聖獣騎士隊長様からの溺愛〜異世界転移記〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第1章 黒の双極 傾く運命は何処なりや

14.自覚。あれ?俺ってもしかして??①




婚約者の姫君。
腹黒皇子がやったと思ったが、あまりに周知が早い。

「婚約者の姫って……俺じゃないよな?誰かと混同視するようにしてない?」
「………………ッ」

カイザーが軽く息を呑み、何か言いかけた後、無言で視線を逸らした。
言い訳も無し、な。
ふと思い、そっと自嘲じちょうした。
俺自身、この世界に関わりがあるワケじゃないし、カイザーと俺にも特別な何かがあるワケじゃない。
カイザーが俺にしなきゃならない言い訳もない。

何を期待したのか。

何を言って欲しかったのか。

ハァッと小さく溜め息をつき、固く唇をつぐむ。まったく、どうかしている。
ワケの分からない異世界転移現象に見舞われ、頭も心もこの世界に引きづられているようだ。

「別にいい。あんた……カイザーに、婚約者が居ようが居まいが、俺には関係な……ッッ⁉︎」

言いかけた言葉が、途中できつく掴まれた手首の痛みに止まる。
真っ直ぐ。いっそ、貫かれそうなくらいに強く厳しい紺碧の視線に瞳を射抜かれ言葉が出ない。息も忘れ、体が動かなくなる。

「カ、イザー…」

ギリっと強く食い込む指が痛い。
掠れた非難の声を上げた俺に、カイザーがハッとしたように手を離す。

「すまない!」

また、だ。
物言いたげに見つめては、結局、何も言わない。触れては、俺が何か言えばあっさり離れる。
妙に苛つく。
苛つくワケも分からず、そんな自分にも苛立った。

「意味、分かんねぇ…!何がしたいんだよ⁉︎」

ベールを取り去り、カイザーに投げつけた。部屋の前。まだ、廊下だ。誰が来るかも分からないが頭になく、俺を見ようともしないカイザーの態度に腹が立つ。

「嘘つき……」
「マヒロ?」

カイザーをキッと睨みつける。

「腹黒皇子たちと変わんねぇじゃん!結局、カイザーだって、俺を血脈としか見てないんだろ⁈守るなんて口ばっか!!利用しようとする奴らから守ってくれんじゃないのかよ⁉︎俺を見ようともしないで……俺から逃げてんじゃないかッ!」
「マヒロ…話は中に入ってからだ。誰かに見られたら…」
「いい!俺、帰る!こんなとこ居たくねぇ!」
「マヒロっ!!」
「もう、いやだ!!こんなとこ、来たくて来たんじゃねぇし!」

カイザーの手が伸ばされる。
途中で止まる手。
途端に襲われた失望感に、無意識に自嘲の笑みが浮かぶ。

「もう……いらない!守ってくれなくっていい!」

元々、俺がついた嘘から始まった。
血脈とやらを利用したのは俺だけど、こんな思いするくらいなら、さっさと『俺は違う!』って言えば良かった。

「マヒロ、話を……」
「したくない!」
「マヒロッッ!!」

途中で止まった手が再び伸ばされ、今度は止まらず肩を掴まれた。振り払おうと身を捩るが外れない。
睨みつけたら、負けじと睨み返された。

「離せよ!」
「大人しく話をするなら、だ!」
「したくないってば!」
「じゃあ、無理だな」
「なっ!俺、貴人なんだろ⁈近衛騎士隊長で、護衛のクセに、俺に無理強いする気か⁈」
「守られてる自覚はあるんだな?だったら、大人しく言う事を聞け!」
「~~~~~~~~~~~ッッ!!!!!」

ムッカーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

初めて会ったあの時とまるで一緒だ。
こっちが悪いとばかりな言い種に、ムカッ腹が治らない。こうなってくると、俺も引けない。
元々、自分でも負けん気が強い自覚はある。
曖昧でいて意味不明な態度や言葉を取るクセに、心や手の内を見せようともしない。
俺に対して何を思って何をしたいのかさっぱり分からない。
それなのに抑えつけようとはいい度胸だ!

「何それ?パワハラ?それとも、武力行使?自分より弱い俺に対して力業ちからわざで来るって?カイザーってそんな卑怯な事すんだ?」
「なっ!!お前なぁ~…元はと言えば、素直に話を聞こうとしないお前が悪いんだろうが!!意味の分からん言葉を使うなッ!弱い~?立場だけなら憎たらしいくらい強いだろうが⁉︎誰が卑怯だ!逃げようとするから止めただけだろうがッッ!!」
「何だよ!憎たらしいって⁉︎俺が自分の立場利用してるみたいに聞こえんじゃん!」
「利用してるだろ?守られなくていいって言いながら、ここぞとばかりな時には使ってるだろうが?」
「失礼な事言うなッッ!!」
「お互い様だ!」

ゼェ、ゼェ。ハァ、ハァ。
お互いに息つく間もない応酬おうしゅうをし、肩で息つき再び睨み合う。

ムカつく!!
ムカつく!!
ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくッッ!!

血脈とやらが大切で。腹黒皇子に言われたから。帰る方法が見つかるまでは大切な戦力で。





ハタと止まる。

あれ……?
俺、、、、、








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