可愛い葵ちゃん(男子)

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高校

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    高校生になっても、あかねと俺は相変わらずだった。
もちろん俺は、何の迷いもなく彼女と同じ高校に進学した。
田山も当然のごとく、同じ高校に来た。

最初は周りも茜と俺の関係に疑問を持ったようだが、友人達も数ヶ月たつと慣れるらしい。
この事に関しては、疑問に思いながらも意外と生暖かく見守っているようだ。
いや、どう接していいのか探っているのかもしれない。

「よぉ、あおいちゃん。
製図の教科書忘れちゃったぁ、見せてくんない」 

そして幼稚園からの幼なじみが、もう一人。
瀬戸信二せとしんじ、コイツとは中学は別だったが、高校で再会した。

「持ってねぇよ、科が違うだろ」

「えー、冷たくなーい?
ねぇ、茜ちゃん」

瀬戸は勝手に俺の肩に手をかけて、茜に笑顔を見せている。
俺はその手を、手の甲ピン三回目で撃退した。

「どうして?
別の科の教科書だもん、仕方ないよ」

茜は真面目だし、恋愛関係のアプローチに激しく鈍感だぞ。
それで何人の男を退しりぞけた事か。

「そっかぁ、じゃあいいや。
ねぇ、今日三人で放課後さぁ」

「却下」

「俺、茜ちゃんに言ってんだけどぉ」

「しつこいぞ、お前。
いい加減にしろ」

瀬戸は俺を睨んで、すぐ茜に笑顔を向けた。

「いいよねぇ、“三人で”だしー」

「そっか、瀬戸くん、葵ちゃんを好きだったよね。
よく私を押しのけて、葵ちゃんに話しかけてたもんね」

瀬戸が固まった。

「えっとぉ、それは。
覚えてたんだね……」

瀬戸は、茜と俺を交互に見ながら焦った様子だ。

「その、幼稚園の頃だし……。
忘れてくれたら嬉しいなぁ、なんて」

困り笑いで、瀬戸は言った。
あの頃の瀬戸は、こちらの反応を気にもせず困るくらいグイグイ俺に迫ってきていた。
いつも俺と一緒にいた茜を、追い払おうとしたくらいだ。
しかし俺が男と知ったら、手の平をかえしたように突っ掛かってきたっけ。

「でも、小学生の頃は何か仲悪くなってたよね」

そう、それが小学校一年の時だ。
俺が何度“男だ”と言っても信じなかったクセに、逆恨みだろ。

「あー、いやー。
そういう事も、あったかなぁー」

茜の言葉に、瀬戸はきまり悪そうな顔で視線を彷徨さまよわせた。
男と知らずに俺に惚れていた事が、今も恥ずかしいらしい。

「お前さ、幼稚園の時、俺とケッコンするって言ってたよな」

俺は瀬戸に“どっか行け”と思いながら言った。
するとヤツは、真っ青になった。

「あれぇ、そこまで言ってたかなぁ、覚えてないなぁー」

「言ってたよ、私しっかり覚えてるもん。
すごい勢いだった」

茜は、朗らかに言った。

「あ、茜ちゃん、居た。
一緒に教室行こ」

田山が現れて、茜と腕を組んできた。
何となくシラッとした空気になり、瀬戸は逃げるように去って行った。

しかし、瀬戸のあの言動。
高校で再会したヤツは、どうやら今度は茜を狙っているようだ。
俺は“守りを固めねば”と、密かに思った。



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