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1章
31話 獣人達の救世主〝メシア〟。
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こちらの世界に来てから半年経ったら学園へと行く予定だったが、あの状態のサリュを残したまま王都に行こうとは到底思えなかった。だからと言って、何も出来ないまま一年という時が過ぎてしまった。
毎日の様に、ただ変わらない日を過ごした。撫子は治療院で患者達の治療に以前より積極的になった、アリアの洗脳の解析を少しでも進める為だ。
俺の解析眼で魔石を解析もした、結果、幻影魔法という魔法と、呪術と云うギフトで構成されて居る事がわかった。
解呪のギフト能力だけでは幻影魔法が邪魔し、治癒魔法による精神正常化効果のあるキュアでは呪術のギフトが邪魔をして効果が出ないのだ。とにかく2つ同時にと言う事でもなく、ギフトと魔法が上手く混ざり合ったものでなければダメ、と言うのがアリアの見解だった。
アリアがもし俺の様に生成魔法を使えれば解呪のギフトと治癒魔法を組み合わせ同時に呪の部分と幻覚による催眠を一気に消し去る事が出来ただろうが。其れを言っても仕方ないし、むしろ俺自身のギフトに解呪の能力がない事が歯痒かった。
もう1つの方法として、この洗脳の魔石の様にギフトと魔法を詰める事が出来ればサリュ達を元に戻す事が出来るかもしれないのだが・・・
魔石の使用方法は、魔道具として作られたアイテムに埋め込み魔力のエネルギータンクとして使う方法と、魔石単体に魔法を込め魔法が使えない者が、使い捨て魔法として使う方法がある。カルミスが逃げたのはこの使い捨て魔法で素早さを上げる魔法を使いブーストしたのだろう。質の悪い魔石だった為一回で砕けてしまったのだ。
通常、使い捨て魔法を作る場合、魔石に込める魔法は一つだ、最初の魔法術式と次の魔法術式が上手く合わされば、魔石に2つの魔法を込める事が出来るが、魔石自体が高価な為、失敗すれば砕ける。成功しても何度か使っての使い捨て、となっては。誰も態々2つの魔法がこもった魔石自体作ろうとしないのだ。
そしてギフトの能力に至っては、魔石に能力を詰めようとすると魔石が砕けてしまうのだ。
アリアは説明の通り1日の大部分をサリュの治療に費やしてくれた、毎日、館の一室で休むサリュを診察した。
俺は、朝は鍛錬をし。午後までは魔法研究や精霊の森での狩りをし、素材を売ったりして生活費を稼ぐ日々を送った。午後はずっとサリュが座るベッドの脇に椅子を置き、毎日この世界の本を読んだり、その日あった事などを話した。時折サリュの名を呼びかけたりもしたが、視線が少し動くか、吐息を漏らす様な声を出すかだった、稀に俺の名前の様な言葉を口にしたが、俺はそれを聞く度に胸が締め付けられる思いだった、その時ばかりはサリュの眼を見る事が出来なかった。
アルスや、メルム、1年で大きくなったシイロが良くサリュに会いに来てくれた。
シイロなんてもう見た目は3歳ぐらいだ、確りしたもので、俺の事をクロトにい。サリュは、サリュねー、何故か撫子は、撫子姉様、アリアはアリアママと呼ばれて居た。シイロの俺達の呼び方の基準が未だに良く解らない。
ちなみにギルドマスターとは、シイロの母メルムだった・・・アレはあの事件から3日程たった日だったか、俺達は撫子と子爵と待ち合わせギルドのマスタールームに案内された時だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギルドのマスタールームの前、撫子と子爵と俺、話をするのはこのメンバーになった。サリュや他の獣人達はまだ意識が不明瞭なままだ、他の獣人達は子爵邸で面倒を見てくれる事になり、月に何度か治療院に来てアリアに診察を受ける。という事に落ち着いた。
