公爵令嬢は婚約破棄を希望する

ごろごろみかん。

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思案する そのに

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私はむっとしながらも言った。

「何もしてないわ。婚約破棄の紙を押し付けてきただけよ」

「それをやらかしてるって言うんでしょー!」

「そう?でもアルはいつも通りだったわよ」

「なわけないでしょうが。内心暴風雨だったと思うわよ。だってあの殿下よ?そんなことされてよく無事だったわね。城が」

城は無事だったと思うけど………。
キャロルの言うことはイマイチ意図が掴めない。私は首をかしげながら言い募った。

「確かにちょっと怒っていたけれど、そこまででもなかったわよ」

「あのねえ、リア。リアはいきなりアルに婚約破棄してほしいなんて言われたらどう思う?」

それは………。
少し考えてみる。
アルにいきなり婚約破棄を突きつけられたら………なんて言うこと!あのゲームそのものだわ………!?
い、嫌ですわ………私、このままだと滅亡エンド……?
顔が青ざめた私にキャロルは満足気に言った。

「そういうこと。殿下の気持ちにもなってみなさいね」

「そ、そうね…………私ったら大切なことを忘れていたわ………こんなんじゃ婚約者失格ね」

「リアの猪突猛進は今に始まったことじゃないからそこまで心配しなくてもいいと思うわよ」

「いいえ、ダメよ。私、ちゃんとアルに言ってくる。これは理由ある婚約破棄だって!」

「ちょちょちょ、どうしたの?やっぱり結局婚約破棄はしたいの?」

困ったようにキャロルが言う。
ええ、もちろんだわ。アルは大好きだが命には変えられない。
私はそこら辺のちょうど良さそうな殿方を捕まえて結婚する。破滅フラグ持ちのアルとは婚約したままじゃ危ない。私は自分の身が可愛いので死にたくないのだ。

「キャロル、今からお城に………いえ、この前はいきなり押しかけて迷惑かけちゃったからお手紙を書くわね」

キャロルは私の言葉に目を白黒させている。私が本気で婚約破棄をしたいと思わなかったのだろう。心配そうにしている。

「リア、本気なの?あなた殿下のことが好きなんでしょ」

「好きよ。大好き。でも命と天秤にかけたら命の方が重いわ」

「潔いいわね………」

「そうと決まったら手紙よ、お手紙。キャロル、今日はこの辺でおいとまするわね。また来るわ」

私はそう言ってキャロルに礼をとる。そうするとキャロルは呆れたように息を吐いた。……なんだろう?

「きっと無理だと思うけどね………」

「何?」

「いいえ、せいぜい怒らせないようにね」

「ええ、円満婚約破棄を目指すわ」

「そういうことじゃないんだけどね………」

キャロルも苦笑いしながら礼を取った。それを見てから私は最後にキャロルに挨拶をしてその場を辞した。
さあ、帰ったら殿下にお手紙をかかなくては!
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