婚約破棄までの大切なプロセス

ごろごろみかん。

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にじゅーはち

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「……どうぞ」

「いいの?」

いや聞いたのはそっちでしょうがよ。
断れるわけがないって知ってるくせに。だけど殿下はどこか驚いたような顔持ちだった。

「……いいも何も、わたくしに断る選択肢はありませんわ」

それは現在の状況を鑑みて、の発言だ。もちろん。だけどそれを聞いてすらも、殿下は少し笑っただけだった。失礼なことを言ってもヘラヘラ笑う殿下に少し、いらついた。

「風向きが変わったね」

ふと殿下がそんなことを言うものだから私も顔を上げた。確かに少しだけ風の吹く方向が変わったような気がする。

「少し寒くなってきたかな。馬車に戻ろう」

そう言うと、殿下は私の手を引いて歩き出した。侍女がしずしずとパラソルをかざしながらついてくる。そよそよとした風が、初夏を伝えていた。


馬車に乗って邸宅まで送って貰う。公爵家につくと、またしても恭しく殿下がエスコートしてくれた。

「今日は無理に付き合わせてしまってごめんね」

「………いえ」

絞り出した声はそんなものだった。殿下がよく分からなかった。馬車の足組に足を乗せ、体重をかけながら降りる。
馬車から降りたってすぐ、そこには血相を変えた様子のラーサルがいた。

「お戻りになられましたか、殿下………!」

いつになく様子がおかしいラーセルに思わず怯んでしまう。そうすると殿下が私の前に立ってラーセルと対峙した。

「どうしたの?」

「へ、陛下が…………!」

「………何?」

嫌な予感がした。ラーセルの顔からして、ただ事ではない。彼はひとつ息を飲むと、震えた声で続きを紡いだ。 

「崩御されました…………!」

「!」

思わず驚いてしまう。驚くなという方が難しい。知らずしてふらりと足が揺れた。視界が揺れる。嘘。だって私の知ってる事実では、そんなことはなかった。一体どうなっているの。
一回目も、二回目も死んだけど。でもこの季節、この時期に陛下がなくなるなんて、そんなことは無かった。絶句した私に、だけど殿下は落ち着いた声で問いただした。

「………城はどうなっている?」

「大臣たちはみな混乱しております。殿下のお戻りを一刻もお待ちしてました」

とはいえ、あの湖は王家所有。王族の許しがなければ入れない場所。緊急事態とはいえラーセルは殿下のお戻りを待つしかなかったのだろう。陛下が崩御された、ということはすなわち次の国王の座は殿下が座ることになる。思いもしない展開に頭が混乱した。

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