異世界探訪!~VRMMOプレイ記~

劉竜

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第10章

5話~急展開~

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 地震に見舞われた後、掲示板やサイト、オープンチャットなどあらゆる物に今回のことを書き込んでいく。唐突に言い出した者の言葉を信じるやつがいるのかな、と思ったが、総合的にみると半分以上がこの戦争に参加することを表明。明日にはまだ増えることだろう。
「耀一、書き込みは終わった?」
シノンが横でずっと待っていたようで、俺に聞いてきた。
「ん、ああ。ひとまずいろんな人が見る物に書き込んできたけど…参加、不参加はいまのところ半々くらいかな。ただ、あの彫刻画の通りなら、全プレイヤーが参加することになると思う。そうじゃないと、きっと勝てない…」
そう、こちらの世界の住人、全プレイヤーの半数を合わせても十万もいれば良い方だろう。その中から戦える者を集めてもおよそ半分から四分の三ほどだろう。プレイヤーがもっと参加してくれれば最高十万の規模も夢ではないが…
「どうしたの?」
「いや、何でもない。家に戻ろうか。俺は盾を直さなきゃいけないし」
ぼーっと座っていたから声をかけてくれたのだろう。なんか、悪いことをしちまったな。

 自宅に戻ると、どこから沸いたのか知らないが、ギルドメンバー候補が全員集まっていた。こちらを見た瞬間、グラッセさんが口を開いた。
「耀一君!掲示板を見たかい?」
掲示板?あー、あれのことか。
「戦争のことですか?それならさっきまでそれに関係した場所にいました。あと、掲示板とかに書き込んだのは自分です」
「そうなの?しかし、あんなことが全部事実だっていうの?確かにゲームの中だからあってもおかしくはないけど…」
鈴さんがそう言うのも無理はない。実際、自分だって半信半疑なんだから。
「おそらく、全て事実です。実際にその戦争の様子が描かれた彫刻画を見てきました。これがSSです」
そういって見せたのは、先程の彫刻画。おそらく掲示板ではこれを貼ったから説得力があったんだろうな。多少なりともだが。まぁ、参加表明は掲示板からが一番多い。一部は面白半分で参加してみよう、って人もいるんだろうけど。
「なぁ、耀一。ほんとに戦争になるんなら一日中この世界にいる方が良いんだろうか?」
こちらはゴロウ。確かに、何があるか分からないから丸一日このゲーム内にいた方がいいだろう。それにカナが続く。
「でも、それって丸一日休みを取らなきゃいけないわよ?念のために二日分取らないと」
「それなんだが、私達がやるから大丈夫だ」
「私らの方のとこは明日から閑散期になるからほとんどのが休みを取ってるのよ。だから、万が一敵が来たときは…」
「「叩き潰す」」
グラッセさん、鈴さんの夫婦コンビが息を揃えてそう言い放った。それに対してランスさんはやれやれといったかんじ。
「お前さんら、仲良いのはいいけどさ、こっちの都合も考えてくれよ?」
このランスさんの言葉に対してきょとんとしている二人。そしてグラッセさんが口を開く。
「何を言ってるんだ?ランス、君は抜いて考えていたんだが…明日朝から入れるのかい?」
これにはランスさんも驚いたらしく、「ええっ!?俺、頭数に入ってなかったんか!?」と素が出た模様。これに鈴さんが無慈悲に頷いたことでors体勢になるランスさん。ランスさん、頑張ってください。
 これからも苦労人として生きていくであろうランスさんには今は触れずに話を進める。
「それじゃあ、グラッセさん、鈴さんのお二人には明日一日ログインしていただけるということなので、なるべく負担を減らすためにログイン出来る人は早めにログインしてください。それでは、今日の内に準備を。それじゃあ、一旦解散で、明日、戦争がまだ起きていなければまたここで」
これに全員了解の意を示してくれたので、一安心。さて、さっさと準備してログアウトしますか。明日、いよいよこの世界を懸けた戦争が始まるのか…
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