46 / 68
アンナマリーの立太子
しおりを挟む
エレオノーラがシルビオの剣技の授業を受けている頃、アンナマリーは国王陛下への謁見を願い出ていた。
普段なら、夕食の時にでも父である国王陛下に話せばよいことだが、アンナマリーにはそうはできない事情があった。
(アカデミー入学まで、もう二か月もないというのに、立太子の儀式をしていただかないと困るわ。あの噂も本当なのか確かめないと……!)
必ず真相をあきらかにしようと、アンナマリーは覚悟を決めていた。
現在、王位継承権のあるのはアンナマリーとリュシアンの二人だけ。
しかも、リュシアンは王位継承権を放棄しているので実質アンナマリーだけということになる。通常であれば、アカデミーに入学する前に立太子の儀式を行って入学、というのが流れだ。しかし、父である国王陛下からは何も立太子についての話はない。
半年ほど前だろうか、アンナマリーの誕生日直前、国王陛下に直接聞いてみたことがある。
「お父様、立太子の儀式はいつ行いますか?」
期待に満ちた目で、アンナマリーは父を見つめた。
「ああ、立太子か。王位継承者はお前しかいないのだからそう焦らずともよいではないか」
「でも、アカデミーの入学もありますし、それまでに行うのが通例では?」
「そうでもないぞ、アカデミーに入学してからでもよい。いかようにもなろう」
「でも……!」
言いかけたアンナマリーを制して、国王陛下は表情を硬くした。
「これ以上の話は無用だ」
そういわれると、アンナマリーもそれ以上何も言えなかった。
いつも、娘のアンナマリーにはとろけるように優しく、なんでも言うことを聞いてくれる父なのに、立太子のことについて尋ねると、昔からなぜか機嫌が悪くなるのだ。
(どうして、立太子の話を出すと、機嫌がわるくなるのかしら?)
アンナマリーにはその理由はわからなかった。
しかし最近、かたくなに立太子の儀式を行わない理由に見当がついたのだ。
ある日の午後、王宮の奥深く王宮の禁書がしまわれている区域に足を踏み入れた時、普段はひと気がないのに今日は誰かがいるようだ。
見慣れない侍従が二人、話をしながら作業をしていた。
どうやら宝物庫の換気を行っているようだ。
何か月かに一回、天候がいい日に換気を行うという通例がある。
おそらく、今日がその日なのだろう。
「アンナマリー様の立太子、どうするのでしょうね」
声を掛けようとしたアンナマリーだが、自分の名前が聞こえたためとっさに扉の後ろに身を隠す。
「しっ!滅多なことを言うな!」
年は40過ぎだろうか、ややがっちりした体形の眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の侍従が周りをみわたし人差し指を口に当てて厳しい口調で言った。
「でも……まだ見つからないのでしょう?」
若い侍従は、まだ少年のようだ。十代後半といったところか、短い黒髪に幼さが残る顔で心配そうに言った。
「ああ。必死で探されているが、なかなか見つからないらしい」
眼鏡の侍従は作業をしながら、仕方なく答える。
「いつから無いのでしょう?」
黒髪の若い侍従は、不思議そうに聞いた。
「なんでも、今の国王陛下が即位されるときにはなかったと聞いている」
「ええ!?でも、立太子の儀式にはあったんですよね?」
「いや……今の国王陛下は立太子されず、即位なさっている」
「それって……」
若い侍従は驚いて手を止めてしまう。
「昔、王位継承についてはひと悶着あってな」
「ああ、それでリュシアン様は継承権を放棄されたのですか」
納得したように、手に持った杯を磨き始める。
「まあ、それもあるが……ほかにも継承権を持つ方がいらっしゃったからいろいろあったようだな」
眼鏡の侍従は、ほこりをかぶった紙類を広げながら、ほこりを吸わないように顔を背けて答えた。
「え、そうなんですか?」
「まあ、それも十年、いや二十年近く昔の話だ」
「その時から、フラワーエメラルドは紛失したままだ」
「それは……」
(フラワーエメラルドが紛失?!)
