「君の事は本当に好きだけど、俺ほかにも好きな人いるんだよね」

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「はい一分、どっちなの」

「あの、ええと……。
やっぱり、どっちも。
その、同じくらい」

困った顔で言うタンタに、私は腹が立つと同時にガッカリした。

「あのさ、例えばさ、私と同棲したり結婚してる時にさ。
その例の彼女が離婚して……さ、タンタの前に“お待たせ”って現れたらどうするの。
どっちの手を取るの」

私は倒れ込みそうな気持ちをグッと堪えて、彼に聞いた。
足元は地面だし、土まみれは嫌だから。

「え?  えっと、……その」

「ふーん、ま、そういう事だよね。
同棲しようって時にわざわざ言うんだから、そっちが一番って事だよね」

「それじゃあ、ホーちゃんは言わないでほしかったとか?
黙って彼女に会えば良かった?
俺、そんな事したくないから言ったのに」

彼はムッとしたらしく、珍しく私を責めるように言った。
コレ、逆ギレだよね。
すでに数年“そんな事”しといて、……ガッツリ矛盾っての気付いてないのかな。

「だからさ、何で同棲しても結婚しても彼女と会うの前提なのよ。
違うでしょ、“もう会わない”とか言うトコでしょ。
論点すり替えないでよ」

タンタは驚きの表情だった。
こっちが驚きだわっ。

「ほんのちょっとでも“彼女ともう会わない”って考えなかったんだね……。
そっか、そうなんだ。
一番好きな人と居られないから、仕方なく次の私って事なんだね」

そう言うと、タンタは慌てたようだった。

「いや、だからさ、別にそこまで考えた訳じゃ」

「少しはさ、私の事も考えてよ。
いつまでも他の誰かを好きな人と暮らして、その誰かが来たら捨てられるのが決定な付き合いをしろって言うの?」

ホント腹立つ、ていうか胸の奥がますます焦げてくる感じがする。

「いや、だって、来ないかもしれないし」

「来たらどうすんのよって話でしょ。
その言い方は、来たら行くでしょ。
だからさ、少しは私の身にもなってって言ってんの」

私は自分の事をドライな方だと思っていた。
けどどうだろう、今の私はこんなに彼に食い下がっている。
考えてみると一番長く付き合っている彼氏だし、私なりに真剣だったんだなぁ。
私も、このままいけば結婚もあるとか考えてもいたし。

「えーと、でも、だから。
こんな俺でも良ければ」

「いい訳ないでしょ、何言ってんの。
じゃあアンタは私が“他にも好きな男がいるけど、よければ同棲しよう”って言ったらどうよ。
“喜んで”とか言うわけ?」

「そんなの、嫌だよ」

「でしょ。
アンタさぁ、正直なのは認めるけど卑怯でもあるよね。
その人が来たら、“他に好きな人がいるって分かってただろ”って言って去るつもりでしょ」

「いや、だから。
そうと決まった訳じゃないし」




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