公園の少女

こたつみかん

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二話

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「ねぇねぇ、遊ぼうよ」

 体を左右に振っておねだりするマユ。その仕種もたまらなく可愛いらしかった。

「別にいいけど……友達とかと遊んでたんじゃないの?」
「……マユ、友達いないもん」

 このときに僕は思った。きっとこの子は淋しいんだ。両親は共働きか何かで、家に帰っても1人ぼっちなんだ、と。

 自分の小さい頃がそうだったから、わかるような気がしたのだ。小さい頃は、夕方にはみんな家に帰ってしまう。家ではお母さんが待っているからだ。けれど、誰もいない家には帰りたくなくなる。
 だから僕も――僕の場合は妹と2人でだけど――遅くまで外で遊んでいた覚えがある。淋しかったから。

「よし、じゃあ少しだけ遊ぼうか」
「ホントに?」
「でも少しだけだよ。キミみたいな女の子が遅くまで遊んでたら危ないし」

「うん! じゃあブランコ押して!」
「オッケー。しっかりつかまってるんだぞ」

 僕たちはしばらく、ブランコを使って遊んだ。実際に遊んでいるのはマユなんだけど、何だか僕も楽しくなってくるようだった。

「……マユちゃんて、中学生?」
「そうだよ、2年。今度は3年生」
「ふうん……」

 意味のない話をしながらも、僕はマユの背中を押した。

「もっともっと強く押して!」
「よし、それっ!」

 キィィー、キィィー……

 そのうち、辺りはすっかり暗くなってきたので、そろそろ家に帰らなくちゃ、と言うと、マユはやけに淋しそうな表情を浮かべた。

「……ねえ、お兄ちゃん、明日も来る?」
「来るって、ここに?」
「うん」

「そうだな……ここはいつも通ってるし、来ることになるのかな」
「マユ、明日も待ってるからね……」

 それだけ言うと、マユはバイバイと大きく手を振りながら走っていった。その姿が暗闇に消えて行った後、僕もまたマユに会えればいいな、と思った。


 翌日も、そのまた翌日も、マユはいつもと同じブランコに座って僕のことを待っていた。
 僕とマユは結構――大学生と中学生の意気投合というのもおかしいけど、うまく気が合うような、いい感じだった。

「お兄ちゃん、今日は鉄棒しよう」
「鉄棒? マユちゃん、鉄棒出来るの?」
「うん……でも、逆上がりが出来ないの」

 マユはスキップをしながら鉄棒のある場所に行くと、小さな両手でぐっと鉄棒を握り締めた。
 
 僕に向かって見ててね、という表情を見せて、思い切り足を跳ね上げた……が、本人の言っていた通り、うまくいかなかった。
 もう1回、人差し指を立てて僕に微笑むマユ。懸命に鉄棒に取り組むマユ。足を跳ね上げるたびにスカートがめくれ上がって、白いパンツがまる見えになった。

 子供じゃないか、という気持ちとは裏腹に、僕の視線はパンツに釘付けになっていた。

 僕はマユの体のことを想像していた。
 たまにふざけて抱き着いてくることもあって、大体の感触は分かっていた……僕の気持ちに誘惑が走った。

「マユちゃん、僕が逆上がりを手伝ってあげようか?」
「ホント? やってやって」

 僕はさっそくマユの後ろに回り、マユの動きを助けてあげた……そうすれば公然とマユの体に触ることが出来るからだ。

「マユちゃん、もう少しだよ……頑張って」
「うん……んん」

 僕はわざとマユの体を持ち上げきらないようにして、じっくりとお尻の膨らみを触った。
 スカートがめくれているおかげで、パンツごしに弾力のあるスポンジのような感触が伝わってくる。

 柔らかくて、暖かい感触。

「よいしょっ……っと…………やった! お兄ちゃん、出来たよ!」

 嬉しそうな顔をして喜ぶマユ。
 僕も嬉しかった。マユの体に触れたことが。
 そして、これからもそうすることが出来そうだったから。

 ……自分でもおかしいことは分かっていたけれど、僕はマユに欲情を感じていたのだ。
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