜ」
「私は、結婚する気がなかったし、家族が増えるのもいいなあと思っていたから手を挙げたんだよ。もし、あなたが結婚したい相手が現れたら、その時に私と結婚していたらまずいででしょう?」
「はあ…」
リュシアンになんとなく、答えをはぐらかされたことをエレオノーラは察した。
(何か、思惑があるのかしら……そんなはずない、今までの人生経験からそう思ってしまうけど、よくない癖だわ)
頭の中をフル回転させて状況を把握しようと一生懸命なエレオノーラの様子をみて、リュシアンは嬉しそうにこういった。
「そのうち、私の娘としてお披露目の夜会を開くよ。」
「え!?」
一瞬にし思考が止まる。状況把握しようと必死なところに、一気に意識を持っていかれる。
(お披露目会?!それも私の?!)
王弟殿下の娘となれば豪華にしないわけにいかない。社交界のマナーはアカデミーの入試用に簡単に習っただけで、本当のところはわからない。
(ふ、不安!)
「華やかな席は苦手だけど、自慢の娘を見せびらかしたいしね。」
「そんな」
自信がありません、と言いかけた上から、リュシアンは重ねていった。
「アカデミーに入学したら、きっと忙しくなるから、その前にはやりたいね、エスコートはもちろん私がするよ」
人の話を聞かずに話すのは、血筋だろうか。エレオノーラは不安が募る。
「それから、アカデミー入学までは私の邸宅で暮らすことになると思う。明日から、さっそく引っ越しをしよう。長いお休みも、実家だと思って帰ってきてくれたらうれしい。この国の観光名所をたくさんまわろう!アカデミーの入学試験の勉強は、変わらずアンナマリー様と一緒に受けるだろう?毎日私と一緒に王宮に通おうね。実技も講師に来てもらっているそうじゃないか、せっかく来てもらっているのだから、慣れたところのほうが安心でしょう?楽しみだね」
「あ、あの」
(その、実技の講師はお断りしたいんです、例の夫なので)
と言いたいが、口をはさむ隙がない。
なんだか、こちらの話をあまり聞いてくれないのは国王陛下やアンナアリーと同じ匂いを感じる。
「エレオノーラさんは、どんな部屋が好みかな?ドレスもたくさん作らないと!」
「あの、あのリュシアン様、私そんなにしていただくわけには」
「もしかして、迷惑?」
「そんなことは」
ありません、という間もなく、リュシアンは言葉を続けていく。
「私がしたいんだよ、王弟ではあるけれど、一代限りの公爵でね。そんな身分で結婚を望むなんてできないよ。せめてかわいい娘が出来たらと思っていたところだ。遠慮なく、甘えてください」
娘が出来てすごくうれしそうなリュシアンを前に、はっきり断ることなどできようもない。微笑むリュシアンを前に、複雑な心境のエレオノーラだった。
リュシアンは、優雅に食後のお茶を楽しんでいる様子だ。
「……リュシアン様」
先に口を開いたのはエレオノーラだった。リュシアンは、手に追っていた紅茶のカップをそっと置き、エレオノーラに向き直った。
「何か、話があると言ったね」
「はい。実は、記憶がほとんど戻ったのですが、その中で」
エレオノーラは緊張した面持ちで、継ぐ言葉を探しながら膝の上の拳をぎゅっと握りしめた。。
「うん」
優しく、頷くリュシアンの様子を見て、覚悟を決めて話し出す。
「私は、結婚していて、夫がいることがわかりました」
「そうか。で、相手は?」
リュシアンの表情は変わらない。たいして驚きもしていないようだ。
「隣国のクローデル公シルビオ・ヴェルティエです」
「うーん、なるほど」
リュシアンは少し眉を顰め、何事か思案するように相づちを打った。
「もう離婚が成立する年数がたっているので、婚姻関係がどうなっているのかはっきりは確認するまでわかりません。でも、私はこの国で暮らしていきたいと思っています」
「それなら、何も問題はないのでは?」
先ほどの思案する様子から一転、晴れやかな笑みのリュシアンである。
「え?」
(何も問題がないとは?)
