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散り散り

#2

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「う~ん……?」

耳元で鳴り響くアラームで目を覚ました。
……朝だ。いつの間に寝たんだろう。
昨日はリビングのソファにいたはずなのに、今は寝室のベットで横たわっている。何故なのか考えていると、ドアが静かに開いた。

「おはよ、鈴」
「か、和巳さん」

ドっと汗が滝のように流れる。彼を見た瞬間、昨日のことを瞬速で思い出した。恐ろしい速さで彼とヤッてしまった、昨夜のことを。
そしてのたうち回りたいぐらい恥ずかしい台詞を言わされ続けたこともやはり覚えていた。残酷だが、アルコールのように忘れさせてくれるものは何もない。
「さてと! シャワー、浴びようか」
和巳さんは隣まで来て、鳴り続けていたアラームを止める。
「本当は昨日一緒に入るつもりだったんだよ。でも鈴が全然起きないから、もう朝一で入ろうと思って早めにアラームセットしてたの」
「あ、あぁ……すいません。最近寝不足だったので」
「あれ、敬語に戻ってる」
「え?」
なにかと思って聞き返すと、彼は不思議そうに腕を組んで首を傾げた。
「昨日俺とシてる時は敬語じゃなかったよ。和巳さん、気持ちいい。もっとキてキて! って、連呼してた」
「……!!」
考えるよりも先に布団を掴んで、頭まで被った。でもそれはすぐに剥ぎ取られ、困ったことに和巳さんがベットの上に乗ってきた。

「鈴、照れんのもいいけど忘れてないよね? 昨日俺とした約束、守んなきゃだめだよ」
「ふ、布団返してください」
「そうしてあげたいとこだけど、もう起きないと。後おはようのキスは今日もやるよ?」

彼の顔が近付いてくる。避ける間もなく唇を塞がれて、朝から火照った熱を与えられた。
「ぁ……和巳さん……!」
でも間違いなく、今日のは今までと違う。深く絡まって、執着してくる。これはちょっと辛い。
「昨日言ったこと、思い出して。はい、俺が世界でいっちばん愛してるのは?」
「お、俺……?」
「疑問形にしない! 自信を持って答えなさい。俺が愛してるのは鈴。そうでしょ?」
「はい、俺です!」
何か怖い。声や表情はいつもとそんな変わらないけど、微妙に圧を感じる。
「OK。じゃあシャワー行こう!」
「はい!」
その後は訳が分からないまま浴室に連れてかれ、彼と身体を洗った。あれよあれよと服を着させられ、またまた髪もドライヤーで乾かしてもらった。





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