俺達はソニアに案内され、マスタールームへと入る。中は応接間の様な装いで、中央には対面のソファ、部屋の奥には執務用の机が置いてあった。
ソファにはラルンド卿が座り、シイロを抱いて居た。
「いやあ!赤ん坊など抱くのは何年ぶりであるか!我輩感激である。」
ラルンド卿はただの好好爺だった、その向かいにはメルムが座って居た。ソファの後ろにはギルド職員の制服でビシッと決めたアルスが経って居る。メルムは俺たちに気がつくと、
「来たのね3人ともじゃあ、始めましょう空いてるところに座ってね?」
カザール子爵と撫子は何も言わずソファへと腰掛けたが、俺は何がなんだか。まだ理解できずに居た。目をキョロキョロと動かす俺に、アルスが教えてくれる。
「メルムは、この冒険者ギルドのギルドマスターでね、僕はその護衛兼、試験官という訳さ。マスターは、産休中だった、ほら、言っただろう?妻はこれでも元Sランカー、今は引退して居る様なもんだって、ギルドマスターは、冒険者とは言えないからね。」
してやったり、と言った具合のアルスだ、アルスはなんだかイタズラ好きなんだろうか?俺はさ、はあ、と、ため息をつくと撫子の隣に腰を下ろす。撫子をちらりと見ると何か?と言った様子で小首を傾げるのだ、
「ゴメンねクロト君、私がマスターだともっと早く言っても良かったんだけどね。取り敢えず半年近くは、お休みしてたの、副ギルドマスターに無理言ってね、でも、私が居ない間にこんな事になるなんて、ラッチェス達のランクアップを担当したのは王都の冒険者ギルドらしいのだけれど、後で抗議の文章を送っておくわ。冒険者は何をするにも自由だけれど積極的に犯罪を犯して良いわけでは無いの、ましてやAランクなんてものは他の冒険者の模範になって欲しい存在だわ、ラッチェス達は通常なら適正で落とされていた筈よ、これは査定ミスと言っても間違いでは無いわ。私がこのギルドを代表して謝罪をするわ、サリュはこの場に居ないけれど。私の管理不足だったわ、ゴメンなさい。」
メルムが深く頭を下げる。俺は、なんて言って良いか解らなかった。王都のギルドの査定が本当の意味でのミスならそれを責めるのは酷だし。その後反省すると言うのならもう言う事でも無いだろう。こうしてメルム、ギルドマスターも頭を下げた。
「我輩からも、謝罪を、再三カザール子爵から、抗議を受けて居たにも関わらず、手をこまねいて居たのである、ガルス帝国との国交に関わりかねない問題であるのに関わらず。具体的に何も出来ずに居た結果、冒険者でも無いクロト君に解決してもらう事になったのだ、申し訳なかったのである。子爵に対してもすまなかった。」
ここで本来ならカザール子爵などは、目上の辺境伯に気を使うのだろうが。彼はどうやら違った様だ。
「本当ですよ!ラルンド卿!私が再三言ったにも関わらず!その通りです!全くもう少しで獣人達がどうなって居たか、実際現在だって彼女達は苦しんで居る!まだ解決してないのですよ!」
だが彼の言って居る事は正論だった。ラルンド卿から再度謝罪を受け、その後、ラルンド卿とメルムが調べて解った今回の騒動の事を聞いた。
コリンズはあの後、尋問には正直に答えた様だ。そう言う魔道具が有るらしい。そして洗脳の魔石はカルミスと言う最近仲間になった奴が持って居たものらしい、カルミスの行方は掴めなかった、冒険者としても登録して居なかった。ラッチェス等にも冒険者では無く、魔石研究家だと言って居たらしい。
コリンズによればカルミスに実験の為に魔石を使えと言われ、たった半月、魔石を使うだけで従順な奴隷が手に入るならと、魔石を喜んで使ったそうだ。そしてその後、奴隷紋を刻む、言う事を素直に聞く奴隷、しかもこの大陸には少ない獣人は需要も多いらしく高額で買い取られるそうだ、奴隷商人たちは知ってか知らずか、理由も何も聞かず喜んで獣人達を買い取ったそうだ。
