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元不良少年の計画
#7
しおりを挟む「矢代さんと? あはは、有り得る。最近仲良しだもんね」
「笑い事じゃない! おかしいと思わないのか? 二人で長電話したり、今回も俺達のことは呼ばず、二人だけで会ってさ!」
「でも俺達よりは歳も近いし、相談しやすい仲なんじゃない? 矢代さんって穏やかな人だし、和巳さんが好きなタイプなんだよなあ」
「穏やかとか冗談じゃねえよ、先生の本性はな……いや、まぁそれはいい。鈴鳴、俺に協力してくれ!」
秋は手を合わせて、勢いよく頭を下げた。
「何?」
「先生を本気にさせるには半端な手は使えない。だからこうしようと思う。いいか、俺の考える計画は……」
彼の計画とやらを、耳元でごにょごにょと聞かされる。でも、最後まで聞いた時に心底震え上がった。無論、恐怖で。
「絶対やだよ! そんなの俺が矢代さんに殺されるじゃん!」
「大丈夫だよ、演技なんだから。お前は大人しくしてればいい。どうなっても俺が全部責任とるから」
「えぇ~、でも……」
「頼むよ、鈴鳴! 一生のお願い!!」
そう叫ぶと、秋はとうとう座敷の畳に手をついて頭を下げた。半土下座状態だ。ここまでされたら断るのも気が引ける。
でも秋ってば分かってるかな。俺と出会ってから、一生のお願いはこれで四回目だ。
「……じゃあ、ほんとにちょっとだよ。取り返しがつかなくなるような事はしないからね」
「あぁ! サンキュー、恩に着るよ!」
彼は俺の手を取ると、ようやく笑顔になった。その笑顔は可愛いけど、内心嫌な予感しかしない。でも彼のお願いに負けて、俺は頷いた。
────それから三日後の夜。
漠然とした不安を抱えたまま、秋の家に来ていた。どうも、お邪魔します。……二人の愛の巣に。
「よーし、やるぞ、鈴鳴! これから、先生を嫉妬させる!」
「秋、やっぱり考え直さない? 下手したら嫉妬させるどころか完全修復不可能な亀裂を生むかもしれないよ」
「その時はその時。男なら時に腹括らないとな」
こんなところで男気を見せなくていい。
ため息が止まらないけど、秋と矢代さんの寝室へ向かった。ちょっとだけドキドキする。彼らの家に来たのは二回目だけど、寝室は初めてだから。
ここでいつも二人で寝てんのかぁ……と考えると、何だか変な感じで胸が熱くなった。
あぁでもやっぱり、和巳さんに話してから来ればよかった……。
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