こっそりと耳をそばだてていたアンナマリーは思わず声をあげそうになった。
フラワーエメラルドとは、リュトヴィッツ王国に代々伝わる宝石で、大人の拳と同じぐらいの大きさをしている。
一つの結晶から柱状になったエメラルドが何本も生えていて、花のような形状をしたエメラルドだ。他に類を見ない形状で、この国が作られた時に神から賜ったといわれている。
そのエメラルドには神の祝福が宿っており、国を導く力があると創国神話にも書かれている。国民皆が知っている話だ。そして、受け取ったのが初代の国王と言われていて、代々国王には受け継がれている大切なものだ。
「他の王位継承者が持ち去ったのでは?と当時ずいぶん噂になったものだ」
「その、他の王位継承者の方は、どうなったのですか?」
「それがな、忽然と姿を消したんだ」
「え!それは……」
「生きているかどうかさえ分からない」
「そんな……」
「でも、もし、亡くなっているならフラワーエメラルドは戻ってくるはずだろう?でもここにはない」
「じゃあ、殺されてないんですかね」
「わからない。とにかくフラワーエメラルドがないことには儀式が行えないというだけだ」
「でも、我が国はエメラルド鉱山があるでしょう?同じような物つくれないのですか?」
「お前……口は災いのもと、って知ってるか?」
あきれたように、若い侍従をじっとりとした目で見る。
「すみません」
「国王陛下も考えたのだろう、似たようなエメラルドがあればいいと。当時秘密裏に職人を探していたようだしな。」
「まあ、そうですよね、僕でも考えます」
「だが、そのフラワーエメラルドは、結晶が蓮の花のように一つの大きなエメラルドから出ているんだ。細工師が作ることもできなかったし、新たに採掘もされていないらしい」
「へええ、珍しいものなんですね」
「そうだな、それもあって神から賜った、なんて神話が出来たのだろう」
「そうかあ、フラワーエメラルドが似られるのかと思って内心ドキドキしてたんですけど、残念だな」
「あったところで、見られないだろう。まあ、さっきの話も噂の域を過ぎないけどな」
「なんだあ、本気にしちゃいましたよ」
(そ、そんな……)
ふたりの侍従は、まだ他愛おないおしゃべりを続けながら作業をしている。
アンナマリーは、現実がなかなか受け入れられずフラフラとした足取りで自室まで戻った。
(今までそんな話は誰からも聞いたことがないわ。)
侍従たちが言ううわさ話の域を出ていないとはいえ、アンナマリーの中で疑惑は広がるばかりだ。
立太子の儀式は、各国の王族を招いてお披露目もかねて行われる。
アカデミーには他国からの留学生も多いため、アカデミーでの人脈作りも考えているアンナマリーにとっては儀式は重要な意味を持つ。
アカデミー入学前に立太子されていないということは、まだ半人前だと言われているも同然だ。一人前の王位継承者ではないとみなされ、相手にされない可能性だってあるのだ。
(きっと、フラワーエメラルドはないんだわ……通りで立太子の儀式をしたがらないはずね。
立太子の儀式をしなかった場合、国王陛下が崩御したときのみ即位という形で国を治めることになる。その時にもフラワーエメラルドは必要ではあるが……
(その時にはお父様はこの世にいない。誰もフラワーエメラルドの行方が分からないまま、とい
うことを狙っているのかしら)
あの優しい父の裏の顔を見た気がした。
アンナマリーに見せる顔と違う残酷な一面があるとは薄々感じていたが、それが目の前の現実となって現れると受け入れがたい。
(お父様……!)
普段なら、夕食の時にでも父である国王陛下に話せばよいことだが、アンナマリーにはそうはできない事情があった。
(アカデミー入学まで、もう二か月もないというのに、立太子の儀式をしていただかないと困るわ。あの噂も本当なのか確かめないと……!)
必ず真相をあきらかにしようと、アンナマリーは覚悟を決めていた。
現在、王位継承権のあるのはアンナマリーとリュシアンの二人だけ。
しかも、リュシアンは王位継承権を放棄しているので実質アンナマリーだけということになる。通常であれば、アカデミーに入学する前に立太子の儀式を行って入学、というのが流れだ。しかし、父である国王陛下からは何も立太子についての話はない。
半年ほど前だろうか、アンナマリーの誕生日直前、国王陛下に直接聞いてみたことがある。
「お父様、立太子の儀式はいつ行いますか?」
期待に満ちた目で、アンナマリーは父を見つめた。
「ああ、立太子か。王位継承者はお前しかいないのだからそう焦らずともよいではないか」
「でも、アカデミーの入学もありますし、それまでに行うのが通例では?」
「そうでもないぞ、アカデミーに入学してからでもよい。いかようにもなろう」
「でも……!」
言いかけたアンナマリーを制して、国王陛下は表情を硬くした。
「これ以上の話は無用だ」
そういわれると、アンナマリーもそれ以上何も言えなかった。
いつも、娘のアンナマリーにはとろけるように優しく、なんでも言うことを聞いてくれる父なのに、立太子のことについて尋ねると、昔からなぜか機嫌が悪くなるのだ。
(どうして、立太子の話を出すと、機嫌がわるくなるのかしら?)