その後は、今後どうするかのやり取りをした、洗脳の魔石については、この町で一番解呪の事に詳しいアリアがいる俺達にそのままという事になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな事があってから、ギルマス、いや、アルグス家との付き合いは特に濃くなった。
カザール子爵も良く獣人の子達を診察に連れてくる。彼とよく話すのだが、獣人に対する彼のモットーは、
「イエス ケモミミ ノータッチ!」
らしい、何処かで聞いた覚えのある様な言い回しだ。どうにも、いつも診察について来る護衛の騎士に聞くと領主館では、保護した獣人達にかなり慕われては居るが、手を出す事はないと言う。そう言う騎士も兜を取ってみれば獣人であった。
今日は丁度、診察の日らしくカザール子爵が、サリュの元に顔を出してくれて居た。
「やはり、なかなか彼女等を元に戻す手立ては見つからない様だね。私達も洗脳の魔石に危機感を感じカルミスという男を追ってはいるが、全く尻尾がつかめて居ないんだ・・・獣人の彼女達には申し訳ない気分だよ・・・」
「そうでうか・・・、洗脳については、どうしたら元に戻るかと言う事までは理解りつつ有るんですが、其れを試す手立てがなくて。」
「手立てか・・・」
「洗脳、この魔石を作る様に、治癒の魔石を作る事が出来れば・・・」
俺は魔石を握りしめる、真紅の魔石が掌の中できらりと光る。
「しかし、真っ赤な魔石だ、余程の魔物から出た魔石なんだろう、使い捨ての魔法にそんな高価な魔石を使うなんて聞いた事がないな。」
カザール子爵が俺の手に握られた魔石を眺めながら呟く・・・・赤い魔石は使い捨てにしない?高価だから?失敗すれば砕けるから?そもそもギフトが込めれるかどうか試した事が・・・・・・・
「カザール卿!貴方はやっぱり獣人達の救世主だっ!!!!」
俺は叫び椅子から立ち上がると部屋を出て、アリアの居る治療院へ急いだ。
毎日の様に、ただ変わらない日を過ごした。撫子は治療院で患者達の治療に以前より積極的になった、アリアの洗脳の解析を少しでも進める為だ。
俺の解析眼で魔石を解析もした、結果、幻影魔法という魔法と、呪術と云うギフトで構成されて居る事がわかった。
解呪のギフト能力だけでは幻影魔法が邪魔し、治癒魔法による精神正常化効果のあるキュアでは呪術のギフトが邪魔をして効果が出ないのだ。とにかく2つ同時にと言う事でもなく、ギフトと魔法が上手く混ざり合ったものでなければダメ、と言うのがアリアの見解だった。
アリアがもし俺の様に生成魔法を使えれば解呪のギフトと治癒魔法を組み合わせ同時に呪の部分と幻覚による催眠を一気に消し去る事が出来ただろうが。其れを言っても仕方ないし、むしろ俺自身のギフトに解呪の能力がない事が歯痒かった。
もう1つの方法として、この洗脳の魔石の様にギフトと魔法を詰める事が出来ればサリュ達を元に戻す事が出来るかもしれないのだが・・・
魔石の使用方法は、魔道具として作られたアイテムに埋め込み魔力のエネルギータンクとして使う方法と、魔石単体に魔法を込め魔法が使えない者が、使い捨て魔法として使う方法がある。カルミスが逃げたのはこの使い捨て魔法で素早さを上げる魔法を使いブーストしたのだろう。質の悪い魔石だった為一回で砕けてしまったのだ。
通常、使い捨て魔法を作る場合、魔石に込める魔法は一つだ、最初の魔法術式と次の魔法術式が上手く合わされば、魔石に2つの魔法を込める事が出来るが、魔石自体が高価な為、失敗すれば砕ける。成功しても何度か使っての使い捨て、となっては。誰も態々2つの魔法がこもった魔石自体作ろうとしないのだ。
