すれ違いのその先に

ごろごろみかん。

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胡蝶蘭の花束 2

ーーーヴィヴィアナ様はあまり、男性陣によく思われていないらしい。

それは以前お兄様がこぼしていたことだった。彼女は自分の意見ははっきりという人だ。
そして、相手がそれに納得するまで根気強くその話を続ける。
それがいいか悪いかは、場と状況によるところだと思う。だけどレイル様は彼女のそんなところに惹かれたのかもしれない。

お兄様の話しを思い出す。

ーーー以前ヴィヴィアナ様は夜会の途中、大臣補佐の方に政務の話を持ち出したらしい。そして、自分の考えを告げられたとのこと。
お兄様曰くその内容は突拍子もないものだったとか。
何でも莫大な資金が必要となるらしく、発想は斬新であるものの前例がなく、それに着手するにはかなりの話し合いが必要だと思われる内容。
すぐには返答のできない内容に大臣補佐が言葉を濁すとヴィヴィアナ様は酷く立腹されたとお兄様は仰っていて、その日の夜会はとても大変だったらしい。
その大変さは推して知るべし。
なぜなら帰宅したお兄様が珍しくやけ酒のような飲み方をしていたのだから。お兄様はあまりお酒が得意ではないのに。

とても個性的な女性だと思う。
彼女は恐らく、今も尚牢の中にいてもきっと諦めていないだろう。その強さが羨ましい。私には無いものだ。

ーーー私が取り成して彼女を牢からだすことも考えた。

だけど私がそれをすればヴィヴィアナ様は酷く怒るだろう。それはそうだ。私だって何のつもりだと思ってしまう。
それに万が一、レイル様とヴィヴィアナ様の噂が本物で、それが理由で私と離縁したなどと周りに知れたら。話はもっと難しくなる。

だから、それも出来ない。

結果残ったのが穏便に離縁することだった。それが一番いいように思えたのだ。

「………あら、リーフェリア妃殿下。王太子殿下からお花が届いておりますわ!」

不意に侍女のフィリアが私にそう言った。
彼女は見事な金髪を緩く編み込んでいる歳若い女性だ。年齢も私とそう変わらない。彼女のその金髪が、酷く私には眩しく見えた。

フィリアの弾んだ声と共に、彼女が手に花束を持って戻ってくる。
その手には白とピンクで彩られたブーケがあった。

「……ありがとう」

私は、フィリアからそれを受け取る。花の甘い芳香がぶわりと広がった。

「白とピンクの胡蝶蘭ですわ。殿下も意外とロマンチストなのですね、胡蝶蘭を贈るだなんて」

「ふふ。……そうね。嬉しいわ」

「妃殿下は王太子様にとても愛されていますわね。花言葉を理解して贈ってくださる男性なんて、滅多におりませんもの!」

胡蝶蘭の花言葉は
ピンクの花が「あなたを愛しています」ーーー。
そして、白の花は「純粋」。

私は、何も言うことが出来なかった。だってこれも、偽りのものなのだから。だから、誤魔化すように笑みを浮かべるしかなかった。
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