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くちづけ
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――コジラセの沼、その泥のずっと深く。
私はキュン眼を見開いて、泥をかきながら泳いでいく。
そしてたどり着く。
清純な輝きを放つ、砂キュンのありかへ。
幻想的にきらめくその鉱物を、すくえるだけ両手にすくう。
身にまとう衣の襞やポケットにもため込む。
なるべく多く持ち帰らなくては。竜皇帝陛下に献上するキュンの延べ棒を鍛造するには、それなりの量が必要なはずだから。
もう少し、あともう少し。
だけどとうとう、私の息はつきそうになる。
苦しい。肺が空気を求めて、灼熱の痛みにもだえる。
悔しい。まだ死にたくない。
瞬間、強く優しく誰かが私を抱き寄せて、くちづけた。
ラファエル様だった。
彼の押しつけてくる唇から、私の肺へ爽やかな空気が送り込まれる。
――そしてカッパの名誉騎士様が、私を暗い沼深くから一気に引きあげたのだった。
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私はキュン眼を見開いて、泥をかきながら泳いでいく。
そしてたどり着く。
清純な輝きを放つ、砂キュンのありかへ。
幻想的にきらめくその鉱物を、すくえるだけ両手にすくう。
身にまとう衣の襞やポケットにもため込む。
なるべく多く持ち帰らなくては。竜皇帝陛下に献上するキュンの延べ棒を鍛造するには、それなりの量が必要なはずだから。
もう少し、あともう少し。
だけどとうとう、私の息はつきそうになる。
苦しい。肺が空気を求めて、灼熱の痛みにもだえる。
悔しい。まだ死にたくない。
瞬間、強く優しく誰かが私を抱き寄せて、くちづけた。
ラファエル様だった。
彼の押しつけてくる唇から、私の肺へ爽やかな空気が送り込まれる。
――そしてカッパの名誉騎士様が、私を暗い沼深くから一気に引きあげたのだった。
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