そしてギフトの能力に至っては、魔石に能力を詰めようとすると魔石が砕けてしまうのだ。
アリアは説明の通り1日の大部分をサリュの治療に費やしてくれた、毎日、館の一室で休むサリュを診察した。
俺は、朝は鍛錬をし。午後までは魔法研究や精霊の森での狩りをし、素材を売ったりして生活費を稼ぐ日々を送った。午後はずっとサリュが座るベッドの脇に椅子を置き、毎日この世界の本を読んだり、その日あった事などを話した。時折サリュの名を呼びかけたりもしたが、視線が少し動くか、吐息を漏らす様な声を出すかだった、稀に俺の名前の様な言葉を口にしたが、俺はそれを聞く度に胸が締め付けられる思いだった、その時ばかりはサリュの眼を見る事が出来なかった。
アルスや、メルム、1年で大きくなったシイロが良くサリュに会いに来てくれた。
シイロなんてもう見た目は3歳ぐらいだ、確りしたもので、俺の事をクロトにい。サリュは、サリュねー、何故か撫子は、撫子姉様、アリアはアリアママと呼ばれて居た。シイロの俺達の呼び方の基準が未だに良く解らない。
ちなみにギルドマスターとは、シイロの母メルムだった・・・アレはあの事件から3日程たった日だったか、俺達は撫子と子爵と待ち合わせギルドのマスタールームに案内された時だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギルドのマスタールームの前、撫子と子爵と俺、話をするのはこのメンバーになった。サリュや他の獣人達はまだ意識が不明瞭なままだ、他の獣人達は子爵邸で面倒を見てくれる事になり、月に何度か治療院に来てアリアに診察を受ける。という事に落ち着いた。
俺達はソニアに案内され、マスタールームへと入る。中は応接間の様な装いで、中央には対面のソファ、部屋の奥には執務用の机が置いてあった。
ソファにはラルンド卿が座り、シイロを抱いて居た。
「いやあ!赤ん坊など抱くのは何年ぶりであるか!我輩感激である。」
ラルンド卿はただの好好爺だった、その向かいにはメルムが座って居た。ソファの後ろにはギルド職員の制服でビシッと決めたアルスが経って居る。メルムは俺たちに気がつくと、
「来たのね3人ともじゃあ、始めましょう空いてるところに座ってね?」
カザール子爵と撫子は何も言わずソファへと腰掛けたが、俺は何がなんだか。まだ理解できずに居た。目をキョロキョロと動かす俺に、アルスが教えてくれる。
「メルムは、この冒険者ギルドのギルドマスターでね、僕はその護衛兼、試験官という訳さ。マスターは、産休中だった、ほら、言っただろう?妻はこれでも元Sランカー、今は引退して居る様なもんだって、ギルドマスターは、冒険者とは言えないからね。」
してやったり、と言った具合のアルスだ、アルスはなんだかイタズラ好きなんだろうか?俺はさ、はあ、と、ため息をつくと撫子の隣に腰を下ろす。撫子をちらりと見ると何か?と言った様子で小首を傾げるのだ、
「ゴメンねクロト君、私がマスターだともっと早く言っても良かったんだけどね。取り敢えず半年近くは、お休みしてたの、副ギルドマスターに無理言ってね、でも、私が居ない間にこんな事になるなんて、ラッチェス達のランクアップを担当したのは王都の冒険者ギルドらしいのだけれど、後で抗議の文章を送っておくわ。冒険者は何をするにも自由だけれど積極的に犯罪を犯して良いわけでは無いの、ましてやAランクなんてものは他の冒険者の模範になって欲しい存在だわ、ラッチェス達は通常なら適正で落とされていた筈よ、これは査定ミスと言っても間違いでは無いわ。私がこのギルドを代表して謝罪をするわ、サリュはこの場に居ないけれど。私の管理不足だったわ、ゴメンなさい。」
