王妃の鑑

ごろごろみかん。

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ノア

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そして、城下に滞在して二週間。
ついに私はおそらく正解であるであろう回答にたどり着いた。
ほぼノアから答えのようなものを貰ってはいたが、これでやっと分かった。

それと同時に、リリアベルのことについても方が着いた。リリアベルは、やはり持病があった。近場の病院を直接聞きこみ調査すること二週間。まずは虱潰しに聞いていこう、そう思って当てずっぽうに病院を回っていたのだが、まさかの当たりがあった。リリアベルは侍女だから近場の病院に通っていたとは思ったけれど。まさかこんな早くに見つかるとは思っていなかった。リリアベルが通っていたのはこぢんまりとした個人の病院だった。
リリアベルの主治医だったという彼は、リリアベルの話をしてくれた。最初は怪しんでいたが、私がリリアベルの同僚だと話せば、信じてくれたようだ。
曰く、彼女は心臓の病だった、と。いつ死んでもおかしくない体質であの歳まで生きられたのは奇跡だと言われた。
それを聞いて、私はまたも泣いた。何も、知らなかった。何も、聞いていなかった。いつも明るい顔で笑っていたリリアベル。誰よりも親身になってくれた。
私はその日、リリアベルのお墓に向かった。既に誰かが来ていたのだろう。花が添えられていた。
そして、話は戻るけれどーーー。

ノア・ディアルセイ。
これが、彼の名前だ。彼自身が教えてくれた。私が元の世界に戻る直前に、告げてくれた名前。
彼はれっきとした前王妃と前陛下の息子だった。それがなぜ、廃嫡されて魔術師となっているのか。これも、僅かに残った文献から照らし合わせ、さらに私の見解も含めた結果だがーーー。ノアは、非常に霊力が強いのだろう。そして、おそらくこの国で唯一の魔操冠術者だ。魔操冠術者とは世界で片手の数しかいないと言われている魔術師の称号であり、その力は計り知れない。霊力はずば抜けて高く、さらに己の武器まで生み出せるというトンデモ能力もち。
その霊力の大きさは図りようがない。単位を超えた霊力保持者。それが魔操冠術者だ。

そして、ノアはその魔操冠術者だった。

だからこそ、存在が消されたのだろう。あまりにも大きすぎる力は諸刃の剣となる、おそらく、前陛下は慎重深い性格だった。ノアの事情を表に出すことを恐れたのだろう。

ーーー不貞を知っているといった乳母がゆすりにきていた、と殿下はいった。
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