父と子

七賀ごふん

文字の大きさ
2 / 9

#2




理瑛りえい、夜ごはんできたからおいで」
「……はーい!」

わずかに聞き取れた、低いが通る声。音楽がガンガン流れるヘッドホンを外して大きく返事した。

「よし」

キリがいいし、ここまででいいか。

参考書を閉じ、理瑛は立ち上がった。
長く苦しい受験を乗り越えて希望の高校に入学したものの、押し寄せるテストの波のせいで勉強漬けの毎日だ。
高校入ったらもっと楽できると思ったらとんでもない。合格した時はあんなに嬉しかったのに、今はもうひとつレベルを落とせば良かったと後悔している。

放課後友達と遊んだり彼女つくったり、海に行ったりデートしたり。中学で我慢したぶん青春したいから、抑圧された日々に多少の不満がある。
正しい“青春”がなにかは知らない。ただ、想像と違う。特別困ってることは何もないけど何か満たされない。

俺は間違いなく恵まれてると思う。でも充足感を欲している。

「父さん。今日のご飯何っ?」

だが、それ以外は何もない。本当に大事な存在はいつも傍にいる。
「今日はキムチ鍋。好きだろ? 牡蠣も入れたぞ」
「やった! 腹減ってるからたくさん食べられそう」
今年高校に入った少年、琴浦理瑛《ことうらりえい》は父と二人で暮らしている。
片親家庭と言うと気を遣われることが多いが、父は優しくてかっこよくて、何より頼りになる。同級生の父親よりずっと若い彼が、理瑛は大好きで仕方なかった。
「今までずっと勉強してたのか。頑張ってて偉いぞ」
「うーん。結果は期待しないでほしいけどね」
席について笑って誤魔化す。父は優しく微笑んで、頭を撫でてくれた。

「いつも言ってるだろ? 結果じゃないよ。頑張ることが大事なんだ」
「……うん。ありがと」
そう言ってもらえると安心する。
彼が好きだ。支えたいし、未だに甘えたい。それはもうおかしいぐらいに。
正直、今は父さえいれば幸せだ。
「ご馳走様! 美味しかったよ」
「そっか、良かった。りんご剥いてやるからちょっと待ってな」
「ほんと? 食べる食べる」
何でかデザートはいつもある。何歳になっても変わらない、ささやかな楽しみ。
平和な日常、平穏な家庭。怒鳴られたことも叩かれたこともない。厳しくされた記憶なんてなくて、本当に優しいひとだ。


……ただそんな父も、夜は少し違う一面を見せる。


『この歌を聴くと一週間以内に恋人ができるそうなんですよ!』

深夜って変なテンションの番組が増えるなー……。

嫌ではないけど、かと言って観たいとも思えず、テレビのチャンネルを次々に変えていく。
寝巻きに着替えて、理瑛はソファで寛いでいた。隣には、彼の頭を撫でる父がいる。
「理瑛、明日は何時に帰るんだ?」
「んー……学校終わったらすぐ帰るから、十六時過ぎぐらいかな?」
「そっか。気をつけろよ。お前はちょっと抜けてるから」
ちょっとくすぐたったい。父は隣で微笑み、俺の髪を指で絡めだした。

「失礼な、抜けてないよ。大体何に気を付けんの?」
「そりゃあ、痴漢かな?」
「ないない、父さんじゃあるまいし」

言ってから、しまった、と臍を噛む。でも遅かった。髪を弄っていた長い指が腰元に回される。彼の香水だろうが、甘い匂いが漂ってきた。

「そうだな。……お前は俺だけの物だから」
「んっ」

いきなり唇を塞がれる。そして強引にソファに押し倒された。
「理瑛、最後にオナニーしたのはいつ?」
「ん……昨日」
「昨日? しょうがないな、毎日してるのか」
何でまぁこんな性的な話を親子でしてるのか。
大体、キスなんて……こんな姿をクラスメイトに見られたら翌日から不登校になる。
異常だけど、これが俺達の日常だった。

「若いからたまってるんだな。やらしい体」
「あ……」
服の上から股間を撫でられるとゾクゾクする。
上を向いて反り返りだしたところを、優しく揉み解される。ちょうど先端、亀頭を重点的に責められた。
あっという間に快感に震える。もっと触ってほしくて、自ら腰を揺らす。
「ん、父さ……っ、だめ、イっちゃう……っ」
「ちょっと触っただけで? 本当に敏感だな」
父は肩を竦めた。笑って言ってるけど、そうしたのはどこの誰だと思ってるんだか。
「じゃあ、早く楽にしてやるな」
ベルトを外され、ズボンを下着ごと引き摺り下ろされる。
「ああっ!」
露になった脚の間を、執拗に愛撫された。反り返ったペニスはもっと触れと誇示してるようだ。自分の意志とは関係なしにびくびく震えている。

「はっ……気持ちい……っ」

ただ触られるだけで興奮する。馬鹿みたい。というか、ただの変態だと自覚させられる。
だがそれすら興奮の材料になる。

自分の身体はとっくの昔に、父に躾られていた。





あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。