余計なお世話係

元不良少年の計画

#２３

地獄が終わったのは朝方。鳥のさえずりが外から聞こえた頃に、視界に光が射し込んだ。
「うっ……く、痛っ……死ぬ……っ」
途切れ途切れに呻くのは、ベッドに横たわる秋と鈴鳴。結局夜通しでヤりまくってしまった。

「あぁ大変だ！ すいません矢代さん、シーツを汚してしまって……！」
「大丈夫だよ。どうせ洗うつもりだったから」

そして彼らの前には、一足先にシャワーを浴びてスッキリしている矢代と和巳がいた。

「せっかくだから朝ご飯を食べていきなさい。まぁ昨日の残り物なんだけど、シチューを温めるから」
「ありがとうございます。恥ずかしながらお腹空いちゃって……遠慮なく頂きます！」
和巳は元気に矢代と部屋から出ていった。取り残された鈴鳴と秋は、げっそりして時計を眺める。まだ朝の五時だ。
「もうしばらくヤリたくない……」
「そーだな。……俺も」
ベッドから起き上がって、着替えをするのもしんどかった。




｢おぉ……」

それでも体に鞭を打って這い上が、リビングに向かう。既に矢代さんが朝食を用意してくれていた。温かいシチューと焼いたパン、それにサラダやフルーツ。美味しそうだし、かなり健康的。鈴鳴は密かに安堵した。
しかし秋は不服そうに、注がれた牛乳を口にする。

「はぁー、こんなにいらない、食欲ねえよ……」
「若いくせに、何でそんな情けないんだろうな。鈴鳴君を見習え、たくさん食べてくれてるぞ」
「今食ったら腹下す。鈴鳴、お前も程々にしとけ。この人達はそりゃ～身体に何も負担はありませんけど？ 俺達はひたすら自分に負担をかけてる、辛い辛い立場だからな」
秋が最後に皮肉って言うと、テーブルの下でガンッという音が聞こえた。そのすぐ後に、秋は｢痛い！！｣と言って矢代さんを睨みつけた。

「あはは、でも朝ご飯までご馳走になってすいません。お二人も忙しいのに……昨日は本当にありがとうございました。あと、俺の恋人がご迷惑をおかけしてすいません」

和巳さんはパンを頬張りながら、俺の頭をポンポンと叩いてきた。謝れということらしい。

「もっ……申し訳ありませんでした、矢代さん……」
「もう、君が謝ることなんてないだろう。むしろこんな事に巻き込んだ秋が、久しぶりに土下座でもして誠意を見せるべきさ」
「ど……土下座は嫌だ」