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さんじゅう
しおりを挟む「は~~………今回ばかりはお前に何言えばいいかわかんねぇわ」
殿下はそのあとすぐに部屋を出てしまった。
おそらく何かと忙しいのだろう。あまり政務に携わらない私でもわかる。
「………どうなるの、かしら……」
ふと言葉を漏らす。そうするとラーセルはちらりと私も見て答えた。
この感じだとおそらく……いやほぼ間違いなくラーセルは何も知らないのだろう。もし知っていてこの態度なら逆に怪しい。犯人がだれかわからない以上すべての人間を疑ってかかるべきだ。私は誰も信頼していない。私のことを誰も助けてくれなかったようにーーー、いや助けなんてたいそうなものは望まない。せめて。せめて希望を抱くに値するなにかをくれる人がいれば。いや、それも違う。誰でもいい。
あの孤独下状況で誰かひとりでも私の味方がいればきっと話は違った。
「………しばらくの混乱は避けて通れないだろうな。なにせ国王の崩御だ。いくら箝口令を敷いてもうわさは巡る。市井はなんとかなるとして、城の空気は最悪だろうなぁ………」
「あなた、怖くないの?」
「何が?」
「陛下がなくられて………その犯人は捕まっていないのよ」
「………まぁ、そうだな。怖いっていうより、困惑しているってほうが正しいかな」
「………は?」
「まあ安心しろよ。殿下は死なないし、お前のこともちゃんと守ってやるよ。あ、しばらくの間は俺が毒見も兼任するから」
「ちょ……ちょっと待ってよ。どういうこと?あなたが毒見するって、」
いや、そもそもどうしてこんなにラーセルはあっけからんとしていられるの。
国王がなくなったというのに。さほど慌てる様子もなく、殿下の安全についてもどうしてこんなにハッキいえる?
私が聞くとラーセルはにっとヤンチャな子供が浮かべるような笑みを見せた。
「あれ、知らなかったか?俺は毒の訓練を受けてる。確か陛下の暗殺は毒殺だろう?なら殿下も問題ない。あの人はたいそう厄介な毒の耐性がある」
「………?」
「本来王族が毒の耐性をつけるなんてありえないんだけどな、だってあれものすごく苦しいんだぞ?」
ラーセルが困ったように言った。
それより、私はこの時初めて知った。陛下が毒殺されたということに。暗殺とは聞いていたけど死因は毒なのか。私と一緒ーーー………。
「………毒の種類はわかっているの?」
恐る恐る聞いてみる。ラーセルは私を見ると真面目な口調で言った。
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