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ソフィア
変わる日 3
しおりを挟む「ようやくお会いできて幸せですわ♡ロウディオ殿下」
「……お前が、魔女イゾルデ」
ロウディオが嘆息したように言う。
その様子に魔女イゾルデは笑みを深めた。
「あら、わたくしのことまで忘れてしまったのは予想外。幼い姿も愛らしゅうございますね♡わたくしが直々に愛でて差し上げたいわ」
「お前が僕に呪いをかけたのか」
「呪いだなんて物騒な♡真心の籠った愛のおまじないですわ」
「まじないも呪いと変わらない」
ロウディオは眉を寄せて言ったが、イゾルデの表情は変わらない。ソフィアはその様子を見ながらも咄嗟のことにどう行動すればいいか未だに正解が出せていなかった。
(どういうこと……。魔女イゾルデが現れるのは満月の夜と……)
国王はイゾルデが現れるのは力を増す夜だと言ったはずだ。しかし今は、太陽が下がってきているものの、まだ夕方。夜とは言えない時間帯。唖然とするソフィアは、しかしすぐにこの状況をどうにかせるために頭を働かせた。
なぜイゾルデがこの場に現れたのかはわからない。だけど彼女がここにいるということだけが現実だ。
それならば、なぜここにいるか、よりもこれからどうするかを考えるべきだ。
どちらにしてもこのままイゾルデとロウディオを向かい合わせていいことはないだろう。
なにせイゾルデの狙いはロウディオだという。
ソフィアは割って入るように口を出そうとしたところで、ロウディオが思わぬ問いかけをイゾルデにした。
「魔女イゾルデ。僕の呪いを解いたら、僕はどうなる?」
「呪いを解いたら?そうしたら、貴方は二十五歳の立派な王太子となりますわ♡」
「記憶は?」
「さあ?どうかしら。なにぶんひとにこんな呪いをかけたのは初めてなの。わたくしの初めて、どうか受け取って下さらない?」
しなを作って魔女が笑みを浮かべる。
嫣然とした様子はまるで毒のようにロウディオを誘惑した。ソフィアはその様子に眉をしかめる。
「そうか……。イゾルデ。お前はこの呪いを完全に解呪できるんだよな?」
「お任せ下さい♡」
ロウディオは立ち上がると、膝についた土埃をはらうとイゾルデを見た。ソフィアはロウディオとイゾルデのやり取りを忙しなく見つめる。いざとなったら、ソフィアが盾にでもなってロウディオを逃がさねばならない。
「ふーん……。解呪の方法は?」
「それは、ロウディオ殿下はご存知ないかもしれないですが、様々な方法がございますの」
「様々な?」
「閨ごとはワンパターンとは決まっておりませんのよ?」
にっこりとイゾルデがロウディオを見やった後、若干馬鹿にするような視線をソフィアに送った。イゾルデは元々ロウディオの恋人だったと言うし、ロウディオから何かしら聞いていてもおかしくない。ソフィアはそのあからさまに優越感にひたった視線に気づきながらもロウディオの様子を伺う。
(殿下……ロロは一体、何をしようと言うの)
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