エレオノーラはすぐにその言葉の意味を理解できない。結婚している者が養子など聞いたこともない。
「この国と、隣国の法は違うから、婚姻関係などあまり気にしなくてもいいですよ」
(え?本当に)
「で、でも」
問題がどこかにあるのではないかと、不安げな様子でリュシアンに尋ねようとするが、
「もちろん、この国でも重婚はまずい。先方の都合もあるだろうから、離婚の成立がまだなら、書類を送ってあげればいいのではないかな」
いとも簡単に解決してしまうリュシアンだ。
(そんな簡単なこと?)
まだ疑念の残る様子のエレオノーラだが、この国では特に問題がないのだろう、と無理やり自分を納得させる。
記憶が戻ったと思ったら、王弟殿下の養女になるなんて。慌ただしい人生だ。
(でも、リュシアンさんは、独身だったはず。婚姻の話は出なかったのかしら?)
「あの、誤解のないように聞いてほしいのですが、リュシアン様となら婚姻という話は出なかったのですか?」
「あったよ、私だけではなく、他の貴族との婚姻はどうか、と最初は考えていたようだね」
「それなら、なぜ」
「私は、結婚する気がなかったし、家族が増えるのもいいなあと思っていたから手を挙げたんだよ。もし、あなたが結婚したい相手が現れたら、その時に私と結婚していたらまずいででしょう?」
「はあ…」
リュシアンになんとなく、答えをはぐらかされたことをエレオノーラは察した。
(何か、思惑があるのかしら……そんなはずない、今までの人生経験からそう思ってしまうけど、よくない癖だわ)
頭の中をフル回転させて状況を把握しようと一生懸命なエレオノーラの様子をみて、リュシアンは嬉しそうにこういった。
「そのうち、私の娘としてお披露目の夜会を開くよ。」
「え!?」
一瞬にし思考が止まる。状況把握しようと必死なところに、一気に意識を持っていかれる。
(お披露目会?!それも私の?!)
王弟殿下の娘となれば豪華にしないわけにいかない。社交界のマナーはアカデミーの入試用に簡単に習っただけで、本当のところはわからない。
(ふ、不安!)
「華やかな席は苦手だけど、自慢の娘を見せびらかしたいしね。」
「そんな」
自信がありません、と言いかけた上から、リュシアンは重ねていった。
「アカデミーに入学したら、きっと忙しくなるから、その前にはやりたいね、エスコートはもちろん私がするよ」
人の話を聞かずに話すのは、血筋だろうか。エレオノーラは不安が募る。
「それから、アカデミー入学までは私の邸宅で暮らすことになると思う。明日から、さっそく引っ越しをしよう。長いお休みも、実家だと思って帰ってきてくれたらうれしい。この国の観光名所をたくさんまわろう!アカデミーの入学試験の勉強は、変わらずアンナマリー様と一緒に受けるだろう?毎日私と一緒に王宮に通おうね。実技も講師に来てもらっているそうじゃないか、せっかく来てもらっているのだから、慣れたところのほうが安心でしょう?楽しみだね」
「あ、あの」
(その、実技の講師はお断りしたいんです、例の夫なので)
と言いたいが、口をはさむ隙がない。
なんだか、こちらの話をあまり聞いてくれないのは国王陛下やアンナアリーと同じ匂いを感じる。
「エレオノーラさんは、どんな部屋が好みかな?ドレスもたくさん作らないと!」
「あの、あのリュシアン様、私そんなにしていただくわけには」
「もしかして、迷惑?」
「そんなことは」
ありません、という間もなく、リュシアンは言葉を続けていく。
「私がしたいんだよ、王弟ではあるけれど、一代限りの公爵でね。そんな身分で結婚を望むなんてできないよ。せめてかわいい娘が出来たらと思っていたところだ。遠慮なく、甘えてください」
娘が出来てすごくうれしそうなリュシアンを前に、はっきり断ることなどできようもない。微笑むリュシアンを前に、複雑な心境のエレオノーラだった。
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