父と子

七賀ごふん

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きっかけは十歳の時だった。

友達と珍しく遅くまで、父に連絡もせずに遊んだ。その時は本当に楽しくて、初めて帰りたくないと思ったほどだ。

けど友達と別れたら急に不安になって、大急ぎで家に帰った。父は今まで見たことのない怖い顔で怒った。

服を全部脱がされて、体中に痕をつけられた。痛くて苦しくて、泣いて謝ったことを覚えている。

時間は零時。

日付は変わっていた。

めちゃくちゃに視界が傾いた後、わけが分からないまま眠った。眠ったのか、気を失ったのか……正確には分からないが。

でも目が覚ますといつもの優しい父に戻っていた。
それに安心して、同時にとてつもない恐怖を覚えた。
これからは絶対父には逆らわないで、早く家に帰るようにしよう。そう心に固く誓った。

父は多分寂しいんだ。
母さんと別れてから、たまに家に男の人を連れてきて、ベッドで抱き合ってるから。

せめて自分は父を悲しませないよう、良い子でいないと。子どもの頃の俺はそんなことを考えていた。けどそれから数年が経ち、強い想いも記憶の波に攫われて。

あの痛みと恐怖も、確実に色褪せてきていた。




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