可愛い葵ちゃん(男子)

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おてんば

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    俺の頭をひとしきり撫で回したあかねは満足したらしく、ニッコリしながら手を下ろした。
そして今度は、俺の手をとって歩きだした。
つまり、俺達は仲良く手を繋いでいるって事だ。
仲睦まじく見える?
恋人かって?
だったら、どんなにいいか……。

あおいちゃんったらホント、相変わらず“おてんば”なんだから。
守ってくれるのは嬉しいし、いつも助かってるんだけどね」

“おてんば”か……、やっぱ“おてんば”なのか。
彼女としては乱暴とかガサツとかを、オブラートに包んで優しく言ってくれているんだろう。
けど、それならせめて“やんちゃ”だと思う。
しかし茜にとって俺は“やんちゃ”ではなく“おてんば”なんだよな……、何故なら。

「そんなんだから、すごく可愛いのに彼氏いないんじゃないかな。
葵ちゃん、時々男子を怖がらせてるでしょ」

そう、茜は小さい頃からずっと俺をおんなあつかいしている。
てか、茜の目を通して見ると何故か俺が女に見えるらしい。
思い込みが激しいっていう域を、超えていると思う。

「アイツらが悪いんだ。
それに俺、彼氏なんていらないし」

「あはは、まだまだ“恋愛なんて興味ない”だよね、葵ちゃんは」

ちっがーう、興味ある、バリバリ恋愛してぇよ、茜とっ。
と、俺は1ミクロンも顔に出さずに思った。
このわざは習得して長い。
得意技とくいわざだ。

「男なんて、厄介なヤツが多いからな。
だいたい茜を狙って来るし」

「知らないの?
葵ちゃん、人気あるよ。
男子にも女子にも」

「ねぇよ、知らねぇ」

話している間も、俺達は仲良く手を繋いだまま歩いている。
俺だって、茜に寄ってくる男全員を威嚇いかくしている訳じゃない。
不埒ふらちなヤツらだけだ。

「葵ちゃん背も高いし運動神経もいいし、何かスポーツとかしたらいいのに。
オリンピック狙わないの?」

「急に大きく出たな。
まぁ狙ってるヤツは、小さい頃からスポーツに励んでるんだろうけどさ。
て、そんな話だったか?」

そう言うと、茜は面白がっている時の顔で俺を見上げた。

「オリンピックはともかく、部活とかしないの?
この前、バスケのマネージャーさんが葵ちゃんを勧誘したいって言ってたよ。
女子バスケを世界一に導くのも、いいと思うけど」

俺、女子バスケの選手にはなれないぞ。
それに部活はまずい、帰宅部の茜を送れないからな。

「世界一に導くほどバスケ上手くないし。
並よりちょいできるだけで、スポーツ万能じゃねぇし」

しかし俺、子供の頃はともかく、今は結構ガタイいいのに……女に見えるって。
いったい、原因は何なんだろう。
ずっと考えているが、分からない。

無理やり当てはめるとすれば、多分あれだろう。
俺は幼少期、すげぇ美少女だった。

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