アンナマリーにはその理由はわからなかった。
しかし最近、かたくなに立太子の儀式を行わない理由に見当がついたのだ。
ある日の午後、王宮の奥深く王宮の禁書がしまわれている区域に足を踏み入れた時、普段はひと気がないのに今日は誰かがいるようだ。
見慣れない侍従が二人、話をしながら作業をしていた。
どうやら宝物庫の換気を行っているようだ。
何か月かに一回、天候がいい日に換気を行うという通例がある。
おそらく、今日がその日なのだろう。
「アンナマリー様の立太子、どうするのでしょうね」
声を掛けようとしたアンナマリーだが、自分の名前が聞こえたためとっさに扉の後ろに身を隠す。
「しっ!滅多なことを言うな!」
年は40過ぎだろうか、ややがっちりした体形の眼鏡をかけた落ち着いた雰囲気の侍従が周りをみわたし人差し指を口に当てて厳しい口調で言った。
「でも……まだ見つからないのでしょう?」
若い侍従は、まだ少年のようだ。十代後半といったところか、短い黒髪に幼さが残る顔で心配そうに言った。
「ああ。必死で探されているが、なかなか見つからないらしい」
眼鏡の侍従は作業をしながら、仕方なく答える。
「いつから無いのでしょう?」
黒髪の若い侍従は、不思議そうに聞いた。
「なんでも、今の国王陛下が即位されるときにはなかったと聞いている」
「ええ!?でも、立太子の儀式にはあったんですよね?」
「いや……今の国王陛下は立太子されず、即位なさっている」
「それって……」
若い侍従は驚いて手を止めてしまう。
「昔、王位継承についてはひと悶着あってな」
「ああ、それでリュシアン様は継承権を放棄されたのですか」
納得したように、手に持った杯を磨き始める。
「まあ、それもあるが……ほかにも継承権を持つ方がいらっしゃったからいろいろあったようだな」
眼鏡の侍従は、ほこりをかぶった紙類を広げながら、ほこりを吸わないように顔を背けて答えた。
「え、そうなんですか?」
「まあ、それも十年、いや二十年近く昔の話だ」
「その時から、フラワーエメラルドは紛失したままだ」
「それは……」
(フラワーエメラルドが紛失?!)
こっそりと耳をそばだてていたアンナマリーは思わず声をあげそうになった。
フラワーエメラルドとは、リュトヴィッツ王国に代々伝わる宝石で、大人の拳と同じぐらいの大きさをしている。
一つの結晶から柱状になったエメラルドが何本も生えていて、花のような形状をしたエメラルドだ。他に類を見ない形状で、この国が作られた時に神から賜ったといわれている。
そのエメラルドには神の祝福が宿っており、国を導く力があると創国神話にも書かれている。国民皆が知っている話だ。そして、受け取ったのが初代の国王と言われていて、代々国王には受け継がれている大切なものだ。
「他の王位継承者が持ち去ったのでは?と当時ずいぶん噂になったものだ」
「その、他の王位継承者の方は、どうなったのですか?」
「それがな、忽然と姿を消したんだ」
「え!それは……」
「生きているかどうかさえ分からない」
「そんな……」
「でも、もし、亡くなっているならフラワーエメラルドは戻ってくるはずだろう?でもここにはない」
「じゃあ、殺されてないんですかね」
「わからない。とにかくフラワーエメラルドがないことには儀式が行えないというだけだ」
「でも、我が国はエメラルド鉱山があるでしょう?同じような物つくれないのですか?」
「お前……口は災いのもと、って知ってるか?」
あきれたように、若い侍従をじっとりとした目で見る。
「すみません」
「国王陛下も考えたのだろう、似たようなエメラルドがあればいいと。当時秘密裏に職人を探していたようだしな。」
「まあ、そうですよね、僕でも考えます」
「だが、そのフラワーエメラルドは、結晶が蓮の花のように一つの大きなエメラルドから出ているんだ。細工師が作ることもできなかったし、新たに採掘もされていないらしい」
「へええ、珍しいものなんですね」
「そうだな、それもあって神から賜った、なんて神話が出来たのだろう」
「そうかあ、フラワーエメラルドが似られるのかと思って内心ドキドキしてたんですけど、残念だな」
「あったところで、見られないだろう。まあ、さっきの話も噂の域を過ぎないけどな」
「なんだあ、本気にしちゃいましたよ」
(そ、そんな……)
ふたりの侍従は、まだ他愛おないおしゃべりを続けながら作業をしている。
アンナマリーは、現実がなかなか受け入れられずフラフラとした足取りで自室まで戻った。
(今までそんな話は誰からも聞いたことがないわ。)
侍従たちが言ううわさ話の域を出ていないとはいえ、アンナマリーの中で疑惑は広がるばかりだ。
立太子の儀式は、各国の王族を招いてお披露目もかねて行われる。
アカデミーには他国からの留学生も多いため、アカデミーでの人脈作りも考えているアンナマリーにとっては儀式は重要な意味を持つ。
アカデミー入学前に立太子されていないということは、まだ半人前だと言われているも同然だ。一人前の王位継承者ではないとみなされ、相手にされない可能性だってあるのだ。
(きっと、フラワーエメラルドはないんだわ……通りで立太子の儀式をしたがらないはずね。
立太子の儀式をしなかった場合、国王陛下が崩御したときのみ即位という形で国を治めることになる。その時にもフラワーエメラルドは必要ではあるが……
(その時にはお父様はこの世にいない。誰もフラワーエメラルドの行方が分からないまま、とい
うことを狙っているのかしら)
あの優しい父の裏の顔を見た気がした。
アンナマリーに見せる顔と違う残酷な一面があるとは薄々感じていたが、それが目の前の現実となって現れると受け入れがたい。
(お父様……!)
2
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる