公爵令嬢は婚約破棄を希望する

ごろごろみかん。

文字の大きさ
6 / 12

公爵令嬢とお手紙

しおりを挟む

「お嬢様!お嬢様起きてください」

いつも起きるより早い時間、侍女であるミーアの声が聞こえてきた。うう、ね、眠い………。
昨日は殿下にお手紙を出したのだけれど、そのあとつい辞書を読み込んでしまって寝るのが遅くなったのだ………。辞書は面白い。と思う。
知らない単語が沢山あって、それを書き写すだけで覚えた気になるのだから。それだけで自分の知識の範囲も広がり、お手紙だって……………うう

「お嬢様寝ないでください、起きて!」

ミーア………眠い………眠いのよ…………

「ダメです。お嬢様、殿下がいらっしゃってますよ!」

殿下………殿下………?
ああ、それならいいのよ………だって手紙書いたもの………

「訳の分からないこと言ってないで起きてくださいお嬢様~!!!」

むにゃむにゃと夢の中でミーアと会話をするが無理だ。だってこんなにあたたかいんだもの。
布団から出るなんてそんなの拷問に近しいわ。私があまりにも寝汚…………起きないからかついにミーアは実力行使に出てきた。
布団が!布団が吸引されていく!やめて何をするの!
追い剥ぎだ。追い剥ぎがいます!!!

「誰が追い剥ぎですか!起きてくださいお嬢様~!」

「失礼、リアはまだ寝ているの?」

「オッ………王太子殿下!?お待ちください、まだお嬢様は寝て………お嬢様起きて!起きてお嬢様!王太子殿下来ちゃったから!!」

ミーアが小声で私の耳に囁いてくる。アルが来た………?いやそんな馬鹿なことあるわけない……だってアルには昨日お手紙出したもの………

「だからお手紙出したのはいいですから起きてー!」

それよりミーアもうちょっとていね、丁寧に私のこと扱ってもバチは当たらないわよ……寒っ、寒い!布団剥がないで!!
そこにきてようやく私はぱちりと目を開けた。
うう、さ、寒い…………。布団に潜りながら私は視線を巡らせた。今日もぴっしりとメイド服に身を包むミーアが真横にたっている。
ミーアは栗色の髪に栗色の瞳の、優しいお姉さん顔をした侍女だ。私が生まれながらの付き合い。
そしてふいと扉の方に視線を動かせば………
 
「あっ。アル」

そこにはアルがいたのだ……………
ちょっ、ちょっと、なんでアルがいるのかしら………!?だってここは公爵家で、そして今は朝なのよ!?それに未婚の淑女の部屋に踏み入るなんてマナー違反もいいところだわ!固まった私にミーアが囁く。

「だから言ったじゃないですか。殿下がいらしてますよ、って」

「ちょっ……ちょっとなんでアルがいるのよ。それに何でもっと早くに起こしてくれなかったの?」

「お嬢様………私は殿下の訪れる一時間前から起こそうとしておりましたよ。それでもお嬢様の寝言と格闘しているうちに殿下が到着してしまい、時間が無い殿下がわざわざ部屋までいらっしゃったのかと…………」

つ、つまりあまりに寝汚………起きない私にしびれを切らしたのね。うわあ、恥ずかしい。恥ずかしいわ。私いつになったら寝起きが良くなるのかしら………。私は布団を引き上げて夜着を隠しながらアルを見た。
『夢の記憶』にあるアルよりはいくらか幼いものの、もう立派に美青年と言える顔立ち。
確かにこれはお兄様属性だわ。ちょっとお兄様~なんて呼んでみても良いかしら。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します

冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」 結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。 私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。 そうして毎回同じように言われてきた。 逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。 だから今回は。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

処理中です...