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3章
さんじゅーいち
しおりを挟むお姉様は顔を紙のように白くさせたあと後ろを振り返って、そのまま気絶してしまった。
後ろにはちょうど死霊というか、死神がいた。霊感がなければ見えない死霊と違って死神は誰にでも見える。
だけどどこにでもいる訳ではなく、死神は滅多に現れない。
気絶してしまったお姉様を見て安心する。
良かった。
料理がまずいのはお姉様の調理のせいって気づかれていないみたい。
死神はそのまま横を通り過ぎていった。どうやら家の誰かに用事があったみたい。
その時のことを思い出していると突然スプーンを差し出された。少年だ。
「はい、あーん!」
「……食べれますのに」
だけど少年の好意を無下にするのも良くないと思い、素直に私は口を開いた。
コクのある少し味の濃いしっかりとしたスープだった。とろとろの玉ねぎが美味しい。
こんなに美味しいスープは初めてだ。
「……美味しいです」
呟くと少年は嬉しそうに笑った。
「そうか!僕が作ったんだ」
少年が作ったのか。
「まあそのせいでリュードに余計怒られたんだけど。光栄に思えよ!僕が手料理を作るなんて母上以外初めてなんだからな!」
少年が得意げに言う。
驚いた。
あんなに兄上兄上言ってる割に陛下には作ったことないのか。
思った以上に少年は奥手なのかもしれない。
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