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#6
しおりを挟む何だあれ。
周りの生徒達は突っ立っているだけで、苦笑している者もいる。
これは……イジメか?
そう思ったらいてもたってもいられず、教室に入って黒板消しをとった。そして、大きな文字を背伸びして消していった。
「あ……っ」
何とか全部消すと、彼は強ばった表情で頭を下げた。
「あの、ありがとう……」
「いいんだよ。それより、誰がこんなこと書いたんだろうな? 幼稚すぎだろ、小学生かよ」
怒りの方が勝る。少年は気まずそうにもう一度頭を下げると、そそくさと出て行ってしまった。
周りはヒソヒソと、こっちを見て話してる。それにもムカついて、声を張り上げて言ってやった。
「こんなでっかい文字書くのも大変だし、絶対時間かかるよな。誰が書いたのか、一人ぐらい見てるだろ? 見物してたんなら教えてくれよ」
こんだけ野次馬がいるんだから。怒気を込めてそういったものの、やはり静まり返って誰も答えない。時間と共に散り散りに去っていく。
「み、三尋。ちょっと、こっちこっち」
「お~、なづな」
人混みの中からなづなが現れ、俺の腕を掴むと廊下へ引っ張り出した。
「なづな、ちょっと聞いてくれよ。今さ、あの教室の黒板にひどい落書きが書かれてて」
「分かってる分かってる、それで来たんだよ。そしたら三尋が注目されてるからびっくりしてさ。ダメだよ、こんな事に関わっちゃ!」
意外なことに、なづなは鬼気迫る様子で叱りつけてきた。
「誰が何の目的でやってるのか分からないんだよ? 下手したら、三尋が的になっちゃうよ!」
「的? イジメの?」
「イジメ……はイジメだけど、もっと最低なやつだよ。度が過ぎてんだけど、その……ターゲットになった人をね、一日誰でも強姦するってゲームがあるんだ」
彼の言葉は意味は理解できても、納得のできるものではなかった。
そういえば、さっきの黒板には「犯す」と書かれていた。男相手に。
「まぁでも……そのうち嫌でも耳にするか。驚かないで聴いてほしいんだけど、ここでは今生贄ゲームってのがあるんだ」
「なんだそれ」
タチ悪い18禁みたいなタイトル。かなり突っ込みたかったけど、ここはグッと堪えて彼の話に耳を傾けた。
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