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特別
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子供の頃、俺はよく少女に間違われていた。
今でも写真を見ると、“美少女かよ”と我ながら感心するくらいだ。
しかし俺は、女に間違われるのが嫌だった。
暗に“女の子なら良かったのに”と言われている気がしたのだ。
それが、ある日を境に変わった。
引っ越し先の幼稚園で、茜に出会ってからだ。
友達が居た幼稚園にはもう行けないと聞いて、俺はすこぶる不機嫌だった。
しかし彼女を見た瞬間から、そんな事はどうでもよくなった。
俺の目は彼女に釘付けになり、周りはボヤけまくっていた。
彼女から話し掛けられると、ふわふわと宙にも浮く気持ちだった。
だから俺は、茜に女の子扱いされても怒らなかった。
それどころか、“仲良しのお友達”が嬉しくて彼女に合わせていた。
「葵ちゃん可愛いっ、大好きー。
私達仲良しだよねっ」
「う……うん。
僕も、茜ちゃん……大好き」
「あのね、女の子は僕って言わないんだよ」
「え、でも僕」
「そっか、葵ちゃんは“僕っ子”なんだね。
自分の事を“僕”って言う女の子がいるって、聞いた事ある」
こんな調子である。
小学生になって“僕から俺になっても、茜にとって俺は“可愛い葵ちゃん”だった。
「近頃、葵ちゃん“俺”って言うよね。
“僕っ子”じゃなくて、“俺っ子”になったの?」
「別に、その……。
茜は、僕の方がいい……とか?」
「ふふ、僕でも俺でも、葵ちゃんは可愛いよ」
そのうち俺は背が伸び、クラスでも高い方になった。
そして周りはもはや、誰ひとり俺を女と間違わなくなった。
けれども、茜は変わらなかった。
俺が女子に告られるようになってもだ。
“茜ちゃんって変な子だよね”
学校で茜は、そう噂されていた。
年齢が上がるにつれて、彼女の俺への態度の異様さに気付くヤツも増えていった。
少しでも目立っているとイジメの標的にされる事も多いが、茜はイジメられるというより緩く一歩距離を置かれている感じだった。
抜きん出た美少女をイジメたら、自らの容姿によるヒガミと受け取られるから、というのもあるだろう。
「おい、葵ちゃん。
お前ホントに女なんじゃねぇの?
ちょっと見せてみろよ」
たまに俺は、こんなスーパーアホなヤツに囲まれた。
俺に絡んでくるヤツは、何故か三人組が多かった。
「うわ、ダッセェ。
まだそんな事言ってるヤツいんだな」
俺が言い返すと、ヤツらは驚いていた。
「茜にはヘコヘコして、猫かぶってんのかよ」
「バカか、お前。
茜とおんなじに優しくする訳ないだろ。
あと、茜を呼び捨てすんな」
「お前はしてんじゃねぇか」
「一緒にすんな、俺は茜の特別なんだよ」
「どう特別なんだよ、葵ちゃん。
服脱いで見せろって言ってんだろ」
「誰か通報しろ。
変質者が居るぞ、女子も男子も服脱げって言ってるぞ」
「ちげーよ、お前だけ脱げ」
「犯罪ダメ」
という事で、俺はヤツらを返り討ちにした。
アニキの通信空手の教材が、役に立った瞬間だった。
武士の情けで、パンツだけは剥がさないでやった。
そんな俺の丁寧な対応に、スーパーアホな絡みをして来るヤツは減っていった。
今でも写真を見ると、“美少女かよ”と我ながら感心するくらいだ。
しかし俺は、女に間違われるのが嫌だった。
暗に“女の子なら良かったのに”と言われている気がしたのだ。
それが、ある日を境に変わった。
引っ越し先の幼稚園で、茜に出会ってからだ。
友達が居た幼稚園にはもう行けないと聞いて、俺はすこぶる不機嫌だった。
しかし彼女を見た瞬間から、そんな事はどうでもよくなった。
俺の目は彼女に釘付けになり、周りはボヤけまくっていた。
彼女から話し掛けられると、ふわふわと宙にも浮く気持ちだった。
だから俺は、茜に女の子扱いされても怒らなかった。
それどころか、“仲良しのお友達”が嬉しくて彼女に合わせていた。
「葵ちゃん可愛いっ、大好きー。
私達仲良しだよねっ」
「う……うん。
僕も、茜ちゃん……大好き」
「あのね、女の子は僕って言わないんだよ」
「え、でも僕」
「そっか、葵ちゃんは“僕っ子”なんだね。
自分の事を“僕”って言う女の子がいるって、聞いた事ある」
こんな調子である。
小学生になって“僕から俺になっても、茜にとって俺は“可愛い葵ちゃん”だった。
「近頃、葵ちゃん“俺”って言うよね。
“僕っ子”じゃなくて、“俺っ子”になったの?」
「別に、その……。
茜は、僕の方がいい……とか?」
「ふふ、僕でも俺でも、葵ちゃんは可愛いよ」
そのうち俺は背が伸び、クラスでも高い方になった。
そして周りはもはや、誰ひとり俺を女と間違わなくなった。
けれども、茜は変わらなかった。
俺が女子に告られるようになってもだ。
“茜ちゃんって変な子だよね”
学校で茜は、そう噂されていた。
年齢が上がるにつれて、彼女の俺への態度の異様さに気付くヤツも増えていった。
少しでも目立っているとイジメの標的にされる事も多いが、茜はイジメられるというより緩く一歩距離を置かれている感じだった。
抜きん出た美少女をイジメたら、自らの容姿によるヒガミと受け取られるから、というのもあるだろう。
「おい、葵ちゃん。
お前ホントに女なんじゃねぇの?
ちょっと見せてみろよ」
たまに俺は、こんなスーパーアホなヤツに囲まれた。
俺に絡んでくるヤツは、何故か三人組が多かった。
「うわ、ダッセェ。
まだそんな事言ってるヤツいんだな」
俺が言い返すと、ヤツらは驚いていた。
「茜にはヘコヘコして、猫かぶってんのかよ」
「バカか、お前。
茜とおんなじに優しくする訳ないだろ。
あと、茜を呼び捨てすんな」
「お前はしてんじゃねぇか」
「一緒にすんな、俺は茜の特別なんだよ」
「どう特別なんだよ、葵ちゃん。
服脱いで見せろって言ってんだろ」
「誰か通報しろ。
変質者が居るぞ、女子も男子も服脱げって言ってるぞ」
「ちげーよ、お前だけ脱げ」
「犯罪ダメ」
という事で、俺はヤツらを返り討ちにした。
アニキの通信空手の教材が、役に立った瞬間だった。
武士の情けで、パンツだけは剥がさないでやった。
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