「君の事は本当に好きだけど、俺ほかにも好きな人いるんだよね」

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「俺が言ってるのは心の事だよ。
そっちこそ、本当に俺が好きなら“二番目でもいい”って言うはず」

少しイラついた様子で、彼は言った。

「心ってどういう事? 
まさか心は“あの彼女”に一途で、年一ねんいちじゃ体が淋しいから私に告ったって事?
馬鹿にしてるよね」

「馬鹿になんてしてないよ。
それにそっちこそ、本当に俺が好きなら“二番目でもいい”って言うはずだろ」

何で私が“二番目”を押し付けられてるの。
“二番目の女”にならないからって、怒ってるよコイツ。

「何回もソレ言ってるよね、言い過ぎなくらい。
誰かに言われたの?」

「元カノだよ。
正直に小学生から好きな人の事を言ったら、“私、二番目でもいいから”って。
俺に本気だから二番目でもいいんだよ、って」

詭弁きべん、出た。
色欲ドロドロなシーンが目に浮かぶよ。

「その人には付き合う前に“一番の女”がいるけど、付き合ってとか言ったの?」

「いや、友達だったから。
小学生から好きな彼女との事を相談してて。
付き合う事に」

よく聞くパターン、来た。

「じゃあ私とは違うよね、私には付き合う前に言わなかったじゃん」

聞いてたら付き合わんかったわ。
この数年って人生勉強?  ちょっと長いんだけど。

「それはもっと前の元カノ。
次の元カノは、向こうから告ってきて。
やっぱ“二番目でもいいから”って」

「へぇ……、で、私もそう言うだろうって決めてかかってたんだ」

「だって、そうだろ。
本当に好きなら二番でも三番でもいいって言うはずだろ」

タンタはまるで正論を言うかのごとく、私にとても失礼な事を言った。
たぶん、自覚なしだな。

「アンタね、“愛想が尽きる”って言葉、知らないわけ?
私はそんな事言わない、女をまとめて“こうだ”って決めてかかるのやめた方がいいよ。
男も女も、色んな人が居るんだから」

「じゃあ、本当に同棲の話は……」

彼はまだ同棲するつもりだったらしい。

「無しだね。
私が他に一番好きな人を見つけて上手くいかなくて、妥協でアンタと付き合ってもいいと思ったら連絡するよ」

私が言うと、タンタはムッとした表情になった。

「お、俺、妥協した訳じゃ……」

「ふぅん、じゃあ考えてみて。
同棲したとする、で、私がアンタの他に二番目とか三番目とか作ってさ。
“アンタが一番なんだからいいでしょ”って言ったら、許す?」

「そ、それとコレとは違うだろ。
完全に浮気だし。
俺の場合とは違うし」

「ほらね、二番目とか三番目は“浮気相手”って認めた。
何でそこで“俺は違う”って思えるのか不思議だよ」

「そっちの方が変だ、論法のすり替えだ」

時々感じてたけど、ここまで話が通じない人だったとは。
怒りを情けなさが追い抜いた。



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