民衛隊ー可能性のある未来ー

たらしゅー放送局

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守るために剣を抜く

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事務所の数は何千とあるが、それを統括する大本営事務所というのが各都道府県に存在する。東京は『旧国会議事堂跡大本営事務所』だ。俺達の事務所は東京だから、ここが大本営事務所となる。そして今、俺達は大本営事務所にいる。理由は単純だ。昨日のテロの予告である。あの放送のあと、すぐに大本営事務所からの無線が来た。
『翌日0500までに各大本営事務所へ急行せよ!』
急行した。いっぱい人いた。帰りたい。てなかんじで0530、だだっ広い土地に俺たちは階級別に並んでいた。ちなみに階級は自衛隊と同じだ。俺は三尉、事務所の長、事務長である未海は三佐だ。
「諸君、何故本日この大本営に召集されたか、理解しているな?」
「はい!」
事務長の問いかけに総勢約十万人のはいが木霊する。
「わからねぇえ奴の為に説明する!昨日2350、Zからの犯行宣言が発表された。それによると、九月三十日に全世界でやらかすらしい。この宣言を聞く限り、時間の設定はない。これが何を表すかわかるか?」
わかるか!
『はい!』
わかるのか?!このわかりづらい表現が。
「いつ起こるかわからない。その恐怖の中、貴様らには命を懸けて国民を守って貰わなければならない」
あ、そういうことね。相変わらず事務長の話はわかりにくい。
「そこで、我々は九月三十日までの間は準警戒態勢、当日は0000から、翌日まで緊急態勢をとることを決定した。各自、何か質問はあるか?」
返事は無かった。
「よろしい。ではこれで終了とする。解散!」
「了解!」
@@@@@@@@@@@@
「あー、もう疲れた」
黒のワゴン車に揺られて俺はほう、と息を吐いた。
黒のワゴン車は民衛隊の決まりの一つだ。黒は比較的にZや、Zから派生した野郎が夜にテロを起こしやすいから、カモフラージュを狙って。ワゴン車は多くの荷物や弾薬、小銃などを詰めるからだ。
「やっぱり人ごみはだめ?」
「ああ、だめだ。やっぱりあの時を思い出す」
そう、思い出だすのだ。初めて人を撃った日の事を。
@@@@@@@@@@
八月三十日、午後十時頃。戦いは終わりに近づいていた。そんな中、俺達はデパートの中にいた。親に言われ隠れていたトイレから出てみると、そこらじゅうが血で染まっていた。
「なぁ、そこのちびちゃんら」
唖然とし過ぎていたんだと思う。目の前にZの隊員が手にハンドガンを持ってたっていた。照準は見てわかった。俺の眉間。寒気が全身を襲い、失禁しそうになった。後ろの未海はひっぐひっぐと泣きそうになっている。
「天国ってしってっか?」
「て、てん、ご、ごご、く…?」
俺は泣きそうになるのを必死にこらえてどうするか考えた。
「そうだ、お前たちはこの世界を変えるための生け贄になるんだ。それは天国に行ける最大にいい行いだ」
がはははは!と隊員は笑った。
(どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする!!!!!!!)
笑い声と共に心拍数も上がっていく。後ろには未海がいる。俺が盾になって死んだ所で貫通して未海に当たる可能性だってある。逆に貫通しなくて逃げても人間の足と弾丸の速さどちらが速いかなんて目に見えている。
(どうする!!!!!!!)
かち、
撃鉄を起こす音が響いた。子供だがわかる。『後引きがねを引けば俺達は死ぬ』。死は秒で俺達に近づいている。早くしないと死ぬ!。しかし神様はそんな哀れな子供たちを天国へ連れて行くのを拒んだ。
「ん?あれ?おかしいぞ?なんで弾が出ない!?」
かちかちと隊員が引き金を引いてもなにも出ない。
(いまだ!!!!!!!!)
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
内から外へ銃を持ってる手をそらし、金的へ精一杯の力を込めて蹴り上げた。
「はうぉぅ…!」
声にならない悲鳴をあげ、銃を離し、その場にしゃがみ込んだ。その銃をすかさず拾い上げ、マガジンを抜き、残りの弾数を確認した。
(一発)
そのとき何かが吹っ切れたような気がした。映画のようにマガジンを再装填。映画のようにスライドを引いた。ジャムを起こしていたもう一発の銃弾が排莢された。照準のあわせ方なんてわからなかったが、銃を隊員に向けた。
「お、お前!!!!!!!」
と、言って銃を取り戻そうと必死に手を伸ばす隊員。それを見て俺は思った。
(ざまぁみろ)
「ざまぁみろ」
パン!
キーンと言う耳鳴りと、硝煙の匂い。そして沢山の返り血が俺の身体を支配した。
命中したのは眉間。達成感が俺の中を巡った。
「はは、は、は。はははははははははは!!!!!やったやった!はははははははははは!!!!!」
「君達大丈夫か?」
という声で我に返った。何十人ぐらいの自衛官達が来ていた。
「大丈夫か?、けがは?」
「あ、あ、」
(俺は人を…ころした?)
『人殺し!』
『最低!』
『くずが!』
(この人たちが俺のことをけなしてる。人を殺したからだ…)
「う、うるさい!!!だまれ!!!」
といって俺は気を失った。
@@@@@@@@@
それ以来俺は人ごみが嫌いだ。最近はましになったが今でも時々人殺しという言葉が聞こえたりする。
「けどあの時の君かっこよかったよ?」
「やめてくれ、俺は人を殺した」
「だからなんなのよ?この仕事人を殺さないとやっていけないわよ?」
といって少し真剣な顔になった。
「ねぇ、薙はさ、私を守ろうとしたんだよね?」
「…ああ、そうだよ」
「だったらZとは違うわ。誰かを守るために抜く剣は、例えそれが過ちだったとしても抜かなければいけないわ。けど対外の人はそれを抜けない。薙、あなたはそれを抜いたの。例えあなたに対して人殺しと言う人がいるなら、私が黙らせるわ」
といって未海は少し笑った。綺麗な夜景に照らされて少しドキッとしてしまう。
「…ありがとな」
「いいのよ、これぐらい」
といって、未海はニコッと笑ってみせた。
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