可愛い葵ちゃん(男子)

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    高校で再会した瀬戸のヤツは、それから何度もあかねに話しかけてきた。
もちろん俺は茜のバリアとなり、ヤツをことごとく追い払った。

「すごいよね、瀬戸くん。
初恋のあおいちゃんに再会して、“やっぱり好き”ってなったのかな」

瀬戸が俺に迫っていると、茜は勘違いしているようだ。

「いや、茜も狙ってるだろ。
いつも“俺たち三人で”とか言ってるし。
あわよくば茜も、そのうち田山もとか言い出すかもな」

もし茜が“葵ちゃんと瀬戸くんを取り持ってあげよう”とか考えたら、やっかいだ。
ヤツと二人きりになる可能性は、少しでもつぶしておかないと。

「えぇ、そんなの、でも……。
確かに誘う時、私と三人って。
葵ちゃんを誘えばいいのにね」

「俺、誘われたくないんだけど」

「ホントに?    ツンデレとかじゃなくて?
私に嘘とか誤魔化すのとか、無しにしてね」

茜は真剣な顔だ。

「もちろん、瀬戸には迷惑してる」

「何なにぃ、俺の事、噂してたぁ?」

瀬戸が急に、俺と肩を組んできた。
俺は内心ギョッとしたが、何とか平静へいせいよそおえた。
コイツが近付いて来た事に気付かなかったとは、不覚ふかく
そして今回も、手の甲ピン三回でヤツの手を撃退した。



「今日、陽菜ちゃん居ないんだねぇ。
あのさぁ、考えたんだけどぉ。
今度、陽菜ちゃんも一緒に四人で遊びに行かない?」

よく言った、瀬戸。
茜はハッとして、俺を見た。
俺はうなづいた。

「いやぁ、俺達仲良し三人組だけどさぁ。
陽菜ちゃんも加えて仲良し四人組でさぁ、今度の休みにどっか行かない?」

「日曜日は約束があるの、ゴメンね」

真面目な顔の茜に、瀬戸は軽く溜め息をついた。
断られるのは、想定済みらしい。

「じゃあさぁ、その次の日曜日は?」

「お前うっとうしいな、あきらめろ」

そう言うと、ヤツは俺の耳元に顔を近付けてきた。

「だってさぁ、葵ちゃんが男避けをしてくれるしぃ。
じっくり茜ちゃんにアプローチできるからさぁ」

瀬戸はニヤついて、俺を見た。

「ちょっと瀬戸くん、葵ちゃんにベタベタしすぎ。
彼女じゃないんだから、良くないよ」

「茜ちゃん、もしかして妬いてくれてる?」

嬉しそうな瀬戸に対して、茜はやっぱり真面目な顔だった。

「瀬戸くんの方がホントは妬いてるでしょ。
私がいっつも葵ちゃんと一緒に居るから」

「うーん、今はそれでもいいからさぁ。
とにかく、もっと俺を知ってほしいなぁ。
という事で、次の日曜の件なんだけどぉ」

これはもう、ストーカーに近いんじゃないだろうか。
コイツ、やばいほど……しつこい。

「もう授業始まるぞ。
それに、次の次の日曜もダメだからな」

ナイスタイミング、予鈴。
瀬戸は困ったように笑った。

「じゃあ茜ちゃん、またねぇ。
それと女友達の、葵ちゃん」

「くそ、アイツめ」

瀬戸が余裕なのは、やっぱり俺がライバルではないからだろう。
茜に女友達扱いされている俺は、彼女にとって恋愛対象外だと見なしているのだ。

いやだ、ソレすげぇ嫌だぞ。
俺だって、茜と付き合いたい。
恋人として隣にいたい、デートしたいキスしたいっ。
と、いつものように顔には出さず、俺は思ったのだった。
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