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第1話
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山田商事は、彩が勤める吹けば飛びそうな中小企業である。
そこで彩は総務部に所属していた。部員は部長を含めて3人。
定年間近の部長は、仕事に全くやる気がない。
すっかり薄くなった頭に育毛剤を塗りながら、朝から晩までずっとアナログな新聞を読んでいるだけだ。
無論、PCやスマホなど、使えるはずもない。
そのため、部長のメール送信や電子書類の押印などの仕事は、全て彩が代理でやらされている。
そして、もうひとりの部員といえば……。
「竹下くん! この書類、全然書式が違うじゃない!」
「うぇ? あっ……あっ……」
「この前も同じ間違いをして、注意したばかりだよね」
「みょっ! しゅ、しゅ、しゅいません……」
竹下涼太。
25歳の若手であり、童顔でかわいらしい顔をしている。
体は細身で、身長も高い。
だが、良いのは見た目だけだ。
マッシュの髪はいつもぼさぼさで、そのうつろな目には覇気というものが全く感じられない。
会社では常にぼーっとしてて、半分寝てるようだ。
言葉遣いも変だし、いつもか細い声でもごもごしている。
当然、仕事は全く出来ない。
こんな男、はなっから恋愛対象外である。
事実上、総務部は彩がひとりで仕切っているようなものだった。
当然、全てのやっかいな仕事が彩にのしかかってくる。
そのストレスで、食べる量は増えるばかり。こんな体型になったのも、全て会社のせいである。
まあ、いいんだ。
結婚して、とっととこんな会社から抜け出してやるんだ。
何で、もっと早く結婚相談所という考えが思いつかなかったんだろう。
いい男と結婚して、これから幸せな毎日を送るのである。
ああ、私には輝かしい未来が待っている……!
ひとり感慨に浸っていると、いつの間にか背後に、竹下が幽霊のごとくぬうっと立っていた。
「……しゅ、杉崎さん」
「な、なに? 竹下くん」
「この書類のしゅ式って、どうやるんでしゅたっけ?」
はあ~。
そこで彩は総務部に所属していた。部員は部長を含めて3人。
定年間近の部長は、仕事に全くやる気がない。
すっかり薄くなった頭に育毛剤を塗りながら、朝から晩までずっとアナログな新聞を読んでいるだけだ。
無論、PCやスマホなど、使えるはずもない。
そのため、部長のメール送信や電子書類の押印などの仕事は、全て彩が代理でやらされている。
そして、もうひとりの部員といえば……。
「竹下くん! この書類、全然書式が違うじゃない!」
「うぇ? あっ……あっ……」
「この前も同じ間違いをして、注意したばかりだよね」
「みょっ! しゅ、しゅ、しゅいません……」
竹下涼太。
25歳の若手であり、童顔でかわいらしい顔をしている。
体は細身で、身長も高い。
だが、良いのは見た目だけだ。
マッシュの髪はいつもぼさぼさで、そのうつろな目には覇気というものが全く感じられない。
会社では常にぼーっとしてて、半分寝てるようだ。
言葉遣いも変だし、いつもか細い声でもごもごしている。
当然、仕事は全く出来ない。
こんな男、はなっから恋愛対象外である。
事実上、総務部は彩がひとりで仕切っているようなものだった。
当然、全てのやっかいな仕事が彩にのしかかってくる。
そのストレスで、食べる量は増えるばかり。こんな体型になったのも、全て会社のせいである。
まあ、いいんだ。
結婚して、とっととこんな会社から抜け出してやるんだ。
何で、もっと早く結婚相談所という考えが思いつかなかったんだろう。
いい男と結婚して、これから幸せな毎日を送るのである。
ああ、私には輝かしい未来が待っている……!
ひとり感慨に浸っていると、いつの間にか背後に、竹下が幽霊のごとくぬうっと立っていた。
「……しゅ、杉崎さん」
「な、なに? 竹下くん」
「この書類のしゅ式って、どうやるんでしゅたっけ?」
はあ~。
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