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なでなで
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俺は今、幼なじみの少女に頭を“なでなで”されている。
「ありがとう、葵ちゃん。
助けてくれて」
「あのさ茜、“ちゃん付け”は……」
そろそろ“葵くん”とか、どうだろうか。
「葵ちゃんってば、相変わらず強いんだから。
でも私、心配だなぁ。
可愛い葵ちゃんが怪我でもしたらって、いつもハラハラなんだからね」
そう言いながら、彼女は心配げに俺を見てくる。
柔らかそうな前髪の奥の、煌めく眼差しにクラッとしそうだ。
「茜の方が、……可愛いのはそっちだろ」
俺月野葵を撫でているのは桜川茜、共に高一だ。
相手が茜でなければ、“なでなで”なんて子供っぽい事は絶対させない。
「もう、葵ちゃんは自分の魅力を分かってないんだから」
俺を見つめる茜から、つい目を逸らしてしまう。
俺だけを見ている茜、俺のためだけに紡がれる彼女の言葉、手の感触。
ヤバいな、すげぇ……イイ。
顔の下半分が伸びそうになった俺は、慌てて口を引き締めた。
そう、コレこそが“鼻の下が伸びる”という現象だ。
今まで何度、俺の鼻の下がピンチに追い込まれた事か……、茜に。
「だから、ソレもそっちだろ。
俺の方が心配してるんだからな」
ところで、今の状況はというと。
茜に絡んできた不届き者が、俺達の足元に三人転がっている。
白目をむいてピクリとも動かないが、気絶しているだけだ。
「絡まれた時はどうしようかと思ったけど、葵ちゃんが来てくれてよかった」
「茜が先に帰ってて焦ったよ。
これからは俺が日直の時も待ってろよ、送ってくからさ」
「だって、いつも悪いし」
「悪くない、茜が用事ある時も俺ちゃんと送るからさ。
じゃないと、こんなヤツらが来んだろ」
俺は転がってる男達を見ながら言った。
チンピラだか予備軍だか知らないが、服装からしても学生ではなさそうだ。
まったく、女子高生に手ぇ出してくんじゃねぇよ。
「茜は目立つからさ、コイツらみたいなのが絡んで……。
あ、別に茜は少しも悪くないんだからな。
悪いのは完全にコイツら、100%」
間違っても惚れられる可能性無しとみて、力づくで茜を……どうしようとしてたんだっ。
胸糞悪い、許せねぇ、そんな事は絶対させねぇ。
俺は改めてチンピラどもにムカムカした。
トドメに思いっきり蹴りを入れたいが、茜が居るから我慢した。
まったく、ふざけんなよ。
俺がどんな思いで、幼なじみの仲良しを続けてきたと……。
そんなこんなで身長183センチの俺は、身長154センチの茜に身を屈めて、頭を撫でられているのだった。
「ありがとう、葵ちゃん。
助けてくれて」
「あのさ茜、“ちゃん付け”は……」
そろそろ“葵くん”とか、どうだろうか。
「葵ちゃんってば、相変わらず強いんだから。
でも私、心配だなぁ。
可愛い葵ちゃんが怪我でもしたらって、いつもハラハラなんだからね」
そう言いながら、彼女は心配げに俺を見てくる。
柔らかそうな前髪の奥の、煌めく眼差しにクラッとしそうだ。
「茜の方が、……可愛いのはそっちだろ」
俺月野葵を撫でているのは桜川茜、共に高一だ。
相手が茜でなければ、“なでなで”なんて子供っぽい事は絶対させない。
「もう、葵ちゃんは自分の魅力を分かってないんだから」
俺を見つめる茜から、つい目を逸らしてしまう。
俺だけを見ている茜、俺のためだけに紡がれる彼女の言葉、手の感触。
ヤバいな、すげぇ……イイ。
顔の下半分が伸びそうになった俺は、慌てて口を引き締めた。
そう、コレこそが“鼻の下が伸びる”という現象だ。
今まで何度、俺の鼻の下がピンチに追い込まれた事か……、茜に。
「だから、ソレもそっちだろ。
俺の方が心配してるんだからな」
ところで、今の状況はというと。
茜に絡んできた不届き者が、俺達の足元に三人転がっている。
白目をむいてピクリとも動かないが、気絶しているだけだ。
「絡まれた時はどうしようかと思ったけど、葵ちゃんが来てくれてよかった」
「茜が先に帰ってて焦ったよ。
これからは俺が日直の時も待ってろよ、送ってくからさ」
「だって、いつも悪いし」
「悪くない、茜が用事ある時も俺ちゃんと送るからさ。
じゃないと、こんなヤツらが来んだろ」
俺は転がってる男達を見ながら言った。
チンピラだか予備軍だか知らないが、服装からしても学生ではなさそうだ。
まったく、女子高生に手ぇ出してくんじゃねぇよ。
「茜は目立つからさ、コイツらみたいなのが絡んで……。
あ、別に茜は少しも悪くないんだからな。
悪いのは完全にコイツら、100%」
間違っても惚れられる可能性無しとみて、力づくで茜を……どうしようとしてたんだっ。
胸糞悪い、許せねぇ、そんな事は絶対させねぇ。
俺は改めてチンピラどもにムカムカした。
トドメに思いっきり蹴りを入れたいが、茜が居るから我慢した。
まったく、ふざけんなよ。
俺がどんな思いで、幼なじみの仲良しを続けてきたと……。
そんなこんなで身長183センチの俺は、身長154センチの茜に身を屈めて、頭を撫でられているのだった。
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