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除け者
#2
しおりを挟むそう告げると彼は恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに笑った。
「そんなこと言ってくれたの、三尋が初めてだ」
こんなにも嬉しそうに笑う友人を他に知らない。だから思わず見蕩れてしまった。数秒どころの話じゃない。
可愛い。
なんて本気で思い始めてる。
「でも三尋はかっこいいから、ゲーム関係なしに狙われる可能性がある。気をつけて、何かあったらすぐ俺を呼んで! OK?」
「ははっ、了解」
しばらく雑談を交わして、なづなのシャツが乾いてから保健室を出た。
「じゃあ三尋、また明日。寝坊しないでよ」
「はいはい、お前もな」
校門の前で、三尋はなづなと別れた。ゲームのことを考えると、今日もやっぱり憂鬱だったと思いながら。
視線を感じて振り返った時、一人の少年と目が合った。
自分とそう背丈は変わらない、眼鏡を掛けた少年。しかし、すぐに踵を返してどこかへ行ってしまった。
……?
不思議に思ったけど、本当にそれだけだったので気にも留めずその日は家に帰った。
翌日。
放課後になってから、三尋はなづなと教室でテスト勉強をしていた。来週から早くも中間テストが始まる。三尋は転校したばかりで不安があり、彼に範囲を教えてもらっていた。
「多分、こうなると思うんだけど……大丈夫? 俺、あんまり教えんの得意じゃないからなぁ」
「ううん、すげー分かりやすいよ。天才天才」
「あはは、どうだか。あ」
なづなは教室に入ってきた一人の少年に気が付くと、手を振って声を掛けた。
「伏美君、ちょっといいかな?」
「ん?」
伏美と呼ばれた少年はなづなに呼ばれると、ゆっくり彼らの元へ向かった。
「何?」
「今テスト勉強してるんだ。三尋がさ、前の学校と授業の進み具合違うから困ってんだけど、俺じゃ限界があって……一緒に教えてあげてほしいんだけど、駄目かな」
「あぁ。いいよ」
伏美が笑顔で参加してくれた為、三尋もお礼を言う。なづなが言うには、彼はクラスで一番の成績らしい。実際、驚くほど彼の教え方は上手かった。
「他に分からないとこある?」
「ううん。ありがと、伏美って頭いーなー。スラスラ解いちゃうんだから」
「勉強しかしてないから、すごくないよ。部活も委員会もやめて、勉強一筋でやってんだ。親がうるさいからさ」
伏美は嫌々といった様子で肩を竦めた。
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