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第二話
しおりを挟む暑くて……、全身が乾き……、汗が滝のように流れます……。
エルム王国とアルトリア王国の国境に位置するルマール砂漠。通称、『死の砂漠』と呼ばれているこの場所はオアシスすらない過酷な環境です。
こんなところに放置されるなんて――やはりこれは間接的な死罪なんでしょう……。
――とにかく、このままだと干からびてしまいます。確か……、古代術式に天候を操る術が――。
「雨雲よ――起きろ!」
私の魔力に呼応して黒い雨雲が天を覆いました。
やりました。成せばなるものですね……。あれ……? ちょっと、雨雲小さくないですか……? 両手を開いたくらいの大きさしかないですけど、まぁいいでしょう……。
ああ、雨が気持ちいいです。水は生命の源と言われてますが、こういうことだったんですね……。
さらに失われた古代術式で生命の力を発現させてみます。
「……水があれば大地にも力が宿るはず。芽生えよ! 生命の息吹!」
カラカラの砂漠に力が宿り、草木が生えてきました。
これなら砂漠にオアシスとやらを作ることが出来るかもしれません。
私は今いるこの場所で生きていくためにオアシス作りに専念してみました。
そして、3日後――。
「何とかなるものですね……」
目の前にはログハウスと湖――そして生い茂った木々と果物や野菜……。
古代術式を駆使して妥協することなくオアシス作りに励むと割と豪華な楽園が出来ました。
一人きりでいるのは寂しい感じもしますが、何とかここでしばらくは生きることが出来そうです。
そして、偶然……誰かしらが通りかかるのを待ちましょう。行商人なんかが来るかもしれませんし……。
名前の知らない果物を口に運びながら、私は名もなきオアシスで思った以上に快適な生活を開始していました。ただ、ボーッと一日がすぎるのを待つだけの生活です。
これならいくらでも――。
生活出来るわけなかったです……。
ビックリするくらいの暇が襲いかかってきました。
駄目です。今まで聖女として働いてきた私はこの何もしない生活に向いていません。
国のために動いていたので、こういう暇なとき……どうすれば良いのか……見当もつかないのです。
オアシスを改良するのも飽きてしまいましたし……。そろそろ、真剣に人里を探す方法を考えた方が良いかもしれません。
そんな悩みを抱えた頃でした。途轍もない長さの大行列がこちらに向かって来る様子が見えました。こ、これは、何でしょう……?
行商人には見えません。もっと仰々しい感じがします。
「――こ、こんな所にオアシスなんてなかったはずだが……」
「当たり前だ。死の砂漠だぞ! 雨が振らぬ土地にこんなに豊かな自然があるものか!」
「女だ、女がいるぞ!」
武器を持った兵士たちが大騒ぎしながら、このオアシスを不思議そうに眺めていました。
これだけの兵士たち……一体誰を守っているのでしょうか……。
「ふむ。これは奇跡の技の仕業だろう。恐らく、その使い手は――君かな?」
雪のように白く長い髪をした、女性に見紛うくらいの中性的な顔立ちの男性が私に近付いて、そんな質問をされました。
多くの兵士たちが彼を守るような仕草をしていたので、ひと目で高貴な方だということが分かります。
彼との出会いが私の人生に大きな影響を与えることになるのですが……、私はまだそのことを知りませんでした――。
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