婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

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にじゅう

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「わたくしはーーー」

咄嗟に口を開いたものの、それは言葉にはならなかった。私は、何?私はずっとあなただけを愛していたのにあなたはそれを返してくれなかった?でも、それはこの時間軸の話ではない。殿下にとっては身の覚えのない話にしかならない。私は、なんだろう。私は何が言いたいのだう。この婚約が嫌だった?そりゃ、嫌よ。愛されない婚姻なんてもう散々。しまいには殺されることが確定してるのよ?よっぽどの狂人じゃなきゃ嫌がるわよ。

「…………わたくしは、ずっと殿下だけを見てまいりました」

静かな声で告げる。それを聞いて殿下の手がぴくりと動いた。気づいていたのだろう。あんなにあからさまにアピールされればどこの朴念仁だろうときづくに違いない。

「ですが、殿下はわたくしにその気持ちを返してくださいませんでした。いいえ、恨みがましいのは好きではありません。殿下は、わたくしに、少しでも気遣いというものをしてくださいましたか」

「それは………」

殿下が口ごもる。そうよね。殿下はいつだって冷たくて、私には無関心だった。いや冷たくはなかったのかもしれない。私の問いかけにはきちんと返してくれたし、会話もしてくれた。お茶会の時間だってとってくれたし、決して私を蔑ろにしたわけではない。でも、そう。私へ気持ちを返してくれることは無かった。政略結婚ってそういうもの?愛し、愛される生活を夢見てはいけないの。いや、仮面夫婦ならまだ耐えられた。だけど私は過去2回死んでいる。既に死亡しているのだ。

「………殿下がわたくしを何とも思っていないことは存じ上げていました。それでも、わたくしは耐えられると思ったのです」

そう、死ぬあの瞬間まで。
死刑を言い渡されるあの時まで、私はあなたを信じていた。殿下もきっと私を憎く思っていないを言い夫婦になれる。いつか、彼が私に気持ちを返してくれる日が来ると信じていた。一回目の私は愚かだった。嫉妬に身を焦がされ、周りが見えていなかった。今思い返しても鉛を飲んだように苦しい。思い返すのも厭われる悪しき記憶に、私は息を吐いた。

「ですが、無理でした!」

ことさら明るく言った私に、殿下が難しい表情をする。今の殿下は何も知らない。何も知らないからこそ、全て話すことが出来ない。
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