婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

文字の大きさ
7 / 66

ろく

しおりを挟む
あれから私は大変苦労した。
すぐにでも婚約破棄を申し出たかったが、それは不可能に近かった。いくら婚約者といえど、私は公爵令嬢で王太子は王太子。
腐っても王族。身分制度が生きるこの国では、家臣が王族に対し婚約破棄を申し出るなどありえない。だけど、私はこの婚約無に帰したかった。絶対結婚などできない。一度あることは二度ある。三度目の正直。今度こそ私は令嬢という枠をはずれて、自由に生きるのだ。そう強く決めていた。

そこからは王太子とシアの密会の様子を記録に残し、魔レンズに映しておく。夜間の密会はできるだけ事細かに残し、もちろん日時も記載。
そして、密会の回数が両手の数を超え、そして前回のパーティーのエスコートを私ではなくシアにすると聞いた時、私は時は今だと感じた。

そして、初夏を迎えた今日。
私は王太子と陛下に拝見を申し出た。侍女のアメリアに証拠品を持たせて、いざ出発。
そして玉座の間に訪れ、王太子と陛下を待つ。待つこと数分。すぐに王太子と陛下は現れた。王太子は相も変わらず無表情だ。この人、私の前だと本当に表情筋を忘れるわよね。仮にも私、婚約者なんですけど。
そう思ったが、それも今日までだ。
私は陛下から声がかかるのを待った。仕込みも上々。あとは私の演技力にかかっている。

「久しいな、シャーロット」

「陛下もご機嫌麗しく、何よりでございます」

「はは、よいよい。そう堅苦しくなるな。お前は私の弟の子。私の子同然だ。そんなに固くならなくてよい。それで?本日はどのようなご用かな?」

聞かれて、背筋を伸ばす。
私の父親は陛下の弟にあたる。つまり、私と王太子は従兄妹ということだ。私は息を吐きながら、震えそうになる声をなんとか張り上げた。

「じ、実は………。私、もう、耐えられなくて………」

自分の演技力にかかっているという事実が、私の肩を震わせる。声も意図せず震えてしまい、それがかえって真実味を増す。
私の言葉に、陛下が眉を寄せる。隣の王太子も怪訝そうな顔だ。あのね、あなたね。何の話してるんだこいつみたいな顔すんじゃないわよ。あんたのせいで私が一芝居打つことになったんじゃないの………!
私のことなんて好きじゃないくせに、いつまでたったも私を婚約者でいさせる。ありえないわ。本当に好きな人が別にいるくせに。なんなのかしら。シアが本当は好きなのに、私のことを婚約者に据え置いておくって。シアを婚約者にすればよかったじゃないの。
一回目の人生では確かに………言われて納得できるとは思えないけど、二回目なら割かしすんなり言うことを聞いたと思うわ。なのに、あなたはそうしなかった。臆病なのかしら。
知らずして目に力が入る。王太子は表情を変えない。く、ムカつく………!
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

病弱な愛人の世話をしろと夫が言ってきたので逃げます

音爽(ネソウ)
恋愛
子が成せないまま結婚して5年後が過ぎた。 二人だけの人生でも良いと思い始めていた頃、夫が愛人を連れて帰ってきた……

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約者に妹を紹介したら、美人な妹の方と婚約したかったと言われたので、譲ってあげることにいたしました

奏音 美都
恋愛
「こちら、妹のマリアンヌですわ」  妹を紹介した途端、私のご婚約者であるジェイコブ様の顔つきが変わったのを感じました。 「マリアンヌですわ。どうぞよろしくお願いいたします、お義兄様」 「ど、どうも……」  ジェイコブ様が瞳を大きくし、マリアンヌに見惚れています。ジェイコブ様が私をチラッと見て、おっしゃいました。 「リリーにこんな美しい妹がいたなんて、知らなかったよ。婚約するなら妹君の方としたかったなぁ、なんて……」 「分かりましたわ」  こうして私のご婚約者は、妹のご婚約者となったのでした。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...