1 / 6
1
しおりを挟む
ある晴れた休日、私は別の会社に勤めている彼とデートした。
今日は“次に行こう”と二人で決めていた喫茶店を中心に、ブラブラ歩いた。
そして空に夕日の色が混じった頃、私達はお馴染みの公園のベンチに座った。
「君の事は本当に好きだけど、俺ほかにも好きな人いるんだよね。
さすがに気付いてる……よね。
俺、隠し事ヘタで」
話している途中、彼はニメートルほど先の地面を見ながら急に言った。
さすがに衝撃発言だったけど、私は無理やり平気なフリをした。
ムカついたから。
「それは何となく分かってたけど、隠したかったんだ。
匂わせといて、私が気付くのを待ってるのかなとか思ってたよ」
とは言うものの、現在進行とは考えてなかった。
“元カノとの思い出がよぎったのかな”くらいの事をチラホラ見せてくるな、と思う事はあったけど。
「タンタ、そういうズルいトコあるよね」
私が言うと、彼は少し目を大きくしてこちらを見た。
「え、俺ってズルいとか思われてたんだ。
ホーちゃん、そんな風に思ってたんだ」
私は彼に“ホーちゃん”と呼ばれ、私は彼を“タンタ”と呼んでいる。
「あるじゃん、道を聞くのも食器を洗うのも、っていうか。
問題なのはこっち、同棲しようかって話してたよね。
どっちなの、同棲したいの、したくないの」
「え、したいよ、その話しをするためにココに来たんだし」
とても意外そうにタンタは言った。
「で、そんな時に言うんだ。
普通に考えたら断る時のセリフだよね、さっきの。
あのさ、もしかして私って浮気相手?」
私はもちろん、自分を浮気用に差し出すつもりはない。
「違うよ、そんな事ないよ。
その人、結婚して遠くに居るし。
もちろん真剣に君と付き合ってるよ」
何が違うんだか、私には理解できない事をタンタは言った。
「他に好きな人がいるのに、真剣に付き合ってるって言えるのかな。
それって、何か……変だよね。
好きな人が遠くにいるから、仕方なく近場の私とお茶を濁してるって事?」
「あ、俺の言い方が悪かったよね。
遠くの彼女と俺、もちろん今は付き合ってないから。
一年に一度、彼女が帰省した時に会うだけだから」
タンタはニッコリして言った。
“今は”とか、すごく気になるワード出てきたんだけどっ。
「何、私の勘違いみたいな態度なの?
七夕みたいな会い方して。
まさか一晩しっかり、しっぽりしてるんじゃないよね」
私が言うと、タンタはビクッとして目がバシャバシャ泳いだ。
「で、でも、彼女とは付き合ってないし、昔ちょっとだけ。
て言っても、小学生の時だから。
それに一年に一度の事だし……、昔からの恒例の行事って感じで」
私は呆れすぎて、口をポカーンとして無言で彼を見た。
“昔から”って、いつから?
恒例行事とか、本気で言ってるの?
しかし聞いたら答えるんだな、隠し事がヘタっての本当だった……かも。
今日は“次に行こう”と二人で決めていた喫茶店を中心に、ブラブラ歩いた。
そして空に夕日の色が混じった頃、私達はお馴染みの公園のベンチに座った。
「君の事は本当に好きだけど、俺ほかにも好きな人いるんだよね。
さすがに気付いてる……よね。
俺、隠し事ヘタで」
話している途中、彼はニメートルほど先の地面を見ながら急に言った。
さすがに衝撃発言だったけど、私は無理やり平気なフリをした。
ムカついたから。
「それは何となく分かってたけど、隠したかったんだ。
匂わせといて、私が気付くのを待ってるのかなとか思ってたよ」
とは言うものの、現在進行とは考えてなかった。
“元カノとの思い出がよぎったのかな”くらいの事をチラホラ見せてくるな、と思う事はあったけど。
「タンタ、そういうズルいトコあるよね」
私が言うと、彼は少し目を大きくしてこちらを見た。
「え、俺ってズルいとか思われてたんだ。
ホーちゃん、そんな風に思ってたんだ」
私は彼に“ホーちゃん”と呼ばれ、私は彼を“タンタ”と呼んでいる。
「あるじゃん、道を聞くのも食器を洗うのも、っていうか。
問題なのはこっち、同棲しようかって話してたよね。
どっちなの、同棲したいの、したくないの」
「え、したいよ、その話しをするためにココに来たんだし」
とても意外そうにタンタは言った。
「で、そんな時に言うんだ。
普通に考えたら断る時のセリフだよね、さっきの。
あのさ、もしかして私って浮気相手?」
私はもちろん、自分を浮気用に差し出すつもりはない。
「違うよ、そんな事ないよ。
その人、結婚して遠くに居るし。
もちろん真剣に君と付き合ってるよ」
何が違うんだか、私には理解できない事をタンタは言った。
「他に好きな人がいるのに、真剣に付き合ってるって言えるのかな。
それって、何か……変だよね。
好きな人が遠くにいるから、仕方なく近場の私とお茶を濁してるって事?」
「あ、俺の言い方が悪かったよね。
遠くの彼女と俺、もちろん今は付き合ってないから。
一年に一度、彼女が帰省した時に会うだけだから」
タンタはニッコリして言った。
“今は”とか、すごく気になるワード出てきたんだけどっ。
「何、私の勘違いみたいな態度なの?
七夕みたいな会い方して。
まさか一晩しっかり、しっぽりしてるんじゃないよね」
私が言うと、タンタはビクッとして目がバシャバシャ泳いだ。
「で、でも、彼女とは付き合ってないし、昔ちょっとだけ。
て言っても、小学生の時だから。
それに一年に一度の事だし……、昔からの恒例の行事って感じで」
私は呆れすぎて、口をポカーンとして無言で彼を見た。
“昔から”って、いつから?
恒例行事とか、本気で言ってるの?
しかし聞いたら答えるんだな、隠し事がヘタっての本当だった……かも。
0
あなたにおすすめの小説
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる