可愛い葵ちゃん(男子)

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美少女

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    中学生になると、ますます男女別の行動が増えた。
もちろん着ている制服も違う、水着も違う。
それでもあかねは、俺を女友達扱いした。
男らしくなりさえすれば、彼女も自然と俺を男と認めてくれるだろうと思っていた。
それなのに何故なのか……、激しく不思議だ。

あおいちゃん、日曜日、買い物行かない?」

「行く、二人でか?」

「うん。
そうだ、かき氷また半分こして食べようよ」

「もち」

そして悪い事に、俺は茜からの女友達扱いにすっかり慣れていた。
他の男子どもの羨望せんぼうの眼差しをよそに、彼女からの特別扱いを嬉しく思う自分も居た。
そう、女友達扱いは特別扱いでもある。
男に見られたら、この“特別”を失うんじゃないか。
その怖さも、一緒に育っていた。

そして別の小学校だった生徒が事情を知らずに、俺達に近付いてきた。
しかし。

「桜川さん、月野くんを紹介してよ。
付き合ってないんでしょ」

「付き合うって、友達だけど。
葵ちゃんと話した事なかったっけ。
自己紹介まだだった?」

「そういうのじゃなくて。
もう、分かんないの?」

こんなふうに、俺とのつなぎを茜に求めて来るヤツも居た。
他にも……。

「桜川さんとは付き合ってないんでしょ、友達だって言ってたし。
ねぇ、だったら月野くん、私と付き合わない?」

「付き合わない」

と、こんな事がちょこちょこあって、“月野は心が女だから女子と付き合えない”と噂されるようになった。
それよりも俺にとって問題なのは、茜との繋ぎを求める男どもへの対応だったが。

「あ、どうしよ。
私、体操服忘れちゃったよ」

「え、じゃあ私の貸してあげる」

茜の前の席の田山陽菜たやまひなが、間髪入れず振り向いて言った。
茜は隣の席の俺に話しかけたんだが。

「え、ダメだよ。
同じクラスなんだから、田山さんも体操服いるでしょ」

「茜ちゃん、そろそろ“陽菜ちゃん”って呼んでよー。
それに。
こんな事もあろうかと、体操服二枚ずつ持っていたのでしたー」

田山は別の小学校で、中学に入ってすぐ何かと茜に話しかけてきた。
何の狙いがあるのか俺はずっと観察して……、その結果。

「うふふー、茜ちゃんが私の体操服着てるー」

どうやら、美少女好きな女子らしい。
今のところ、悪意もないようだ。

「良かったね、てかアンタ、その体操服洗わないんじゃないよね」

「ちゃんと洗いますー。
清潔にしとかないと、着てくれなくなっちゃう。
またチャンスがあれば、茜ちゃんに着てもらうんだもんね」

そんなこんなで、田山の友達も茜と少し話すようになっていった。

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