「君の事は本当に好きだけど、俺ほかにも好きな人いるんだよね」

数多

文字の大きさ
4 / 6

4

しおりを挟む
「ものすごい大恋愛でも永遠とは限らないのに、最初っから他の女とか……。
“好きな女は遠くに居るし、会えない間は目の前の女にしとこう”って。
そんな事を私にしてる自覚、ちゃんと持ってよ」

あぁまったく、何回も言わせないでほしい。

「そんな、そこまで……。
俺達、上手くいってただろ。
このまま上手く行けばいいって、俺も思って」

「そう、それなりに上手くいってたよね。
でも恒例の彼女とか、同棲ってなったら違うんだよね。
で?   例の彼女の事はどうするつもり」

「わ、分からないよ。
だって俺、小学生の頃から彼女の事をずっと好きで」

タンタは少しも譲らないらしい。
これじゃ、どこまでも平行線だ。

「そ、じゃあ私達ここまでって事だね」

「え、でも、今までと何も変わらないのに。
このまま付き合っても」

「変わらなかったんでしょ。
この先も、変わらないんでしょ。
そんなの嫌だもん」

「今まで通りなのに。
じゃあ、ホーちゃんは俺を好きじゃなかったんだ。
本当に好きなら、二番目でもいいって言うと思う」

責めるようなタンタに、私はポカンとしたあとムッとした。

「それで?  本当に好きなら浮気されようが何されようが我慢するはずだって?
私は好きなら浮気を許せない、どうでもいい人なら勝手にしなって思う。
それぞれ考えが違うのは、当たり前でしょ」

「え、でも、うすうす気付いてても付き合ってきたのに、何で今さら」

「そんなの、“元カノを思い出してるのかな”くらいで、ガッツリ現在進行してるなんて思ってなかったからね。
言っとくけど、別れるのは私のせいとか責任転嫁せきにんてんかしないでよね。
あと“俺は正直に言ったから誠実なのに”って風に考えるのもやめてよ、マジで」

でもコイツ、ホントに正直なのかな。
今まで数年間、私に嘘ついて不倫女に会いに行ってたんだし。
何か腑に落ちないなぁ。

「だって俺、君には正直でいたいと思って。
分かってほしくて。
分かってくれると思ったのに」

タンタは少しの反省もなく、まだ私を責めている。

「何を?  一番の女の存在?  それとも恒例行事の方?
そんなもん許してたら、キリないよ。
一番二番ってきたら、次は三番四番が登場してくるんじゃないでしょうね」

私は背中のちからが抜けるのを感じながら言った。

「そんな事ないよ、俺言ったよね。
小学生の頃からずっと彼女が好きだって、一途に」

「はい矛盾、一途だったら私にバンバンアプローチして告ったりしません。
彼女以外と付き合ったりしません、元カノ達も居ません。
聖人のように生涯しょうがい不犯ふぼんで、独身を貫くはずです」

彼は自分に都合よく使ってるけど、“一途なめんなよ”と私は思った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

処理中です...