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公爵令嬢とお手紙
しおりを挟む「お嬢様!お嬢様起きてください」
いつも起きるより早い時間、侍女であるミーアの声が聞こえてきた。うう、ね、眠い………。
昨日は殿下にお手紙を出したのだけれど、そのあとつい辞書を読み込んでしまって寝るのが遅くなったのだ………。辞書は面白い。と思う。
知らない単語が沢山あって、それを書き写すだけで覚えた気になるのだから。それだけで自分の知識の範囲も広がり、お手紙だって……………うう
「お嬢様寝ないでください、起きて!」
ミーア………眠い………眠いのよ…………
「ダメです。お嬢様、殿下がいらっしゃってますよ!」
殿下………殿下………?
ああ、それならいいのよ………だって手紙書いたもの………
「訳の分からないこと言ってないで起きてくださいお嬢様~!!!」
むにゃむにゃと夢の中でミーアと会話をするが無理だ。だってこんなにあたたかいんだもの。
布団から出るなんてそんなの拷問に近しいわ。私があまりにも寝汚…………起きないからかついにミーアは実力行使に出てきた。
布団が!布団が吸引されていく!やめて何をするの!
追い剥ぎだ。追い剥ぎがいます!!!
「誰が追い剥ぎですか!起きてくださいお嬢様~!」
「失礼、リアはまだ寝ているの?」
「オッ………王太子殿下!?お待ちください、まだお嬢様は寝て………お嬢様起きて!起きてお嬢様!王太子殿下来ちゃったから!!」
ミーアが小声で私の耳に囁いてくる。アルが来た………?いやそんな馬鹿なことあるわけない……だってアルには昨日お手紙出したもの………
「だからお手紙出したのはいいですから起きてー!」
それよりミーアもうちょっとていね、丁寧に私のこと扱ってもバチは当たらないわよ……寒っ、寒い!布団剥がないで!!
そこにきてようやく私はぱちりと目を開けた。
うう、さ、寒い…………。布団に潜りながら私は視線を巡らせた。今日もぴっしりとメイド服に身を包むミーアが真横にたっている。
ミーアは栗色の髪に栗色の瞳の、優しいお姉さん顔をした侍女だ。私が生まれながらの付き合い。
そしてふいと扉の方に視線を動かせば………
「あっ。アル」
そこにはアルがいたのだ……………
ちょっ、ちょっと、なんでアルがいるのかしら………!?だってここは公爵家で、そして今は朝なのよ!?それに未婚の淑女の部屋に踏み入るなんてマナー違反もいいところだわ!固まった私にミーアが囁く。
「だから言ったじゃないですか。殿下がいらしてますよ、って」
「ちょっ……ちょっとなんでアルがいるのよ。それに何でもっと早くに起こしてくれなかったの?」
「お嬢様………私は殿下の訪れる一時間前から起こそうとしておりましたよ。それでもお嬢様の寝言と格闘しているうちに殿下が到着してしまい、時間が無い殿下がわざわざ部屋までいらっしゃったのかと…………」
つ、つまりあまりに寝汚………起きない私にしびれを切らしたのね。うわあ、恥ずかしい。恥ずかしいわ。私いつになったら寝起きが良くなるのかしら………。私は布団を引き上げて夜着を隠しながらアルを見た。
『夢の記憶』にあるアルよりはいくらか幼いものの、もう立派に美青年と言える顔立ち。
確かにこれはお兄様属性だわ。ちょっとお兄様~なんて呼んでみても良いかしら。
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