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しおりを挟む「理瑛、夜ごはんできたからおいで」
「……はーい!」
わずかに聞き取れた、低いが通る声。音楽がガンガン流れるヘッドホンを外して大きく返事した。
「よし」
キリがいいし、ここまででいいか。
参考書を閉じ、理瑛は立ち上がった。
長く苦しい受験を乗り越えて希望の高校に入学したものの、押し寄せるテストの波のせいで勉強漬けの毎日だ。
高校入ったらもっと楽できると思ったらとんでもない。合格した時はあんなに嬉しかったのに、今はもうひとつレベルを落とせば良かったと後悔している。
放課後友達と遊んだり彼女つくったり、海に行ったりデートしたり。中学で我慢したぶん青春したいから、抑圧された日々に多少の不満がある。
正しい“青春”がなにかは知らない。ただ、想像と違う。特別困ってることは何もないけど何か満たされない。
俺は間違いなく恵まれてると思う。でも充足感を欲している。
「父さん。今日のご飯何っ?」
だが、それ以外は何もない。本当に大事な存在はいつも傍にいる。
「今日はキムチ鍋。好きだろ? 牡蠣も入れたぞ」
「やった! 腹減ってるからたくさん食べられそう」
今年高校に入った少年、琴浦理瑛《ことうらりえい》は父と二人で暮らしている。
片親家庭と言うと気を遣われることが多いが、父は優しくてかっこよくて、何より頼りになる。同級生の父親よりずっと若い彼が、理瑛は大好きで仕方なかった。
「今までずっと勉強してたのか。頑張ってて偉いぞ」
「うーん。結果は期待しないでほしいけどね」
席について笑って誤魔化す。父は優しく微笑んで、頭を撫でてくれた。
「いつも言ってるだろ? 結果じゃないよ。頑張ることが大事なんだ」
「……うん。ありがと」
そう言ってもらえると安心する。
彼が好きだ。支えたいし、未だに甘えたい。それはもうおかしいぐらいに。
正直、今は父さえいれば幸せだ。
「ご馳走様! 美味しかったよ」
「そっか、良かった。りんご剥いてやるからちょっと待ってな」
「ほんと? 食べる食べる」
何でかデザートはいつもある。何歳になっても変わらない、ささやかな楽しみ。
平和な日常、平穏な家庭。怒鳴られたことも叩かれたこともない。厳しくされた記憶なんてなくて、本当に優しいひとだ。
……ただそんな父も、夜は少し違う一面を見せる。
『この歌を聴くと一週間以内に恋人ができるそうなんですよ!』
深夜って変なテンションの番組が増えるなー……。
嫌ではないけど、かと言って観たいとも思えず、テレビのチャンネルを次々に変えていく。
寝巻きに着替えて、理瑛はソファで寛いでいた。隣には、彼の頭を撫でる父がいる。
「理瑛、明日は何時に帰るんだ?」
「んー……学校終わったらすぐ帰るから、十六時過ぎぐらいかな?」
「そっか。気をつけろよ。お前はちょっと抜けてるから」
ちょっとくすぐたったい。父は隣で微笑み、俺の髪を指で絡めだした。
「失礼な、抜けてないよ。大体何に気を付けんの?」
「そりゃあ、痴漢かな?」
「ないない、父さんじゃあるまいし」
言ってから、しまった、と臍を噛む。でも遅かった。髪を弄っていた長い指が腰元に回される。彼の香水だろうが、甘い匂いが漂ってきた。
「そうだな。……お前は俺だけの物だから」
「んっ」
いきなり唇を塞がれる。そして強引にソファに押し倒された。
「理瑛、最後にオナニーしたのはいつ?」
「ん……昨日」
「昨日? しょうがないな、毎日してるのか」
何でまぁこんな性的な話を親子でしてるのか。
大体、キスなんて……こんな姿をクラスメイトに見られたら翌日から不登校になる。
異常だけど、これが俺達の日常だった。
「若いからたまってるんだな。やらしい体」
「あ……」
服の上から股間を撫でられるとゾクゾクする。
上を向いて反り返りだしたところを、優しく揉み解される。ちょうど先端、亀頭を重点的に責められた。
あっという間に快感に震える。もっと触ってほしくて、自ら腰を揺らす。
「ん、父さ……っ、だめ、イっちゃう……っ」
「ちょっと触っただけで? 本当に敏感だな」
父は肩を竦めた。笑って言ってるけど、そうしたのはどこの誰だと思ってるんだか。
「じゃあ、早く楽にしてやるな」
ベルトを外され、ズボンを下着ごと引き摺り下ろされる。
「ああっ!」
露になった脚の間を、執拗に愛撫された。反り返ったペニスはもっと触れと誇示してるようだ。自分の意志とは関係なしにびくびく震えている。
「はっ……気持ちい……っ」
ただ触られるだけで興奮する。馬鹿みたい。というか、ただの変態だと自覚させられる。
だがそれすら興奮の材料になる。
自分の身体はとっくの昔に、父に躾られていた。
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