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元不良少年の計画

#22

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明るい照明。嗅ぎ慣れないシーツの香り。壁。
……吐息。
向き合って密着している友人に、小声で囁いた。

「秋……俺もう、二度とこっち関係は協力しない。次何かあっても、ひとりで何とかして……。いいね?」
「あぁ……。俺も、もうやめる……もう、何もしない……」

秋は投げやりというか、もう疲れて何も考えられない、というように肩を揺らした。安易に乗っかった俺も悪いけど、本当に困った友人だ。
でもある意味、問題児は秋より……矢代さんの方が。

「ごめん、鈴鳴。俺のせいで、こんな……」

息も絶え絶えに、秋は手を握ってきた。くっ、本当はもっとこてんぱんに怒ってやりたいんだけど。こんな風に泣きつかれたらどつけないじゃないか。
「いいよ。秋が意外と世話焼けるのは前から知ってたから」
「んんっ……」
彼の腹を汚す白い体液を指ですくといる。すると彼も腰を擦り付けて、俺のぬれた頬を舌で舐めとった。
「ん、鈴鳴……やっぱ、お前可愛いすぎ」
「ちょ、秋、くすぐったいってば」
俺も同じようにやり返して、濡れた部分を舐め合う。そうしてじゃれあってたんだけど……途端に、背筋に寒気を感じて我に返った。

「あははは。……矢代さん、どうします? ほんとの恋人の前で堂々とイチャイチャしてる、この子達」
「うーん、そうだねぇ。可愛いけど、また時間をかけて教えてあげないといけないかもね」

しまった……!!

後悔しても、もう遅い。
振り返って謝ろうとしたけど、また前を握られてドキッとする。
「鈴は俺を嫉妬させんのが上手になったね。でも、もう本当に怒った。今度は潮吹くまで許さないよ」
「えっ! そ、そんなの無理だって!」
青ざめて訴える鈴鳴の隣で、矢代は無邪気に笑った。

「ふふふ、人の潮吹きなんて久しく見てないな。ちょっと楽しみだよ。……秋、お前も負けてらんないな。俺の前で彼と戯れたこと、イッて後悔するんだな」
「待っ、やだやだ、もう無理! もうイケないって!」
「俺はまだイッてないんだよ。最低でも後三回、これから付き合ってもらう。足りない頭で反省しながら、身体で俺を覚えろ。いいな?」
「ち、ちょっと待っ……あぁ、俺が悪かった! もう二度と余計な心配はしない! 俺は本当に先生に愛されてるよ……!」

軋むベッド、染みだらけのシーツ。
そして絶え間なく響く二人の青年の悲鳴に、その夜は色濃く染まった。






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