「君の事は本当に好きだけど、俺ほかにも好きな人いるんだよね」

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「だから、正確には浮気じゃないと思う」

“だから”って何、恒例って事はずっと続けてるって意味だよね。
まさか小学生の頃から?
まぁソレはないとしても、かなり前から結婚してる女と年一ねんいちしっぽり……って事だよね。

私と付き合う前はノーカンとしても、一年に一度だから浮気じゃないなんて……。
んな訳あるかっ。
私と付き合ってからも、やらかしてるって事じゃんっ。

私はポカーンとしたまま、そんな事を考えていた。

「ホーちゃんと真剣に付き合ってるのはホントだし、一緒に暮らしたいのもホントだし。
ゆくゆくは……、結婚……とかも考えてて」

私が無言になっている事にも気付かずに、タンタは言った。
そう言えば彼は“そろそろ結婚してもいい年頃だよね”とか、数回前のデートで呟いてたっけ。
このベンチで。

「結婚って……本気で言ってんの?」

「本気だよ、もちろん。
えっと、まだすぐって訳じゃないけど」

タンタは照れた様子で言った。
そんな場合じゃないと思うけどっ。

「ちょっと待って、その前に。
同棲の話をしてる時に“他にも好きな人がいる”なんて言うのは何で?
まず、ソレを答えて」

私がジロリと睨むと、タンタは困ったように笑った。
笑うトコかよ。

「あぁ、その、俺さ、時々出てたよね。
他に誰かいる感、っていうか。
ダメなんだよね、上手く誤魔化すとか苦手でさ」

彼は頭をかいて、人の良さそうな笑顔で言った。
スリッパでその頭を叩きたくなったけど、スリッパが無いので我慢した。

「あー、そうだね。
まぁ馬鹿正直なんだろうな、っては思うよ」

“わざとかな”と思うほど正直感を出してるタンタに、私は胃のあたりがジリジリしてきた。
でも上手かったら、誤魔化す気バリバリって事なんだ。

「そう、俺、自分でも思うけど正直者だから。
えーと、でさ、それでもいいなら、一緒に住まない?」

なんだコイツ、誰かスリッパをくれっ。

「それでもいい訳ないでしょ。
言っとくけど正直イコール誠実ではないからねっ。
それで、他の女……、女だよね、好きな人って」

私は少し混乱しているみたいだ。
息苦しい気もしてきた。

「あぁ、えっと、女性だよ。
俺の恋愛対象は女性」

彼は眉を下げながら、少し不思議そうに答えた。

「あ、あぁそう。
で、それで、一番はどっち?」

「え」

「その人と私、どっちがより好きなの?」

「あー、えーと、……同じくらい?」

「疑問符つき?  ふざけんなって思うけど。
あのね、じゃあ今から一分間よく考えて答えて。
どっちなの」

彼は色んな方向を見ながら考えているようだった。
私は腕時計に目をうつした。
これは、彼からの誕生日プレゼントだ。




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