メルムが深く頭を下げる。俺は、なんて言って良いか解らなかった。王都のギルドの査定が本当の意味でのミスならそれを責めるのは酷だし。その後反省すると言うのならもう言う事でも無いだろう。こうしてメルム、ギルドマスターも頭を下げた。
「我輩からも、謝罪を、再三カザール子爵から、抗議を受けて居たにも関わらず、手をこまねいて居たのである、ガルス帝国との国交に関わりかねない問題であるのに関わらず。具体的に何も出来ずに居た結果、冒険者でも無いクロト君に解決してもらう事になったのだ、申し訳なかったのである。子爵に対してもすまなかった。」
ここで本来ならカザール子爵などは、目上の辺境伯に気を使うのだろうが。彼はどうやら違った様だ。
「本当ですよ!ラルンド卿!私が再三言ったにも関わらず!その通りです!全くもう少しで獣人達がどうなって居たか、実際現在だって彼女達は苦しんで居る!まだ解決してないのですよ!」
だが彼の言って居る事は正論だった。ラルンド卿から再度謝罪を受け、その後、ラルンド卿とメルムが調べて解った今回の騒動の事を聞いた。
コリンズはあの後、尋問には正直に答えた様だ。そう言う魔道具が有るらしい。そして洗脳の魔石はカルミスと言う最近仲間になった奴が持って居たものらしい、カルミスの行方は掴めなかった、冒険者としても登録して居なかった。ラッチェス等にも冒険者では無く、魔石研究家だと言って居たらしい。
コリンズによればカルミスに実験の為に魔石を使えと言われ、たった半月、魔石を使うだけで従順な奴隷が手に入るならと、魔石を喜んで使ったそうだ。そしてその後、奴隷紋を刻む、言う事を素直に聞く奴隷、しかもこの大陸には少ない獣人は需要も多いらしく高額で買い取られるそうだ、奴隷商人たちは知ってか知らずか、理由も何も聞かず喜んで獣人達を買い取ったそうだ。
その後は、今後どうするかのやり取りをした、洗脳の魔石については、この町で一番解呪の事に詳しいアリアがいる俺達にそのままという事になった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな事があってから、ギルマス、いや、アルグス家との付き合いは特に濃くなった。
カザール子爵も良く獣人の子達を診察に連れてくる。彼とよく話すのだが、獣人に対する彼のモットーは、
「イエス ケモミミ ノータッチ!」
らしい、何処かで聞いた覚えのある様な言い回しだ。どうにも、いつも診察について来る護衛の騎士に聞くと領主館では、保護した獣人達にかなり慕われては居るが、手を出す事はないと言う。そう言う騎士も兜を取ってみれば獣人であった。
今日は丁度、診察の日らしくカザール子爵が、サリュの元に顔を出してくれて居た。
「やはり、なかなか彼女等を元に戻す手立ては見つからない様だね。私達も洗脳の魔石に危機感を感じカルミスという男を追ってはいるが、全く尻尾がつかめて居ないんだ・・・獣人の彼女達には申し訳ない気分だよ・・・」
「そうでうか・・・、洗脳については、どうしたら元に戻るかと言う事までは理解りつつ有るんですが、其れを試す手立てがなくて。」
「手立てか・・・」
「洗脳、この魔石を作る様に、治癒の魔石を作る事が出来れば・・・」
俺は魔石を握りしめる、真紅の魔石が掌の中できらりと光る。
「しかし、真っ赤な魔石だ、余程の魔物から出た魔石なんだろう、使い捨ての魔法にそんな高価な魔石を使うなんて聞いた事がないな。」
カザール子爵が俺の手に握られた魔石を眺めながら呟く・・・・赤い魔石は使い捨てにしない?高価だから?失敗すれば砕けるから?そもそもギフトが込めれるかどうか試した事が・・・・・・・
「カザール卿!貴方はやっぱり獣人達の救世主だっ!!!!」
俺は叫び椅子から立ち上がると部屋を出て、アリアの居る治療院へ急いだ。
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