並行時空十二天将夢幻譚

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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序章 始まりの刻

2.並行時空⑨

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「な、……………………」

何者って……………………………………………………

「何者になった覚え、、ない」
「!!」

やや緊張しつつ応えた。
正直言って、それが、というか、そうとしか言いようがない。
俺は普通の18歳男子だ。環境が恵まれているとは言い難いが、それでも、別に特別なものは何もない普通の……
応えた俺に、天后が目をみはる。
長い睫毛に縁取られた瞳でマジマジ見つめられ、居心地悪くてやや気圧された。

「ふっ……………………」
「??」

小さく空気が震え、天后が俯けた肩を震わせだした。
いぶかり、首をひねる俺の眼前に、バッと顔を上げた天后の美貌が迫った。

「あっはははは!!そら、そうか?そやな。なぁ~んもあれへんやんな?普通の男の子が「僕、何モンです」なぁ~んて言わへんな。堪忍なぁ。困らせるつもりなかってん」
「は、、ぁ⁇あ、の…」
「う~…ん、、でも、そうすると、俺が感じてるなんやろなぁ?騰蛇がかれたんや、ほんまになぁんもあらへん事ないやろ」

う~んとあごに手をやり、天后が思案しだすが、俺の体は背中が壁に付いて壁ドンされたまま。
いい加減そろそろ解放して欲しい。
若干、居心地悪くて身動みじろぐが、抜け出せる雰囲気がまったくない。

「顔は可愛いんよなぁ」
「……………………」

可愛いくない!という、反論はなんとか抑えた。
名誉とプライドの為にも言うが、不細工ではない。が、俺の容姿は至って普通だ。女の子的要素の可愛いはないはずで……ただ、今、口開くと余計面倒臭そうで…

「あれ?可愛い、言われた事ない?」
「ない……………………です」
「ええぇ?ほんまに?こないに、可愛いんに、周りの奴ら見る目ないんちゃう?」

そんな事言われても、ないモンはない!!
言われて嬉しい言葉ではなく、不貞腐ふてくされ気味に応える。

「神力感じられへん。顔は可愛いけど、普通の男の子。けど、妙に惹かれる……と、なれば」
「ッ⁉︎」

ツイと、超絶な流し目を寄越され、思わず身体が硬直した。
スッと手が伸ばされるが、蛇に睨まれたカエルの如く、身体がまったく動かせない。
顎に手を添えられ上向かされた。

「身体ん中……しか、あれへんな」
「は?か、らだ」
「そや。神力の事は知ってるやろ?目に見えるんが普通やけど、たまに特別な力すぎて、目に見えへん…見えんようになってる事があるん。やから、あんたもそうなんかもしれん」

普通に知ってる程で話されるが、神力の事と言われても、さっぱり何の事やらだ。が、身体の中などと、妙に意味深な言葉を聞かされ、意識がそちらを向いてしまい返すことが出来ない。

「となれば、確かめてみるんが一番手っ取り早いやんな」
「は?へ?確かめ、る??」
「そや。深部になればなるほど、あんたの正体確かめやすぅなるんやけど……さすがに、うたばかりでそれはな…あ!俺は別に嫌やないよ?むしろ、あんたくらい可愛いらしいんは大歓迎だいかんげい!」
「………………………意味、分かんね」
「う~ん、、、となれば、涙か口ん中かが妥当かな?血ぃは、あんたン事、傷付けなあかんくなるし。さすがに、結論出てへん内に、庇護者勝手に傷付けたら俺が怒られる。俺も、こんな可愛い子傷付けんの嫌や」

1人であーでもないこーでもない言い、うんうん唸る天后に戸惑いが隠せない。無視されんのも困るし、上向かされた首もそろそろ辛いし、離して欲しいし説明もして欲しい。

「よし!あんたに決めてもらうわ!うん、それがえぇ」
「あ、の?何?」

顎にかかる手を振り解こうと、力を込めかけた俺の動きを察したか、はたまたそうする気だったか、手が外された。ニコと笑いかけられ…………………………

「涙流すか、俺に、あんたの口ン中吸わせて?」

放たれた言葉に、思い切りフリーズした。









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