ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子

文字の大きさ
35 / 54
連載

94話 新婚旅行③

 

 月や星が光る空に、夜なのに薄く光る海。窓から見える景色は、絶景だった。クラウド様は、ここら辺一帯から吹き出す魔力の影響で、海が光っていると言っていましたね。
 神秘的で、とても綺麗。

 だけどーーー

「……メトと、見たかったな……」

 仕事だから仕方ないと思っていても、つい、口からこぼれてしまう。
 まだ覚悟が出来ていない。なんて言ったけど、それでも、メトと一緒に過ごしたかった。


「……そう言えば、明日でしたね、カインとエレノアの結婚式ーー」

 謀ったわけでは無く、ただ偶然に、新婚旅行と2人の結婚式の日程が被った。初めから欠席予定でしたが、堂々と新婚旅行のため欠席しますと返信した。

『ルエルお姉様は、私とカイン様の幸せな結婚式が悔しくて見たくないんでしょう?』なんて、安っぽい挑発が手紙で送られてきたので、それはシュレッダーにかけて破棄した。

 まぁーーー本当はこの目で、カインとエレノアの結婚式を見に行ってあげても良かったんだけどーーー

 でも、結婚式の話を聞いた時の、『絶対に行きたくない、欠席しよう』と思った、自分の感情を優先した。

 カインやエレノアにとっては、私とメトが欠席の方が、面目丸潰れでしょうしね。

 ルーフェス公爵とその妻である私が、新婦の姉にも関わらず、結婚式を欠席する。それはそのまま、私達とエレノア達の関係をハッキリと示すことになる。
 普通なら、私に出席してもらうよう頭を下げてでもお願いに来なくちゃいけないのに、エレノアは安っぽい挑発を送り付けてきただけ。
 あんな挑発に乗るのなんて、エレノアくらいよ。

 服も装飾品も友達も旦那もーーー私の全てを奪ってきた妹に、そんな妹だけを溺愛し、私を蔑ろにしてきたお母様に、仕事ばかりで家庭を顧みないお父様。
 私のおかげで優雅な生活が送れていたにも関わらず、私をハズレ嫁扱いし、妹と不貞を働いて子供まで作り、私を捨てた元・夫。
 どちらも絶対に許さない。一生ーーー許してあげない。


「……ふわぁ」

 あ、なんだか、急に凄く眠たくなってきましたね…。

 昨日から緊張+、新婚旅行が楽しみ過ぎて、一睡もしていないから……瞼が重い……もう、目、開けてられないかも……。

 私はそのまま、目を閉じて、眠りについたーーー。




 ……あれ?私、寝ちゃったんだっけ……?

 次に目を開けた時には、薄暗い部屋の中、天井が見えた。
 体中、すっごい良いお布団に包まれてる気がする……流石、ファンファンクラン領で1番の宿。布団の肌触りが良いし、ベッドも眠り心地が最高。

 確か……急に睡魔が襲ってきて、寝ちゃった気がするけど……痛たた。何か、頭とか肩とか肘とか、全身が痛い……私、どこかにぶつけた?

「起きた?」

「!メーーート!!」

 目覚めたばかりでボーとしていた視界に、急にメトの姿が映り、ビックリして体を起こした。

「ど、どうしーー仕事、終わったんですか?」
「ああ」

 そうですよね、夫婦の部屋なんだから、お仕事終わったら帰ってきますよね。ご丁寧に、部屋にはベッドが1つしか用意されてないんだから、メトが隣で一緒に寝てても、不思議じゃない。


「あのさ、寝るならベッドで寝ててくれる?何で床で寝てるの?」
「私、床で寝てたんですか?!」

 どうりで体が痛いと思った……。まさか、あのまま文字通り力尽きて床で寝てしまうなんてーー!

「君の寝息を聞くまで、何事かと思ったよ」
「申し訳ございません…」

 そりゃあ、仕事から帰って、妻が床で倒れ込んでたらビックリしますよね。
 昨日から緊張と楽しみで一睡も出来ずに、気付いたら倒れて床で寝ていたなんてーーー恥ずかし過ぎる!

「まぁいいけど。今日である程度、仕事を終わらせてきたから、明日は自由に過ごせるよ」

「本当ですか?嬉しいです!これでやっと、メトと一緒に新婚旅行を過ごせますね」

「……君、急に可愛くなるよね」
「へ?!」

 また、メトは私を可愛いって言うーーー可愛いって言われるのは、いつもエレノアで、私じゃないのに。

「……外見がいくら良くても、内面がアレじゃ腐ってるのと一緒だよ。それに、ルエルも十分可愛いよ」

 何も言わなくても、メトには私が考えてることがお見通しみたい。

「……エレノア、よりも?」

 私は、前にも聞いた質問を、もう一度メトに尋ねた。
 メトは一瞬驚いて目を丸くしたけど、すぐに微笑んで、前と同じ答えをくれた。

「勿論。ルエルの方が遥かに可愛い。俺は、君が好きだよ」

 そう言って、また私にキスをしたーーー。


「あの……メト、私ーー」

 目を開けて、メトと視線を合わせると、ゆっくりと、私は口を開いた。

 いつからかはハッキリしないけど、気付かないうちに好意を持っていたんだと思う。でも、もう誰も好きになりたくないから、傷つきたくないから、気付かないフリをして、このまま契約結婚を続けるつもりだった。
 でも、自覚してしまった。そして、もう一度ーーーメトを信じようと思った。

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる── 侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。 だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。 アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。 そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。 「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」 これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。 ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。 4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

あなたと別れて、この子を生みました

キムラましゅろう
恋愛
約二年前、ジュリアは恋人だったクリスと別れた後、たった一人で息子のリューイを生んで育てていた。 クリスとは二度と会わないように生まれ育った王都を捨て地方でドリア屋を営んでいたジュリアだが、偶然にも最愛の息子リューイの父親であるクリスと再会してしまう。 自分にそっくりのリューイを見て、自分の息子ではないかというクリスにジュリアは言い放つ。 この子は私一人で生んだ私一人の子だと。 ジュリアとクリスの過去に何があったのか。 子は鎹となり得るのか。 完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。 ⚠️ご注意⚠️ 作者は元サヤハピエン主義です。 え?コイツと元サヤ……?と思われた方は回れ右をよろしくお願い申し上げます。 誤字脱字、最初に謝っておきます。 申し訳ございませぬ< (_"_) >ペコリ 小説家になろうさんにも時差投稿します。

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

知らないうちに離婚されていた男爵令嬢は実家に帰ることにしました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
結婚して1年。 元・貴族令嬢エヴェリナは、平民商人の夫にこき使われ、自分の時間すら奪われていた。 久しぶりの自由時間を楽しんで帰宅すると、門番が立ち塞がり── 「ここより先には立ち入れません」 夫が勝手に離婚届を偽造し、彼女を家から追放した。 さらに「不貞の証拠」として、エヴェリナのサインを悪用した偽装契約書まで作成。 名誉を守るため裁判へ挑むが、そこで明らかになったのは── ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。ご都合主義です。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。